日本版CCRCを目指して。アクティブシニアを支える「住宅型有料老人ホーム」×「家事代行サービス」 -株式会社ビッグプレイス 上村 真也&一ノ瀬 健二-

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現役をリタイアしたシニアが健康なうちに入居し、人生の最期まで生き生きと暮らすコミュティ施設「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」。セカンドライフを過ごすための「高齢者向けシェアハウス」とも言い換えることができる、アメリカで生まれの集合住宅の考え方が近年、日本でも注目されています。

福岡市博多区・麦野に2017年4月オープンした住宅型有料老人ホーム「シニアプレイスローカル86博多」は、そんな「CCRC」をモデルにした施設です。さらに、介護保険制度では利用が難しい日常の困りごとにコンシェルジュのように応える「生活支援(家事代行)サービス」とも連携し、話題を呼んでいます。完成したばかりの施設を見学させていただきながら、施設長の一ノ瀬健二さんと家事代行サービスを束ねる同社代表取締役の上村真也さんにお話を伺いました。

 

<プロフィール>

▲写真左: 上村 真也(かみむら・しんや)さん
株式会社ビッグプレイス(株式会社ビッグパル グループ企業)代表取締役

食品メーカーの営業職を経て、2016年4月に同社の代表取締役として就任。家事支援サービス『たのんで15分あんしん500』をはじめとするシニア向け生活支援サービス部門の顧客フォローや職員育成など幅広い業務をこなす。好きな言葉は「精神誠意」。

▲写真右:一ノ瀬 健二(いちのせ・けんじ)さん
株式会社ビッグプレイス(株式会社ビッグパル グループ企業)住宅型有料老人ホーム「シニアプレイスローカル86博多」施設長

介護福祉士として身体障害者支援施設、高齢者向け介護施設に勤務後、2016年に同社へ。訪問介護事業所の責任者を経て、2017年4月にオープンした住宅型有料老人ホーム「シニアプレイスローカル86博多」の施設長として、内外の連携に力を注ぐ。好きな言葉は「心」。

 

「老人ホーム」の言葉が似合わない!シニアライフを謳歌できる施設

開放的で居心地が良い施設ですね!「住宅型有料老人ホーム」とのことですが、施設や御社の特徴から教えていただけますか。

上村さん:弊社は『ビッグパルグループ』として事業ネットワークを展開していて、「高齢者向け生活支援」「有料老人ホーム」「訪問介護事業」の3つの事業が互いに連携を取り合い、医食住生活のトータルサポートサービスを提案しています。

一ノ瀬さん:「有料老人ホーム」は福岡・佐賀で計5施設を運営。

当施設は新たな住宅型有料老人ホームのモデル事業にしたいとの想いから、名称に“シニアプレイス”という言葉を付けています。

 

“シニアプレイス”ですか。アクティブな印象を受けますね。

上村さん:今のシニア層は“高齢者”という言葉ではひとくくりにできないほど、層が厚くて幅広い。

70代でも現役でお仕事をされている方、80代になられても多趣味で行動力もある方など、本当に多彩です。

一ノ瀬さん:そんな「介護はまだ必要ない」「自立生活ができる」という65歳以上のアクティブシニア層の「新しい住宅」としても検討していただける施設を目指してオープンしました。

もちろん、従来型の「有料老人ホーム」と同様に、要支援・要介護の方にもご入居いただけます。

施設の1階フロアが要介護の入居者向け住宅で車椅子生活の動線にも配慮した設計。

2階はアクティブシニア向け住宅として収納スペースも充実した設計になっています。

 

元気なうちに施設で暮らし始めることが大切なのですね。それはなぜですか?

一ノ瀬さん:入居時はお元気でも、80代、90代と年齢を重ねるにつれ、身体の変化が誰しも出てきます。

できていたことが少しずつできなくなる、ご本人は自覚のないまま認知機能の衰えが進んでしまう。

そういう微細な変化に、一緒に子ども夫婦やお孫さんなどのご家族が暮らしていれば気づきやすいのですが、ご高齢のご夫婦だけの暮らしや一人暮らしでは、ご本人はもちろん、時々しか顔を会わせないご家族でも気づきにくいものです。

上村さん:住宅型施設の利点の一つは、自宅のようなプライバシーを保ちながら、部屋を出れば施設職員や看護師が24時間常駐し、他の入居者や来客と過ごせる食堂などの開放されたコミュニティスペースもあること。

求めればいつでも人と人との交流が傍にある。

そんな日常こそが、身体の微変にも気づきやすく、元気が長続きする秘訣にもつながると考えています。

▲施設内はバリアフリー設計で、看護スタッフなどが24時間常駐。医療機関との連携で、糖尿病、心疾患、認知症など幅広い疾病の入居者を受け入れ可能な体制が整っている。

 

在宅医との連携や栄養サポートで、入居者に応じた療養生活や健康維持を

長く住み続けるための医療や介護、食事などのサポート体制も?

