患者と家族の想いを通わす、エンゼルケアに込めた想いー彦根中央病院 看護師長 西河美智子ー

医療を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、看護職にはより高いスキルと専門性が求められるようになりました。今後ますますの進化・発展が必然な高齢者医療分野から、きめ細やかな対応が求められる地域医療まで、あるべき看護の世界を力強く進むそれぞれの想いをインタビュー。

高齢化社会を支える地域に根ざした『彦根中央病院』

大きなメイク道具を抱えて駆け寄るひとりのナース。「病院でメイク道具だなんて、ちょっと不思議な感じがしますけど、これは私たちの仕事に欠かせないものなんですよ」と語る彦根中央病院 看護師長の西河美智子さん。

ここ、彦根中央病院は1970年の開設以来、救急告示病院として急性期医療を中心に活動。やがて、近隣エリアの高齢化に伴い、1996年から訪問看護室の設置など高齢者看護の取り組みを強化。慢性期医療として介護療養型施設でのリハビリテーションや訪問看護室による自宅療養支援など、高齢化社会を支える医療機関として地域に根ざしている。

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慢性期医療機関として、『何ができるか、何が必要か』

「慢性期医療としての取り組みを始めた当初は、様ざまな葛藤がありました。入院される患者さんのほとんどが亡くなるという現実を目の前に、看護師として無力さを感じたりメンタル的にとてもしんどい時期がありました」。と語る西河さん。

その中で自分達に何ができるか、どうすればもっと患者さんに寄り添ったケアができるのか模索する日々が続く。また、当時は看取り看護についての認知も低く、オペレーションに沿って患者さんを受け入れ、見送るしかなかった頃。「ちょうど今から10年前、2025年問題もまだニュースになっていなかった頃でしたから、退院できない患者さんを他院から受け入れていた病棟は、社会より10年早く高齢化の問題に直面していました」と、当時を振り返る。

「なす術がなく、ただ患者さんを見守る毎日。そんな時、ある患者さんに『こんなところで、こんな風に最期を迎えるのは辛いよね』と話しかけたことがあったんです。すると、患者さんの目から大粒の涙がポロポロとこぼれて・・・何の意思疎通もできないと思っていたけれど、本当は解っているんだ!とその時、気づかせてもらったんです」。それからは、どうすればもっとその人らしい終末医療が提供できるのか、どうあるべきか繰り返し自問自答したという。

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『エンゼルケア』を通じて救われたのは、看護師自身

そして、西河さんを中心に取り組んだのが、亡くなられた患者さんへのエンゼルメイク(死化粧)。

「これは、大切な人を亡くされたご家族にとって、ショックを受け止めていく上でとても大切なプロセスと考えています。お顔をマッサージして、ファンデーションを塗り口紅を差す頃には、みなさん少しホッとした表情になるんですよね。ご家族の手によって元気だったころのお顔で見送ることは、まだ温かい患者さんに触れご家族がその温もりを受け取るための大切な時間だと思います。病院であっても、まるで自宅で最期を迎えられるような空間を作ることが私たちの役割だと思っています」。

そして、この想いは患者さんやその家族だけでなく、看護師達の救いにもつながり、さらには彦根中央病院のポリシーへと発展。現在では新人看護師の研修はもちろん、事務やリハビリ、薬局など病院で働くすべてのスタッフがエンゼルメイクの研修を受けるという。そして、なぜそれが必要なのか、自分たちが目指す医療が何なのか病院に携わる全員が共通の認識を共有している。

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『看護師は唯一、生から死への位相を知る』

現在では、各医療機関が高齢化社会に向けてどのような看護を行うべきか模索する中、その草分け的存在として西河さんには多くの専門誌からの取材や講演依頼があるという。「もっともっとこのエンゼルケアが広まってくれることを願っています。『看護師は唯一、生から死への位相を知る』という想いを胸にこれからも向かわなければならない課題に、思案を重ねて磨いていきたいと思っています」。

◆医療法人 恭昭会 彦根中央病院
琵琶湖を臨む湖東エリアに位置する彦根中央病院。開院当初から土日診療も受け付け、「より深い、思いやりのある医療を」をモットーに365日地域の安心を担う。また、働く人にとって嬉しい福利厚生が充実していて、24時間体制で保育および学童保育(小学校3年生まで)を整備し、 長く働ける環境作りを行っている。
【診療科目】
内科・消化器科・小児科・外科・整形外科・脳神経外科・放射線科・リハビリテーション科・眼科・耳鼻咽喉科・形成外科・肛門科・麻酔科・皮膚科・リウマチ科・婦人科
【定床数】
一般病棟(44床)、療養病棟(96床)、回復期リハビリ病棟(40床)、介護療養型医療施設(60床)、障害者病棟(106床)

〒522-0054
滋賀県彦根市西今町421
TEL:0749-23-1211(代)
E-mail hchp@nifty.com
http://www.hikone.or.jp/

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