現場への影響は甚大!?もう間もなく!平成28年度の“診療報酬”改定|在宅医療の基礎知識

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今年、平成28年度に改定される「医療報酬」。

今回は社会保障審議会医療部会で決定された基本方針に盛り込まれている、高齢化社会や日本経済を踏まえた「基本認識」について医療コンサルタントの鍵谷昭典が解説します!

(2016年2月時点)

今年の「診療報酬」の改定で重視されるポイントは?|在宅医療の基礎知識

平成28年度の「診療報酬」の改定は、社会保障審議会医療部会で平成27年12月7日に基本方針が決定しました。

◆「平成28年度診療報酬改定の基本方針」(厚生労働省HP)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106248.html

この基本方針では「基本認識」となるポイントが3つあります。
(1)超高齢社会における医療政策の基本方向
(2)地域包括ケアシステムと効果的・効率的で質の高い医療提供体制の構築
(3)経済成長や財政健全化との調和

それぞれの「基本認識」について詳しく紹介していきます。

基本認識1 超高齢社会における医療政策の基本方向

これは「団塊の世代」が全て75 歳以上となる平成37 年(2025 年)に向けて、国民一人一人の状態に応じた安全・安心で質が高く効率的な医療を受けられるようにすることが最大の目的です。

人口減少に対する地域医療の確保、少子化への対応、医療保険制度の持続可能性の確保等の問題に対応するためには、地域の実情を考慮しつつ平成26 年度に設置された「地域医療介護総合確保基金」を活用した政策の構築が不可欠としています。

また、2025年よりさらに10年後の目標を定めた「保健医療2035」も踏まえ、「患者にとっての価値」を考慮した報酬体系を目指していくことが必要だとしています。

基本認識2 地域包括ケアシステムと効果的・効率的で質の高い医療提供体制の構築

「医療介護総合確保推進法」(地域における医療・介護の総合的な確保の推進に関する法律)において、医療機能の「分化」「強化」「連携」や、医療・介護の一体的な基盤整備と、超高齢化社会を迎える2025 年を見据えた中長期の政策としての改定を進めていくこと。

また、そのための質の高い人材の継続的確保をしていくことが不可欠であるとしています。

基本認識3 経済成長や財政健全化との調和

「経済財政運営と改革の基本方針2015」(※1)や、「日本再興戦略2015」(※2)等も踏まえて、無駄の排除や医療資源の効率的な配分、医療分野における経済成長への貢献にも留意することが必要であるとしています。

※1 平成27年6月。「経済再生なくして財政健全化なし」という基本哲学のもと安倍内閣の経済財政運営の方針を示したもの
※2 日本経済の再生に向けて、必要な経済対策を講じるため内閣に日本経済再生本部が設けられ、そこで閣議決定された2015年の戦略方針

平成28年度の診療報酬改定における4つの「基本的視点」

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今回の改定では、先ほど紹介した3つの「基本方針」に加えて、4つの「基本視点」が挙げられています。
(1) 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
(2) 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点
(3) 重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点
(4) 効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点
これら、4つの視点について、詳しくご紹介していきます。

視点1 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点

「地域包括システム」とは、重度な要介護状態となっても 住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・ 医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される医療システムのこと。

急性期、回復期、慢性期などの状態に応じて患者側から見た質の高い医療が適切に受けられ、必要に応じて介護サービスとの連携など切れ目ない提供体制が確保されることが重要とする考え方です。

将来を見据えた医療機能の「分化」「強化」「連携」を進め、在宅医療・訪問看護等の整備と質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築が必要とされています。

視点2 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点

今後の医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえ、第三者による評価やアウトカム評価など客観的な評価を進めながら、適切な情報に基づき患者自身が納得して主体的に医療を選択できるようにすることや、病気を治すだけでなく、「生活の質」を高める「治し、支える医療」を実現することが重要であるという考え方です。

この中にはICT(情報通信技術)を活用した医療連携や医療に関するデータの収集・利活用の推進等が挙げられています。pixta_21977290_S-1-min

視点3 重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点

がんや心疾患、肺炎、脳卒中に加え、高齢化社会に伴い今後増加が見込まれる認知症や救急医療など、日本の医療の中で重点的な対応が求められる分野については、国民の安心・安全を確保する観点から、診療報酬改定においても適切に評価していくことが重要であるとしています。

視点4 効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点

高齢化社会や少子化など今後起こりうる医療費増大をうけて、国民皆保険を維持するためには制度の持続可能性が必要不可欠で、医療関係者が共同した医療サービスの維持・向上と同時に、医療費の効率化・適正化を図ることが求められるとしています。

安心して医療が受けられる社会に向けて

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「将来を見据えた課題」として、地域医療構想を踏まえた「第7次医療計画」(※3)が開始される2018年度(平成30年)に向けて、必要な医療機能が地域全体としてバランスよく提供されるように、診療報酬においても必要な対応を検討すべきであるとされています。

※3 厚生労働省が示した指針に基づき、各都道府県が策定する医療計画。5年ごとに計画を策定していて、第7次医療計画は平成30年~35年度実施分

そして、この第7次医療計画では、地域包括ケアシステムの構築に向けて在宅医療・介護の基盤整備の状況を踏まえた質の高い在宅医療の普及と、医療連携や医薬連携等について、引き続き検討を行う必要があります。

また、患者にとって安心・納得できる医療を提供していくためには、受けた医療や診療報酬制度を分かりやすくしていくための取組も必要。

そのために国民全体の医療制度に対する理解を促していくことも重要であり、普及啓発も含め、国民に対する丁寧な説明が求められていくことでしょう。

監修

鍵谷昭典(かぎたに あきのり)先生
鍵谷医療IT経営 代表
認定登録 医業経営コンサルタント
経済産業省推進資格 ITコーディネーター
地域医療福祉情報連携コーディネーター
医療機関・医療機器企業・製薬企業等向け勉強会多数実施

 

【医療報酬と介護報酬の仕組み】診療報酬の改訂がどうやって進められているか知ってる?|在宅医療の基礎知識

2016.01.18

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