一ノ瀬さん:当施設内に常勤している看護師がご入居者の日々の健康をサポート。

協力医療機関として内科医・歯科医・腎臓専門医をはじめ、複数の病院やクリニックと連携し、具合が悪くなられた際に夜間でも往診してもらえる“かかりつけ医”の体制を整えています。

また、訪問介護が必要なご入居者の場合は、それぞれの担当ケアマネージャーさんと連携しています。

上村さん:実は、株式会社ビッグパルの代表が管理栄養士で、高齢者向け生活支援サービス事業でご利用者の食事・栄養指導を長年行なってきたという実績があります。

ですので、当施設の食堂でお出しする日々の食事も、塩分控えめの通常メニューに加え、糖尿病や腎臓病対応メニューなど、ご入居者それぞれの持病を考慮した幅広い食事サポートが可能です。

 

外部の協力機関との連携で気を配っていることはありますか?

一ノ瀬さん:ご入居者の体調や認知に変化があった場合、ドクター・ケアマネジャー・ご家族へのご連絡を最優先しています。

かかりつけ医が既にいらっしゃるご入居者もいらっしゃいますし、要介護の方は担当ケアマネージャーさんがそれぞれ違うので、ご入居者の人数が増えるとコントロールが大変な面もありますが、いずれかの連携が後回しになってしまえば、重大な行き違いの原因になりかねませんから。

▲窓が多く、明るい施設内の食堂。管理栄養士が栄養管理を行う、バランスの取れた食事を1日3食分1500円で食べられる。

 

「ちょっとした日常の困り事」にワンコインで応える家事代行サービス

「高齢者向け生活支援」サービスについてもお聞かせください。

一ノ瀬さん:要介護の方が介護保険内で受けられる「生活援助」の範囲は限られています。

例えば、「ベランダの掃除」は居室以外なので介護保険外。

料理、洗濯、掃除もご本人以外のご家族に関する部分まではケアできないことになっています。

ですが、介護保険制度外の「ちょっとしたお困りごと」のニーズ方が、実は圧倒的に多いんですよ。

上村さん: そうした細かなニーズに応えるのが、「高齢者向け生活支援」サービス事業。

具体的には、お部屋の片付けや掃除、洗濯、買い物、料理、通院や入退院の付き添い、お庭の草むしりなど、お墓の掃除など多岐にわたります。

似たような家事代行サービス事業は他社さんでも展開されていますが、弊社の最大の特徴は「1回15分500円(税別)」のワンコインから気軽にオーダーできることです。

 

ワンコイン(500円)で15分!?本当に15分程度の用事から対応できるのですか?

上村さん:もちろんです。ご依頼主のお家に到着してからの15分ですから、できることは結構ありますよ。

実際に「部屋の電球を替えてほしい」「棚の上から冬用の衣類を出してほしい」などの単発的なオーダーもあります。

リピート利用いただくうちに、定期訪問させていただくようになったり、用事をある程度まとめて数時間のご依頼に至ったりする場合も多く、今は福岡市内限定のサービスではありますが、ありがたいことに口コミでご利用者が増えています。

一ノ瀬さん:当施設でも、要介護認定を受けていないアクティブシニア層の方たちの「お部屋の模様替えをしたい」「買い物の代行を頼みたい」といった、ちょっとしたニーズに応えられるよう今後、さらに連携を強化したいと考えています。

 

まさにコンシェルジュサービスですね!

上村さん:介護保険制度は、お手洗いや食事の介助など生きてゆく上での最低限必要な生活支援を行うサービスです。

対して私たちが提供する家事代行は、その人らしい生活や心の豊かさを維持するための生活支援サービスであるため、介護保険の対象外。

だからこそ、ご利用者に選んでいただけるようサービスとスタッフの質にこだわっています。

そして、競合企業も含めて切磋琢磨しあうことが業界全体の生活支援の質向上につながるのではないかと期待しています。

 

家事代行から垣間見える高齢者の本音と新たなニーズ

生活支援サービスを行うスタッフはどんな方が多いのでしょうか?

上村さん:40代から70代まで約50名がスタッフとして頑張っています。

訪問介護は有資格者でないと携われませんが、家事代行は趣味や家事の経験を生かせるので主婦の方や、お仕事をリタイアされたアクティブシニア層の方も大勢います。

 

ご利用者とスタッフが同年代というケースも?

