「絶対断らない」をモットーに24の自社施設と多職種連携による一貫した医療を提供。 -医療法人社団さくらライフ 代表・総院長 中田賢一郎-

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墨田区、市川市、江戸川区で在宅医療クリニックを展開する医療法人社団さくらライフ代表・総院長の中田賢一郎先生は、10年以上前に錦糸町で在宅医療中心のクリニックを開業されました。その後は、全ての人に医療を提供したいという想いを持って現場に立ち続け、現在では3つの在宅医療クリニックの他に4つの総合病院、デイサービスセンター、介護付有料老人ホーム、そして保育園など24の施設運営を行っておられます。(2016年12月現在)

現役の在宅医療ドクターとして日々診療に走り回りながら、同時に24の病院・施設のマネジメント・人材教育・経営管理も行っていらっしゃる中田先生に、在宅診療が今後進むべき姿についてお話を伺いました。

▲中田 賢一郎 (なかた・けんいちろう)さん
医療法人社団さくらライフ 代表・総院長 

埼玉医科大学卒業後、順天堂大学医学部付属順天堂医院研修医を経てカリフォルニア州立大学留学。帰国後、順天堂大学医学部付属順天堂医院総合診療科助教を経て2004年さくらライフクリニックを開業。現在は医療法人社団さくらライフを設立し、複数の病院運営、病院再生、人材教育・育成などに携わっている。
 

患者の症状改善のヒントは自宅に

-在宅医療に興味を持たれたきっかけを教えてください。

研修医時代は医局とあわせていくつかの病院でも勤務しましたが、外来診療では入手できる情報に限界があるように感じました。例えば、外来でいらっしゃった認知症のお年寄りがいつも右足ふくらはぎに内出血をしていても、医師はその理由を明確に把握することはできません。

しかし、実際に家に行きさえすれば、ベッドから起き上がる際に脇に置いてあるサイドテーブルにいつもぶつかってしまうことが原因だったと一気に解決できるのです。

 

-自宅で生活環境を目の当たりにすれば、症状の原因を実際に見つけられるのですね。

医者の仕事は、ある意味推理小説の謎解きにも近いかもしれません。そして答えのヒントが、自宅や家族にあることが多いので在宅医療に興味を持ちました。

また、子どもの頃から友人の家に遊びに行くことが好きだったことも関係あるかもしれないですね。幼少期から学生時代に渡って幅広い友人達と時間を共にしましたし、サークル活動やバイトも複数行っていたので、現在もコミュニケーション力は役立っているかなと思います。

 

-在宅医療は連携が不可欠ですので、人脈やコミュニケーション力は大切ですよね。

学生時代は医学を学ぶかたわら、サークル活動の長をするなど幅広い経験をしました。運動も好きでして、大学時代にはブラジリアン柔道の世界選手権や全日本ダートトライアル選手権にも出場しました。最近はさすがにそれほど体を動かす機会は減りましたが、先日もいわき市にあるグループ病院に行ってきた際に、地域活動の一環として現地の中学生と柔道を行って来ました。…いやぁ最近の子供は体格がいいですね。ちょっと無理をしてしまいまして、今、実は足にギプスをしています(笑)

 

-医業だけではなく様々なご活動をされているのですね!

それぞれの経験が今でも本当に活きています。カリフォルニアに留学した時は、あえて医学部ではなくビジネススクールに行きました。授業は相当大変でしたが、この時に学んだマーケティングや経営の基礎は今でも大いに役に立っています。

 

「絶対断らない医療」を提供したい

-在宅医療クリニックの立ち上げはいかがでしたか。

10年以上前は在宅医療を提供しているクリニックはまだ少なく、まずはどのエリアに開業するか悩みました。開業当時はもちろん、10年後も高齢者がいるかどうかといった人口分布や、訪問診療は車での移動が多くなるので車道が走りやすいか、また駐車場は十分に整備されているかといったエリアの特徴等も色々と調べた結果、錦糸町にクリニックを開院しました。

 

-開院後はどのように集患されましたか。

当時の錦糸町はそれほど栄えていなかったので、開業すれば患者が来るというわけではありませんでした。そこで、江戸川区の福祉事務所へ出向き患者を紹介していただけるようお願いをしたところ、担当の方と様々な話をする中で、実は他のクリニックで診察を断られてしまっている方々の存在を知りました。

 

-必要な医療が受けられない方がいらっしゃったと。

多くは家庭環境に問題がある方や精神疾患の方々でした。もともと私は患者との対話やコミュニケーションを中心にした治療に重点を置いていたので、それならと思い、精神科をメインにした在宅医療に舵を切りました。

 

▲大学病院の総合診療科に所属し何でも診ていた中で、精神科の患者さんとも多く関わり興味を持ったという。「何でも受けます!断りません!」がさくらライフの文化だと語る中田医師。

 

-精神疾患中心の在宅医療を行うにあたって心掛けたことはありますか。

この時から今に至るまで、私たちは「絶対断らない」をモットーにしています。全員が平等な治療を受けられるように、私たちができることは徹底的に行うことを信念にしました。精神疾患の場合、患者本人はもちろん家族との話し合いも大切です。診療が1時間で終わらないケースも多いですし、患者さんのご家族とそのまま夕食を共にするなんてこともありました。

 

そうしていく中で、同行していたケアマネさんが、こんなにじっくり時間をかけて治療をしてくれる医者がいるんだと私の治療方針に共感してくれて、そこから紹介に繋がるというケースも出てきました。その後も同じスタンスで治療を続けていくうちに、福祉事務所担当者からも信頼をいただき、その後は精神疾患の方を中心に紹介がどんどん広がっていきました。

 

「絶対断らない医療」にするための第二ステップ

-集患以外に大変なことはありましたか。

大学病院勤務時代に様々な診療科で治療は行っていましたが、それでも褥瘡など在宅医療特有の症状もあったので、皮膚科、内科、脳神経科など学生時代の医師ネットワークにはとても助けられました。開業当初は横のつながり、医師連携があったからこそ対応できたと言っても過言ではないかもしれません。

そしてもう一点、患者の容体が急変して緊急入院が必要になった際に、精神疾患の方が多かったこともあり、なかなか受入れ先の病院が見つからないことも多かったのです。「絶対断らない医療」を徹底するためにはこのままではいけないと思い、だったら自分たちで提携病院や施設を持つことにしたのです。

 

-信念を貫くために病院まで開設されたとは驚きです!

