患者さんが痛みや病状を伝える時に、何気なく使っている「ズキズキ」「ガンガン」「シクシク」といった表現。 実は、病状によってよく使われる表現があり、患者さんの状態を知るためにとても大事なのです。 この表現のことを「オノマトペ」と言います。 今回は、症状ごとにどのような“痛みの表現”がされるかオノマトペについてについてご説明します。
オノマトペ?「ズキズキ」「シクシク」・・・痛みを表す言葉
『オノマトペ』(onomatopée /フランス語)とは、物事の声や音・様子・動作・感情などを簡略的に表し、情景をより感情的に表現させることの出来る手段として使われる言葉のこと。
「お目当てのBARに向かってテクテクと歩いていたら、雨がパラパラと降りだしたので、今日は諦めてトボトボと家路についた」
このカタカナで表記された部分がオノマトペ。
日本語は特にオノマトペの種類が多いとされ、食べ物だけでも「もちもち」「ふわふわ」「とろとろ」「しっとり」「さくさく」「ひやひや」「あつあつ」「ねばねば」「ねとねと」「しゃきしゃき」…など、私たちは日常生活の中で自然と多くのオノマトペを使っています。
オノマトペって実はすごい。約82%の患者が『オノマトペ』を使っているデータがある。
お医者さんや看護師さんに「どんな痛みですか?」と聞かれた時に、患者の多くが使うオノマトペ。
「ズキズキ」「ガンガン」「シクシク」といった表現がそれで、ある専門チームが平成25年にインターネット上で、頭痛や腰痛などの慢性痛を持つ通院経験のある8100人を対象に調査を実施。
その中で「医師や看護師に痛みをうまく説明できなかった」と74.7%の人が回答しながらも、痛みを表現する際に、「ズキズキ」「ジンジン」などの『オノマトペ』を活用したという人は82.2%。
また、オノマトペを使ったことで、痛みを理解してもらえたと感じた人は80.6%という結果に。
オノマトペの中でも最も多い痛みの表現は「ズキズキ」
炎症による痛みと神経性による痛みから、それぞれの疾患ごとに表現する『オノマトペ』を調査してみたところ、最も多かったのは「ズキズキ」が671人。
偏頭痛や肩関節周囲炎、リウマチ、座骨神経痛など15に及ぶ病気で広く使われていることが分かった。
中には、個別の疾患ごとに関連した『オノマトペ』もあり、血管の炎症により起こりうるとされる偏頭痛などの頭痛については「ガンガン」、また、神経症による痛みでは「チクチク」「ビリビリ」といった表現が使われることが多いよう。
より患者さんの疾患状態について理解を深めるために、『オノマトペ』を便利な言葉のツールとして活用してみるのもいいかもしれませんね。