再生医療と訪問診療。新たな医療ビジネスモデルをつくる挑戦。 -Relife Medical(リライフメディカル)株式会社 取締役 松尾 晃瑛-

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生物の細胞や組織の再生機能を利用した治療法として、注目されている再生医療。今後、さらなる転換期を迎え、産業化が加速する可能性を秘めています。
福岡市中央区に拠点を構える「Relife Medical(リライフメディカル)株式会社」は、歯科・内科のクリニック経営と再生医療のための研究・培養を行なっている注目企業です。「きっかけは、歯科訪問診療ビジネスでした」と振り返る取締役の松尾晃瑛さんに、再生医療と訪問診療ビジネスの将来性についてインタビューさせていただきました。

 

<プロフィール>

▲松尾 晃瑛(まつお・こうえい)さん

Relife Medical(リライフメディカル)株式会社 取締役

翠の社クリニック平尾・審美デンタルクリニック平尾 事務長

建築会社の営業から歯科クリニックのコンサルティング業務を経て、福岡市に2014年「翠の社クリニック平尾」「審美デンタルクリニック平尾」を設立。2015年、クリニック内に再生医療の専門機関「Relife Medical(リライフメディカル)株式会社」設立。さらにグループ企業として、有料老人ホームを展開する「メディカルケア合同会社」、調製薬局を手がける「合同会社VIEL」、居宅介護支援ケアプランセンターの運営にも携わっている。

 

医療・美容業界が注目!「ヒト脂肪由来幹細胞」の再生医療とは?

-訪問診療クリニックだけでなく、幅広い事業展開をされていると伺いました。

内科の訪問診療と外来診療を行う「翠の社クリニック平尾」、訪問歯科診療と外来審美歯科を行う「審美デンタルクリニック平尾」という2つのクリニックからスタートし、両クリニックの運営を通じて治療や予防のための再生医療に着目するようになりました。

そして立ち上げたのが、「リライフメディカル」です。

ヒト由来脂肪幹細胞の上清液の培養を行う専門機関で、現在はこの再生医療事業が当グループ企業の中核を担っています。

 

-ヒト脂肪由来幹細胞? 再生医療? それは一体・・・。

現在も全国の研究機関や大学病院などで研究が進んでいる先進医療の一つです。

歯科領域では、患者さんご本人の歯髄(しずい)や皮下脂肪などから採った幹細胞の培養液を使って、重度の歯周病で失われた歯周組織(歯茎)を再生する治療が代表的です。

これらの幹細胞を培養する時に発生する“サイトカイン”と呼ばれる成長因子(タンパク質)の上清液が医療原料として、歯科治療だけではなく、糖尿病の治療や認知症の予防など、今後さまざまな医療に活用できるのではないかと期待されています。

 

-その培養液をこちらで作っているのですか?

はい。クリニックの上階にCPC(細胞培養センター)があり、専任の培養士も常駐しています。

培養した上清液はアンプルとして冷凍保存し、東京を中心に全国の病院、内科、歯科、美容外科、化粧品会社など、品質保持をできる環境を備えた取引先に出荷しています。

問い合わせは年々増えており、再生医療に対する注目度の高さを私も実感しています。

▲クリニック内の細胞培養センター。この小さな一室から先端医療を担う幹細胞の上清液が生まれている。無菌状態を保つため、取材班に許可されたのは窓越しの撮影のみでした。

 

再生医療をはじめとした「自由診療」でクリニックの付加価値を高める

-再生医療の安全性など、もう少し詳しくお聞かせください。

平成26年に再生医療等の安全性の確保法に関する法律(再生医療新法)が施行され、厚生労働省によって安全性の高い再生医療の実用化を促進する枠組みが設けられました。

再生医療を用いた研究・治療・加工を行うためには国への申請が義務付けられ、細胞培養加工の管理体制などが厳しく審査されます。

第1種・第2種・第3種があり、「リライフメディカル」は第3種を取得しています。

さらに現在、より審査基準が高い第2種を申請中で、クリアすれば再生医療を使った治療の可能性が広がります。

 

-再生医療を使った治療によって広がる可能性とは?

申請の必要がない治療ですと、患者さんご自身のお腹周辺の脂肪などから採取した幹細胞を培養した上清液を、ご自身の治療に使うことができます。

例えば、関節内に注射して関節痛や腰痛などの痛みを和らげたり、点滴として投与して糖尿病の治療や認知症が重症化する前段階の予防として取り入れる、といったことが考えられます。

 

-今後、訪問診療でも再生医療を活かせるようになる可能性は?