最初は、埼玉県内の社会福祉法人の経営権を譲り受けました。担当している患者を迅速に入居させることが一番の目的でしたが、実は運営体制変更後は一般の方々の利用も増えていきました。施設の設備や運営体制を見直して効率化を図り、また地元の方々を巻き込んだイベントを定期開催するなどで地域密着型の施設運営を行っていくうちに、地域や行政から信頼をいただき、次第に病院・施設の運営や再生に関する様々な相談を頂くことが増えていきました。今ではクリニック・病院・介護施設など24の施設を運営しています。

 

▲“地域密着型”の病院を目指し様ざまな活動にも尽力。「数字や点数のことばかり考えているだけじゃつまらないですからね(笑)」と話す中田医師。

-施設運営上の秘訣等はありますか。

どの病院も地元との繋がりを大切にしています。ケアハウスのイベントに地域のコーラスさんを呼んで歌って頂いたり、地元のマラソン大会に私も仮装して参加して高校生らと盛り上がったりと、とにかく、地元の方々との触れ合いを大切にしています。在宅医療だからと高齢者に限ることなく、幅広い年齢層と触れ合うことが必要だと考えています。

 

「医の根本」ともいえる在宅医療

-今後の在宅医療についていかがお考えですか。

ここ数年で在宅医療が注目される機会が増えましたが、個人的には画一的な診療方針、治療内容になりすぎているのではないかと危惧しています。

もちろん、ルールや制度を整えることは大事です。ですが、外来診療と異なり「家庭」が舞台の在宅医療では、家族構成、自宅の間取り、出身地、日々食べているもの、友人との付き合い方など、患者の生活全般が病気の原因になり得ます。ですから患者に関わる様々な情報を、時間をかけて医師がしっかり把握することが大切ですし、治療においても画一的なものではなく、一人ひとりの生活や家庭環境にあった医療を提供する必要があります。

▲ファミリードクターのように家族のことも把握しておくことが大事。「それぐらいのことを分かっていないと、正直病気のことは分からないですよね。」と語る。

 

-確かに、在宅医療は幅広い情報収集が必要ですね。

情報収集は治療ではありませんので診療報酬にはなりません。また、時間がかかる作業なので医師にとってはやりたくない分野かもしれません。

ですが、本来の在宅医療とはどうあるべきなのでしょう。一人ひとりの患者の周辺情報を整理して理解した上で、患者の生活に適した治療や患者が求めている治療を行うことが在宅医療ではないでしょうか。

高齢の方ですと、言いたくても上手く伝えられないケースもあります。だから家族との会話も大変重要になります。在宅医療に携わる医師同士で話し合うことも大切ですが、もっと他の専門に従事している医師や医療関係者、さらには地域の方々と連携して総合的なケアをしていくことが今後の在宅医療に求められていると考えています。

 

取材後記

中田院長は、大学時代は医学生として勉強をしながらサークル活動やアルバイトも多数行い、さらにブラジリアン柔術やダートトライアルでは日本代表に選抜される腕前をお持ちの方です。その上、アメリカ留学では経営学について学ばれるなど「どれだけ密度の濃い人生を送られていらっしゃるのだろう!?」という驚きを隠せませんでした。そして現在も、日々の診療はもちろん、24施設の経営管理やマネジメントとあわせてさらに、今後を担う在宅医の育成や教育にも力を入れられているなど、今後のご活躍から目が離せないと思いました。

 

◎取材先紹介

医療法人さくらライフ
http://www.slclinic.com/

※今回はさくらライフ市川クリニックでお話を伺いました。

さくらライフ市川クリニック
〒272-0034
千葉県市川市市川1-12-7 金定ビル301
TEL:047-322-8665 / FAX:047-322-8850               

 

<その他の施設紹介>

さくらライフ江戸川クリニック
〒132-0021
東京都江戸川区中央4-11-8 アルカディア親水公園ビル 1F
TEL:03-6868-7851 / FAX:03-6868-7852

さくらライフ錦糸クリニック
〒130-0011
東京都墨田区石原4-12-10 ABYビル 1F
TEL:03-3625-5547 / FAX:03-5819-2258

医療法人弥生会 吾妻さくら病院
〒377-0423
群馬県吾妻郡中之条町大字伊勢町782-1
TEL:0279-75-3011 / FAX:0279-75-3299
http://www.a-sakurahosp.com/

 

医療法人社団 愛和病院
〒344-0117
埼玉県春日部市金崎702-1
TEL:048-746-7071 / FAX:048-746-2207
http://www.k-sakurahosp.com/

 

医療法人社団ときわ会 常盤平中央病院
〒270-2261
千葉県松戸市常盤平6-1-8
TEL:047-387-4121 / FAX:047-388-7878
http://www.tokiwakai-chp.com/

 

医療法人 福島アフターケア協会 大河内記念病院
〒973-8402
福島県いわき市内郷御厩町3-96
TEL:0246-26-2588 / FAX:0246-26-4895
http://www.f-sakurahosp.com/

 

<取材・文 ココメディカマガジン編集部 /撮影 菅沢健治>

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