採血を紛失!?イギリスで良く起こる驚きの「I’m sorry.」事件とは?|元医師めぐみの海外滞在記vol.2

イギリス在住の人が病気になったら、ほとんどの人がまずパブリック病院のGP(家庭医)にかかります。
GPは小規模な病院であることも多く、検査室が併設されていないことから、採血などは外部の検査室に検査を依頼することがほとんどです。

今回は、そこで良く起こる、日本ではあり得ない驚きの事実をお伝えします。

※イギリスでは、プライベート病院は治療費は全て自己負担となり(保険は利用可能)、パブリック病院はNHS(国民保険サービス)で医療が無料です。

パブリック病院 検査を受けるまでが一苦労

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イギリスに住んでおり、NHS(国民保険サービス)の登録を済ませた人は、パブリック病院で無料の医療を受けることができます。

しかし、パブリック病院としては、「若い人は放っておいても数週間すれば治る病気がほとんどだから、なるべく検査を行なわずに1回の受診で終わらせたい」というのが本音です。

検査には検査時間もコストも、次回受診の予約の手間も必要です。そのため、ほとんどのGPが積極的に検査を行なわず、全く身体診察をしないことも珍しくありません。
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採血をされるのは、ほとんどの場合、2回目以降の受診時です。初診の予約は1〜3週間先で、次回の受診は早くて1〜2週間先です。普通の感冒であれば、受診した時には発症してからすでに2〜3週間経過しているため、治ってしまいますよね…。
でもこれがイギリスの現状なんです。

パブリック病院は、患者数が多くて忙しいことが、予約日が先になる主な原因です。しかし、頻度の高い風邪などの感染症であれば、2週間程度で治ることが多いので、そこまで自宅で様子を見させるという裏の意図もあるのでは?と思っています。

薬局も多く、一般的な鎮痛薬、風邪薬は街角ですぐに購入可能です。さらに、本当の緊急事態であれば救急科にかかることも可能ですからね。

日本ではあり得ない!採血紛失事件!?

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「パブリック病院あるある」の一つとして、「採血紛失事件」があります。日本ではありえないことで、万が一起こった場合は、すぐさま報告書の作成が必要となる一大事ですが、実はイギリスのパブリック病院ではよく起こっているんです。

看護師さんが紛失するケースもありますが、ほとんどの場合、外部委託している検査会社がなくすことが多いのです。毎日大量の患者さんの採血を扱うので、よく紛失するのも納得…と、悠長に構えてはいけません。失くされた側としては一大事です。

しかし、イギリスでは看護師さんが「Sorry」といって、再度採血を取り直すだけという、あっさりした対応です。

患者側は、NHSという無料の医療であること、NHSスタッフが安い給料で働いてくれているのをわかっていること、医療に限らず完璧なサービスを期待していないことなどから、その状況を受け入れる傾向があるように思います。

さらに国がバックについているNHSを訴えても、時間もお金もかかるし、しょうがないかといったところです。

まとめ

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海外で医療を受ける場合は、痒いところに手が届く、至れり尽せりの日本のサービスとは異なるということを十分に理解しておく必要がありそうです。

<ライタープロフィール>
-めぐみ-
日本で医師として働いていたものの、夫の仕事の関係で一時的にイギリスに滞在中。元医師の視点でイギリスの医療をお伝えしていきます。

イラスト制作/青木優生子 http://www.ucoaoki.com/

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