看護師の新しい働き方。“病児・病後児保育施設”で働く看護師の実情とはーKIDS FIRST メディカルキッズ 柳山久実ー

女性の社会進出に伴い、産休明けや産後間もなく保育園に子どもを預けて働きたいという女性の数は年々増加しています。 一方、子どもを保育園に入れることができても、発熱時や病気の回復期には子どもを預けることができず、働くことがままならないという母親たちの声も多く聞かれています。 そんな中、今注目されているのが『病児・病後児保育施設』。 今回、2014年6月にオープンしたメディカルキッズ 病児・病後児保育室で働く看護師の柳山久実さんに、仕事のやりがいや、病院勤務との違いについてお話を伺ってきました。

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▲メディカルキッズ 病児・病後児保育室

看護師リーダー 柳山久実さん
看護学校を卒業後、大阪市立小児医療センター(現:大阪市立総合医療センター)での勤務を経て看護医療専門学校小児科専任教員や企業内看護師として従事。2014年4月KIDS FIRST(保育園)のオープンに伴い、同年6月メディカルキッズ病児・病後児保育室のリーダーとして着任。

働く母親達を支える病児病後児保育室

-KIDS FIRST・メディカルキッズはどんな保育園ですか?

当園の母体は大洋薬品大阪販売株式会社という、医薬品の卸売や調剤薬局等の運営を行なう会社です。医療現場においても女性の社会進出は著しく、医師や薬剤師など専門職で働く女性も多くいらっしゃいます。

その中で、お子さんを出産されてから仕事と子育ての両立に悩む多くの方と社長が接する中、安心して仕事に専念できる医療と保育が連携した保育園を創りたいという思いから、通常の保育園としての機能はもちろん、病気やケガをされたお子様でも安心して預けていただける病児・病後児保育室を併設したKIDS FIRST・メディカルキッズが誕生しました。

看護師として普段はどんな仕事をされているのですか?

病児がいない時には保育園で保育士さんのサポートをしながら、園児たちの健康チェックを行います。表情や様子を観察し、体調の悪い子はいないか、異変が起きていないかを見守ることが主な仕事です。

子どもの場合、さっきまで元気に遊んでいたのに突然、熱が出たり、顔が真っ青になってしまうことも少なくありません。

そのため、朝とお昼寝の後には全員の体温を測り、お薬を飲まないといけない園児の管理や室温や湿度など環境管理も毎日欠かせない仕事です。
また保護者にも園内で流行っているウイルスのことを伝え、感染が懸念される園児には病院に行くよう指導をすることもあります。

もし、園内で体調を崩してしまったり病気がまだ完治していない園児がいたりする場合には、病児・病後児保育室で預かります。感染症に罹っていたり、症状によってはお子様を隔離して看護もします。
ときには提携病院に連れて行き、自宅での看護について保護者への指導も行います。
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▲メディカルキッズは保育園から歩いてすぐの場所に併設。室内は感染症病児とその他の病児が接触しないよう個室も完備。

保育園看護師の「給料」「勤務時間」「やりがい」は?

病院勤務と保育園勤務の一番の違いは何ですか?

病院の看護師は、患者さんの治療や看護が中心になりますが、保育園の場合は基本的には子どもを見守り、何か異変があった場合にその原因が何から来ているのか、可能性のある症状や対応を予測し「子どもを病気から未然に防ぐ」ことが一番の違いかもしれません。

また、接するのは園児だけではなく、保護者であるお母さん方とのコミュニケーションが非常に多いのも特徴です。
病気にかかったとき以外にも、子育てや発育に関する悩みや相談を受けることも多く、私自身2人の子どもを育ててきた経験や、看護師として多くの子どもを看てきた経験はここではとても活かされていると思います。

そしてなにより、園児とは病気の時にだけ接するわけではないので、園児一人ひとりが発育し成長していく姿を見守れるのがここでの一番の喜びですね。

待遇面や勤務条件では、病院とはどんな違いがありますか?

