【2015年最新医療動向】看護配置基準7対1の病院は減少するのか?|在宅医療の基礎知識

「高度急性期医療」を担う7対1入院基本料制度は平成18年に創設されました。

手厚い看護ができる期待を込められた制度でしたが、平成26年度の診療報酬改定では、看護配置基準7対1の施設基準が厳格化され、今後は更に高度急性期から急性期や回復期等へとシフトすることが予想されます。

この制度の動きについて医療コンサルタントの鍵谷昭典が解りやすく解説します!

(2015年12月時点)

「7対1」の看護配置基準とは

「7対1」の看護配置基準とは、一般病床(高度急性期・急性期・回復期等)に入院している場合で、患者さん7人に対して看護職員が1人勤務している状態のこと。これが“手厚い”看護ができる体制と言われている比率です。

平成27年12月現在、看護配置基準7対1の一般病床は、全国で“35万床以上”ありますが、実はこれらを減らして10対1以下の看護配置基準へ振り分けることを厚生労働省は進めています。

思惑通りにならなかった!?「7対1入院基本料」の新設

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そもそも、配置基準の歴史を振り返ってみると、平成18年診療報酬改定以前は、看護配置基準10対1までしかありませんでした。

そこで、平成18年改定で「高度急性期医療」を担う病床として7対1入院基本料が新設されたのです。元々は高度な急性期医療に特化した病床での施設基準として看護配置基準7対1が生まれたものの、診療報酬制度は医療機関の収入と直結することもあり、10対1から1日当りの入院基本料が高い収入となる7対1へ各医療機関がこぞって移行しました。
(7対1の看護配置基準の病床は、診療報酬上の1日当りの基本入院料がもっとも高い点数ですからね)

そのために都市部の大手医療機関は、地方病院や看護学校へ看護師の積極的な募集活動をすることになります。この結果、7対1入院基本料の医療機関は急増しましたものの、逆に看護師不足に陥った医療機関も多くなり、これは厚生労働省が期待していた「手厚い看護の実現」という思惑とは異なっていました。

さらに厳しくなる予想!平成28年度の診療報酬改定

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冒頭でご説明した通り、平成26年度診療報酬改定では、看護配置基準の7対1の施設基準の“厳格化”が行われました。
国は診療報酬上での手厚い看護配置基準である7対1のベッド数が当初計画より多くなってしまったことから、地域包括ケア病棟等への転換策として、厳しい施設基準を定めたのです。

基準の厳格化の結果、7対1入院基本料は平成26年3月に38万床あったところから、平成27年4月時点では1万6千床ほど減少することに成功しました。

しかし、この状況は、厚生労働省が政策誘導で期待していた数値に比べて、まだまだ少ない状況です。
なぜなら、各医療機関が必死に施設基準をクリアして、その維持に努めたからです。

各医療機関側からすると、診療報酬が少なくなってしまうため、当然の抵抗ですね。表向きは7対1入院基本料から転換しなかった理由として、「必要な患者が入院してくるため」や「地域住民のニーズに応えられなくなる懸念があるため」よりも、「施設基準を満たしており、転換する必要性がないため」と回答していることが多かったようです。

厚生労働省は、平成28年度診療報酬改定で、さらに厳しい施設基準(重症度が高い患者の割合等)を打ち出してくる可能性があります。そうなると高度急性期から急性期や回復期、さらには慢性期、在宅医療、介護系等へと、強制的に人材のシフトがすすむこととなるでしょう。

今後は、医療・介護総合確保推進法による各都道府県が打ち出す地域医療構想(ビジョン)に基づき、必要な高度急性期・急性期・回復期・慢性期等の機能に合わせた適正な病床配置が進んでいきます。

その結果、看護師を含むメディカル・スタッフの適正配置が進み、スタッフを取り巻く状況は大きく変化していくことが予想されます。制度の動きをしっかり把握しておきましょう。

<参考>7対1入院基本料に関する診療報酬上の施策の歴史(抜粋)

◆平成17年 医療制度改革大綱にて
「急性期医療の実態に即した看護配置について適切に評価した改定を行う」方針決定
◆平成18年改定 7対1入院基本料創設
◆平成19年 中央社会保険医療協議会から厚生労働大臣への建議
「手厚い看護を必要とする患者の判定法等に関する基準の研究に着手し、平成20年度診療報酬改定で対応すること」と決定
◆平成20年改定 7対1入院基本料の基準の見直し
一般病棟用の重症度・看護必要度基準の導入
「A得点2点以上、B得点3点以上の患者が10%以上」
◆平成24年改定 7対1入院基本料の基準の再見直し
一般病棟用の重症度・看護必要度基準の見直し
「A得点2点以上、B得点3点以上の患者が10→15%以上」
平均在院日数要件の見直し
「平均在院日数が19日→18日以下」
◆平成26年改定 7対1入院基本料の基準の再見直し
一般病棟用の重症度・看護必要度基準の見直し
「名称の変更」及び「A項目について、急性期患者の特性を評価する項目へ見直し」
データ提出加算の要件化
在宅復帰率の導入

監修

鍵谷昭典(かぎたに あきのり)先生
鍵谷医療IT経営 代表
認定登録 医業経営コンサルタント
経済産業省推進資格 ITコーディネーター
地域医療福祉情報連携コーディネーター
医療機関・医療機器企業・製薬企業等向け勉強会多数実施

 

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