医療保険や介護保険を使った訪問診療とは区別する必要がありますが、自由診療(自費診療)としてなら可能です。

介護度が低いアクティブシニア層を対象に再生医療を活用したアンチエイジングケアを自由診療で行い、医療・介護の依存度が高くなった患者さんには従来の訪問診療へ切り替える。

これからのクリニック運営は、自由診療との両輪経営が理想的だと私は考えています。

 

▲「培養した幹細胞の上清液は、病院や大手化粧品会社など品質保障できる取引先にしか納めていません」と松尾取締役。再生医療新法の施行前から安全性を最優先に取り組んできた。

 

異業種から、訪問診療と再生医療の企業経営者へ

-松尾取締役ご自身はドクターではないのですか?

医師ではありません。

経営、営業、事務といった医療以外の環境整備をするコンサルタント兼コーディネーターです。内科と歯科のドクターが賛同し、全面的に協力してくださっているから、再生医療ビジネスも成り立っています。

私自身は全くの異業種出身で、もともとは建築業界で営業をしていました(笑)。

 

-えっ!? どういった経緯で訪問診療に携わるように?

勤務していた建築会社が、有料老人ホームなどの建設を手がけていたんです。

その営業担当として頻繁に介護施設に出入りする中で、訪問歯科診療の重要性に気づきました。

そして、北九州の歯科クリニックで医療経営・レセプト・訪問診療などについて3年ほど学び、訪問歯科診療のコンサルタントとして独立しました。

 

-歯科経営の勉強を重ね、訪問診療の将来性に注目されたのですね。

全国に約8万軒ある歯科は、コンビニエンスストアの数よりも多いと言われています。

特に福岡は歯科大学が全国的にも多く、1つの駅周辺に15〜20軒の歯科クリニックが存在する激戦区です。

長年、経営している歯科クリニックほど患者さんも高齢化が進み、外来診療だけでは経営が厳しくなります。

だけど、外来診療と訪問診療では設備や技術が異なり、具体的なノウハウが分からない。

そうした相談やニーズに応えて訪問診療に移行するためのコーディネートを手がけるようになりました。

 

-再生医療にビジネスチャンスを感じたのは?

訪問歯科診療のコーディネートを手がけるなかで出会いました。

歯科領域だけでなく、頭皮の育毛剤や美容液、さらに医療の治療分野にも応用性があることを知り、大きな可能性を感じたのです。

余談になりますが、動物の歯周病治療や競走馬の骨折治療にも幹細胞の再生医療が取り入れられています。

それほど、幅広い分野で再生医療の産業化が進んでいるのです。

▲特殊温熱治療。身体的な負担が大きい手術治療、放射線治療、抗がん剤などの化学療法とは異なる、短期間かつ痛みを伴わない新しい治療法として注目されている。

 

訪問診療と自由診療の両軸経営で継続性を高めたい

-再生医療のほかに注目されている医療技術はありますか?

特殊温熱療法による、がん治療です。マイクロ波(SH波)の照射熱でがん細胞を死滅へ導く機械(SHT)を用いた治療で、手術や抗がん剤以外の治療を探しておられる乳がん、子宮体がんの患者さんにご利用いただいています。

 

-今後の展望や目標などをお聞かせください。

再生医療の第2種をクリアすること。

さらに再生医療や特殊温熱療法など、自由診療の医療技術を強化して、訪問診療8割・自由診療2割程度の診療バランスを目指しています。

訪問診療を長く継続させるためにも、自由診療を付加価値にして経営の安定化を図る、という考え方です。

将来的には、グループ全体を医療法人化したいと考えています。

 

-最後に、訪問診療コーディネーターの視点から「在宅医の心構え」をご教授ください。

内科・歯科問わず、訪問診療では認知症の患者さんも多いので、上から目線は禁物。

「先生、怖い」「もう来てほしくない」と信頼を一気に失い、クレームの原因になりかねません。

診療・治療に関しては医師としてのプロ意識を持ちながら、コミュニケーションは患者さんと同じ目線を心がけること。

訪問先の玄関を上がったら靴を揃える、診療後のご家族への報告を分かりやすく説明する。

細かいことですが、ご家族の不安を取り除くのも医師の役目です。

「医療もサービス業」と前向きに捉える柔軟性を身につけていく必要がありますね。

▲現在、クリニックで施設を中心に約70名の訪問診療を行なっている。「私は事務長として医師・看護師・歯科衛生士が治療に専念できる環境整備を行う役目です」と松尾取締役。

 


取材後記

取材で訪ねたビルの中に、クリニックだけでなく、幹細胞の培養ラボ研究所まで備わっているとは思いもしませんでした。また、営業職から訪問診療と再生医療の企業経営者へギアチェンジされた、松尾取締役のバイタリティーとビジネスセンスにも驚きを隠せませんでした。ドクターと協働して医療の理想と可能性を追求するため、膨大な知識吸収をされてきたことがお話しから伝わってきました。訪問診療×再生医療はこれから目が離せません!

 

◎取材先紹介

Relife Medical(リライフメディカル)株式会社

福岡県福岡市中央区平尾2−20−40−3階
電話:092−406−7906

(取材・文/野村ゆき、撮影・森山年雄)

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