私は、これまで病院の小児科看護師、医療専門学校での教員、企業内看護師として様ざまな職場で働いてきましたが、やはりお給料が良いのは夜勤をする病院での勤務でした。

ただ、私自身2人の子どもを育てながら看護師の仕事を続けてきたので、夜勤がとても辛い時期もありました。
そういった理由もあり、日中だけ働ける教員や企業内看護師など様ざまな職場でその時々のライフスタイルに合った職場を選んできたので、「働きやすさ」という観点で考えると一般企業で働く人と同じ平日9時~18時勤務で残業なしの“企業内看護師”は家庭と両立しやすかったですね。

今は、私の子どもは独立して手がかからないので、病児・病後児保育室で7:30~22:00の間でシフトを組みながら自分のスタイルで働けるのがいいと思っています。
病児・病後児保育室でのお仕事は頑張り次第。いかに喜ばれるサービスを実現できるか大変なことも多いですが、逆に楽しみでもありやりがいです。
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▲現在、保育園には約30名が在籍。他の保育園で預かってもらえない病児を一時保育することもあり、保護者の要望に応じて7:30~22:00まで対応している。

保育園勤務だからこその苦労はありますか?

病院勤務の場合、看護師は決まった仕事を決められた役割分担で行っていくのが一般的ですが、病児・病後児保育施設では大前提となる園児の健康管理や看護はもちろんですが、園児・保護者・スタッフ・会社にとってどういうやり方がいいか、自分で考え企画し実行し続けていかなければならない点では、苦労する面もあります。

会社経営的な感覚が求められるのは今までの職場ではなかったことですし、業界や様ざまな制度について調べたり勉強したりすることがたくさんあります。

また、保育園では園児と保護者の方はあくまでお客様。病院勤務とはまた違った“ホスピタリティ”が求められるので、話し方ひとつとっても親しみやすさの中にビジネスライクな礼儀やマナーが求められる厳しい側面もあると思います。

働く親にとって現実に即した保育事業へ

今後、どんな保育園・病児病後児保育室にしていきたいですか?

現在、取り組んでいる一般保育と病児保育の基盤をさらに固めていくのはもちろんですが、働く親御さんにとって、マナーや躾、教育に関することまで思い煩うことなくお子様を預けていただける施設として、さらに磨きをかけていきたいです。

具体的には、食育に対する取り組みや神経経路の形成に必要な運動、表現や好奇心を育む絵本の読み聞かせやお絵かきなど、その年齢に応じた発育に必要なプログラムを取り入れていきたいですね。

医療の分野においては定期受診への対応やワクチンの予防接種、一人ひとりの園児に対応した検診の個別計画など、きめ細やかな対応を行えるよう仕組み作りも今後さらに必要になってくると考えています。

また、育児に対する悩みや病気の子どもを預けて仕事をしていることにどこか罪悪感を持ってしまっている親御さんに対して、看護師として母親の先輩として精神的なフォローも行えるよう、私自身が余裕を持ちながら『見逃さない』働き方をしてきたいと思っています。
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まとめ

病児保育事業は、 国の施策としては病児デイケアパイロット事業にはじまり、病後児デイケア・モデル事業を経て 平成7年度から市町村補助事業として「乳幼児健康支援デイサービス事業」、翌年には、「乳幼児健康支援一時預かり事業」として全国各地で展開されています。

働く親にとって、保育施設はまだまだ不十分であり、育児と仕事の両立には様ざまな課題が多く残されています。
今後、柳山さんを始めとする、多くの経験を持つ看護師や医師、保育士、栄養士が連携することで、働く親と子どもにとって現実に即した価値のある保育事業へ取り組みが期待されています。

◎取材先紹介

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KIDS FIRST メディカルキッズ 病児・病後児保育室

2014年4月、医薬品販売や調剤薬局の運営を行なう大洋薬品大阪販売株式会社が、産後・育休明けの働くお母さんたちが安心して子どもを預けられる医療と保育を取り入れた教育託児施設として設立。
現在、大阪梅田と玉造にそれぞれKIDS FIRST(保育園)と、メディカルキッズ(病児・病後保育室)があり、0歳児から在籍。
2016年度からKIDS FIRST玉造園は認可保育園として新たにスタートする。

◆メディカルキッズ玉造
〒537-0025 大阪市東成区中道3-16-15 ソレアード玉造1階
TEL 06-6971-9910(キュウキュウトウバン)
http://kids1st.jp/index.html

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