滋賀県大津市で見つけた!在宅医療の「多職種連携」が目指す姿 -チーム大津京【イベントレポート】

先日取材させていただいた滋賀県大津市の西山医院・西山順博院長がサブリーダーを務める「チーム大津京」の定例集会にココメディカマガジン編集部が潜入してきました!

医療・介護・福祉に関わる多職種が集まる「チーム大津京」は、開設から4年、2ヶ月に一度のペースで様々な勉強会を開催して地域の医療介護のレベルアップを目指しています。在宅医療に携わる皆さんが悩む「多職種連携」の事例として理想的な地域の取り組みだと感じましたので、定例集会の様子とともにチーム大津京についてご紹介します。

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▲チーム大津京の皆さん。JR大津京駅前の西山医院の一室で2ヶ月に一度勉強会を行っています。毎回40名近くのメンバーが集まっているそうです!

集まる職種の豊富さと連携の深さが「チーム大津京」の魅力

「チーム大津京」は滋賀県大津市で活動している在宅療養サポートチーム(hST)。滋賀県大津市では、市を7つの地域に分けてOKミーティング・あんしんネット堅田・比叡在宅療養応援団・膳所地域多職種連携の会・中エリア多職種連携推進会議・チーム洗堰・チーム勢多という在宅療養サポートチーム体制を作り、行政とも密に連携しながらそれぞれの地域をサポートしている、地域医療の見本となる地域です。

2ヶ月に一度開催される定例集会には、ケアマネージャー・医師・歯科医師・薬剤師・看護師・管理栄養士・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・歯科衛生士・鍼灸師・介護施設職員・医療ソーシャルワーカー(MSW)・社会福祉士・介護福祉士など、地域の医療介護を支える専門職が集まり、毎回異なるテーマを設定して勉強会を開催しています。

◎チーム大津京や在宅療養サポートチーム(hST)の詳細は西山院長のインタビューをご覧ください
「在宅医療・地域医療の最前線|大津京独自モデル“hST”に迫る」pixta_21977290_S-1-min
▲今回の勉強会のテーマは「看取り」。在宅医療の従事者ならば誰もが直面するまだまだたくさんの課題があるテーマです。

「看取り」についてもっと知ってほしい。市民へその思いを発信

今回の定例集会では、9月25日の大津市医療福祉フォーラムでお披露目した「看取り」をテーマにした「劇」の録画を鑑賞し、その後、在宅看取りの現状や課題について意見交換をしました。

劇は、大津全域のhSTのメンバーで構成された『おおつ在宅療養応援団』が練習を重ね、一般の市民の皆さんに「在宅医療で出来ることは何か」「自宅で看取るというのはどういうことか」をわかりやすく伝える内容。笑いあり涙ありの劇で、350名を超える大津市民が見に来られたそうです!pixta_21977290_S-1-min
▲真剣に視聴する参加者の皆さん。関西人らしくテンポとノリの良い劇でどんどん引き込まれます。

自宅看取りの現実を、医療従事者の視点からわかりやすく市民へ発信

大津市医療福祉フォーラムで公演した「看取り」劇の内容を簡単にご紹介します。
(なんと40分に渡る劇の台本は西山医師が作られたとのこと!)

■舞台は、病院での退院前カンファレンスから。
余命1ヶ月をどのように過ごすか、家族を交え療養方針を決める場面から始まります。
ご家族は自宅で療養することには不安が大きくなかなか前向きになれません。しかし医師を始めとるするサポートチームとの会話で、ご本人の意思を尊重して自宅で過ごすことを決意します。pixta_21977290_S-1-min
▲出演者は全員現役の医療・介護関係者。何度も仕事の合間に集まって練習をしたというだけあり、非常に完成度の高い劇でした。

■舞台はご自宅へ。
訪問薬剤師・訪問歯科・栄養指導など、在宅医療を活用したことがない市民にとっては「そんなことも在宅で出来てしまうんだ」という気づきを盛り込みながら、在宅医療の理解を促していきます。ケアマネージャーにリアルなお金の相談をする場面などもあり、一般的に在宅医療の利用者家族が不安に思うことをわかりやすく、劇の中で語りました。

■ついに、最期の日。
息が止まってしまった時に救急車を呼んでしまうと警察が出動し、異常死の可能性を調べるため検死が必要になってしまうこと。そうしないためには、前もってご家族が「死」の直前に起きる患者さんの体の変化を理解し、かかりつけの医師や看護師にまず連絡をしてもらうことが大切だということを伝えました。