上村さん:もちろん、ありますね。そのケースではむしろ「同世代の話し相手ができて嬉しい」と喜んでいただいています。

子ども世帯と離れて一人暮らしのご利用者が圧倒的に多いのですが、やはり本音は寂しいのでしょうね。

一ノ瀬さん:私は佐賀県の嬉野出身で、その地域は幼い頃から祖父母をはじめ、当たり前のようにご近所におじいちゃん・おばあちゃんが暮らしていて、地域みんなで声をかけあい、見守っている昔ながらの田舎町でした。

この施設周辺は福岡の中心部から近く、住宅地で団地や集合住宅が多い。

都市化が進む一方で、ご高齢の一人暮らしが年々増えているように感じています。

 

新たなシニア雇用とコミュニティを生み出すきっかけにもなっているのですね。

上村さん:地域の方が、同じ地域でお困りの方のお世話をする。

ひと昔前は当たり前だった「ご近所づきあい」の場を、今の時代にあったスタイルで提供できればという想いもあります。

お困りだった方が助かるだけでなく、支援する側のシニア世代の方にとっても「自分が必要とされている」「長年の経験が誰かの役に立つ」という自信が新しい生きがいにつながります。

 

サービスを提供される側・提供する側の双方が幸せになれる。素敵な相乗作用ですね。

上村さん:とはいえ、見ず知らずの他人がプラベートなお家に入るサービスなので、セキュリティー面で不安を感じたり、抵抗を感じるご高齢者も当然います。

そのため採用の際には、コミュニケーション能力、今までの社会経験、公私の線引きをきちんとつけられる方かどうかなどを重視して選考しています。

▲自らも1日4〜5件の家事代行の依頼に応じている上村さん。定期的に依頼がある高齢利用者との会話や日常動作から身体の衰えに気づき、施設の入居に結びついた例もあるそう。

 

第二の“わが家”で健康維持から在宅医療まで、継続的なケアを可能に

「老人ホーム」は自立生活が難しくなってから入居する施設と思っていましたがイメージが変わりました。

一ノ瀬さん:そのような高齢者施設のイメージを根本的に変えたいと思っています。

これからは、住まい・日々の生活・いざという時の医療など、まだ元気なうちに準備することが最期まで自分らしく生きるためのポイントになってくると思います。

健康に不安を抱えた時に入居するのではなく、元気なうちに!という考え方を定着させたいですね。

 

アクティブ期は日常生活をサポートし、要介護状態が訪れたら医療・介護ケアへ移行する。継続的なケアを可能にするポイントは、住環境なのですね。

上村さん:そう思います。

ですが、まだまだ、お元気な方ほど、高齢者向けの「家事代行」や「施設」を利用することへの拒否反応が強い傾向にあります。

いかに「ちょっとだけ家事代行を利用してみようかな」「施設の見学だけでも行ってみようかな」と、敷居を低く感じていただけるかが今後の課題でもあります。

—住み心地が良いと、最期はこちらの施設で、というニーズも出てくると思いますが、お看取りについてはどのようにお考えですか?

一ノ瀬さん:「ここに引っ越してきて本当に良かった」「最期までここで過ごしたい」と言っていただけると、本当に施設長冥利に尽きます。

ご本人とご家族が望まれるのであれば、私自身は最期のお看取りまでお世話させていただきたい気持ちが強いです。実際、今まで勤務してきた施設でも大勢のお看取りに接してきました。

ただ、医療的ケアが必要な方のお看取りは、連携医はもちろん、ご家族や訪問看護師さんのご協力なしでは難しいのも事実です。

医師・ケアマネージャー・ご家族との話し合いで柔軟に対応してゆけたらと考えています。

▲介護福祉士でもある、施設長の一ノ瀬さん。「介護の仕事を通じて、人生の大先輩から多くのことを教えていただきました」と振り返る。

 


取材後記

少子高齢化や在宅医療の今後のあり方について、心身ともに健康な状態を維持しやすい居住施設と生活支援サービスを提案することも打開策の一つである。そんな新しい視点を今回の取材で教えていただいた気がします。ちなみに、取材で訪れた「シニアローカルプレイス86博多」の利用料金は、家賃・食費・管理費込みで月額8万9000円(税込・2017年5月時点)という価格設定にも驚きました(しかも敷金は10万8000円!)。福岡県外からも問い合わせがある、というのも納得。「老人ホーム」の固定観念が見事に崩壊しました!

◎取材先紹介

株式会社ビッグパル
福岡県福岡市博多区麦野3丁目10番25号
住宅型有料老人ホーム シニアプレイスローカル86博多
電話:092-558-3286

株式会社ビッグプレイス
福岡県福岡市博多区麦野3丁目10番25号
電話:092-558-3186

(取材・文/野村ゆき、撮影・森山年雄)

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