“2025年問題”が日本の医療にどう影響するか説明できますか?|在宅医療の基礎知識

団塊の世代が後期高齢者になることで起きる“2025年問題”。

日本の医療費問題に大きな影響を与える“2025年問題”について医療コンサルタントの鍵谷昭典が解説します。

(2015年12月時点)

 

日本の医療にも影響を与える「団塊の世代」|在宅医療の基礎知識

団塊の世代が定年を迎え、少子高齢化による労働力バランスが崩れることで起きる医療費問題のひとつに“2025年問題”があります。

10年後の2025年は、団塊の世代の人たち全員が後期高齢者(75歳以上)になる年に当たります。

後期高齢者が増えると一般病床(高度急性期・急性期・回復期等)と療養病床のバランスや介護施設等の数が現状のままでは対応できなくなるため、病床数や介護施設の入所者数等を機能に合わせて変更する必要に迫られています。

 

「7:1」の看護配置基準とは

「7:1」の看護配置基準とは、一般病床(高度急性期・急性期・回復期等)に入院している場合で、患者さん7人に対して看護職員が1人勤務している状態のことで、手厚い看護ができる体制と言われているのがこの「7:1」の割合です。

患者さんは24時間入院していますが、看護師さんは24時間働けませんので、1日を3人の交代等で対応したり、週休を取るため、実際は患者さん2人に対して看護師さんが1人位の割合となります。

現在、看護配置基準7:1の一般病床がもっとも多く35万床以上ありますが、これを減らして10:1以下の看護配置基準へ振り分けることを厚生労働省は進めています。

つまり、「高度急性期」「一般急性期」「亜急性期」「長期療養」といった病床の目的に併せて、それぞれ必要な病床数へ振り分けをしてこうというのが狙いなのです。

 

医療と介護の垣根がなくなる?

先ほどの看護配置基準に加えて、患者の受け入れ先について医療費の負担が多い施設での対応から在宅医療への移行も進める予定です。

そうなると看護師さん不足の解消にもなり、医療機関の看護師さんが看護配置基準の違う医療機関や介護施設にシフトしたり、在宅医療での勤務に移行したりすることになります。

つまり、今後医療と介護の垣根はますますなくなり、看護師さんには医療施設のみならず、介護や在宅分野でも活躍することが求められます。

 

変革の秘訣は「診療報酬での誘導」

これらの政策を進めるために、ただ基準を見直すだけでは各医療機関が体制を変更することは難しいと考えられます。

そこで、推進していくために必要なのが医療・介護機関にとって収入の源である「診療報酬・介護報酬制度」で、いわゆる政策誘導型の医療・介護制度と言われるものです。

これは簡単に言ってしまうと、診療報酬や介護報酬を何にどれだけ振り分けていくかによって、医療・介護の体制を変更してくというもの。

医療での診療報酬は2年に1度、介護での介護報酬は3年に1度改定があります。
6年に1度、診療報酬と介護報酬の同時改定がおこなわれ、直近では2012年に医療・介護の同時改定がありました。

次回が2018年、次々回が2024年に同時改定となり厚生労働省ではこれらの3回の同時改定を“ホップ・ステップ・ジャンプ”と表現して、2025年までに現状の医療・介護の在り方から、団塊の世代が後期高齢者になってもスムーズな医療・介護が受けられる、あるべき姿に変革することを目指しています。

 

★監修★

鍵谷昭典(かぎたに あきのり)先生
鍵谷医療IT経営 代表
認定登録 医業経営コンサルタント
経済産業省推進資格 ITコーディネーター
地域医療福祉情報連携コーディネーター
医療機関・医療機器企業・製薬企業等向け勉強会多数実

医療問題、コレだけ知っとこ!バックナンバー

第1回 少子高齢化と医療制度の親密なカンケイ
第2回 病院のベッド数削減で何が起きるか説明できる?
第3回 “入院満足度が過去最高” 受療行動調査について理解しよう!
第4回 “2025年問題”が日本の医療にどう影響するか、ちゃんと説明できる?

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