最期の時に救急車を呼んだらどうなるのか、という「if」のケースもわかりやすく演じられ、市民のみなさんにも最期の時にどう準備すればいいのかというイメージが伝わったことと思います。
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▲劇の終演後に西山先生が「在宅で看取りをすると、悲しいという感情はもちろんあるものの、『ありがとう』『お疲れさま』という気持ちになれるんです。」とお話された言葉が、私は一番印象に残りました。pixta_21977290_S-1-min
▲劇鑑賞後は、「看取り体験」について、看護師・施設職員・医師らがそれぞれの体験を踏まえて、議論を交わしました。自宅看取りは地域の医療介護従事者の全員が関心高く、それぞれが悩んでいるテーマでした。

チーム大津京では過去「平安な最期を迎えるためのリビング・ウイル」「在宅療養に鍼灸・マッサージを組み込むには」「ONSってなーに 介護うつに対する我々の責務」などをテーマにした勉強会を開き、地域医療のレベルアップに大きく貢献しています。

参加者の皆さんに突撃取材!!

参加者のみなさんに大津市での在宅医療について、チーム大津京の活動について取材させていただきました。本当にみなさん勉強熱心で、年齢・性別・職種が様々だったことが印象的でした。pixta_21977290_S-1-min
▲(左)大津市で鍼灸院の院長を務める渡邊さん。「今回で5回目の参加です。地域の医療の状況をリアルに知ることができる。鍼灸と医療の連携はまだまだこれからですが、このチームの中で相互理解を進めていけば、お互いに協力できることが増えると思っています!」(渡邊さん)

(右)大津市のハッピーねもとクリニック院長の根本医師。大津市で一番多く看取りを行っている医師として皆に頼られる存在です。災害復興にも積極的に取り組まれ先日の熊本地震の際にも現地での医療体制作りに活躍されました。pixta_21977290_S-1-min
▲滋賀を中心に店舗を展開するうさぎ調剤薬局の管理薬剤師の保井さん(中央)。チーム大津京ではサブリーダーを務めています。今回はちょうど研修に来ていた薬学部の学生2名と共にご参加。
「在宅看取りのこと、在宅医療のチームのことは大学ではなかなか現状に触れられないので、今日は安心して患者さんたちが過ごすために連携が大切だと実感できました!」(高橋さん・神戸薬科大生)「看取りの様子を市民の皆さんに知ってもらうことは本当に大事だと思いました」(石橋さん・大阪薬科大学)

地域医療・在宅医療の現場で起きていることはなかなか勉強しただけではイメージが築きにくいですが、大学生のうちにこうした交流の中で体感できるのは非常に有意義だと感じました。ぜひもっと多くの方が学生のうちに、地域に触れる機会を増やしたいですね。pixta_21977290_S-1-min
▲チーム大津京のリーダーを務めるケアマネージャーの矢守さん。チーム大津京では、在宅医療の中心はケアマネージャーであるべきという考えで、矢守さんを中心に、各職種の皆さんが支えあう運営体制になっています。
「4年前に発足した時は参加者は10人くらいしかいませんでしたが、今では毎回40人近くが参加し、過去に160人の人が参加してくれました。これからはより現場に近いヘルパーさんや看護師さんたちの参加が増えてほしいと思っています。」(矢守さん)pixta_21977290_S-1-min
▲チーム大津京の結成当初より参加されている滋賀県栄養士会の管理栄養士、清水さん・千田さんが毎回手作りおやつを差し入れしてくれるそうです。今回はおまんじゅう。私もいただきましたが、さすが美味しい!おまんじゅうを持ってるのは大津老人ホームの看護師、中村さんです。

大津京のモデルがさらに発展することを願っています!

定例集会後には毎回、近所の焼き鳥屋さんに移動し、お酒を飲みながらコミュニケーションをしているそうです。実は編集部メンバーも参加させていただきました!2ヶ月に1度のこの飲み会を皆さん楽しみにしているようで、医療・介護に関わることから、趣味の話まで、多岐にわたるお話ができました。
これだけ幅広いの職種の方が、同じ目線で語らいながら仕事できている地域はまだまだ少ないのではないでしょうか。大津京のさらなる発展を願います!

◎西山院長のインタビュー記事はこちら

在宅医療・地域医療の最前線|大津京独自モデル“hST”に迫る -公益社団法人 大津市医師会 理事 学術部長・医療法人 西山医院 院長 西山 順博-

2016.10.20

◎チーム大津京の取り組みについてのお問い合わせ
チーム大津京についてのお問い合わせは、西山医院HPのお問い合わせページより
お問い合わせください。
http://www.nishiyama-iin.com/cgi-bin/nishiyama-iin/siteup.cgi?category=3&page=2

(取材・文/ココメディカマガジン編集部、撮影/前川聡)

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