【新型コロナウイルス】オンライン診療、初診から実施可能に!実施要件を解説します

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、これまで初診は対面で行われることが原則とされていた、電話や情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)の取り扱いが見直されることとなります。47日には、初診からオンライン診療を認める方針を政府が閣議決定し、10日には運用上の留意事項と診療報酬上の取り扱いについて、厚労省から通知が発出されました。今回は、コロナウイルス流行時のオンライン診療について解説します。

「オンライン診療」とはー初診は原則「対面診療」

新型コロナウイルスの流行に伴い、注目されている「オンライン診療」。
そもそも「オンライン診療」とはどのようなものなのでしょうか。

厚労省が183月に策定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、次のように定義されています。

オンライン診療:

遠隔医療のうち、医師-患者間において情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為(「オンライン診療の適切な実施に関する指針」より)。

要するに「情報通信機器を用いて行う診療」なのですが、情報通信機器を通して、対面診療に代替し得る程度の診療情報を得ることが求められます。
そのため、リアルタイムに、視覚・聴覚によって情報が得られるツール(ビデオ通話など)を利用することが必要とされており、文字だけでやり取りするチャットなどはオンライン診療として認められません。

そして、オンライン診療の場合、得られる情報が視覚と聴覚に限られることから、疾病の見落としや誤診のリスクが考えられています。
これを防ぐために、原則、初診からのオンライン診療は認められず、まずは直接の対面診療を実施することが必要です。

また、オンライン診療に適用可能な疾患が糖尿病、高血圧などに限られていたり、診療の実施にあたって、事前に診療計画の作成が必要だったりと、なかなか利用しづらいことが指摘されています。

この場合の「初診」は、初めて診察を行うときだけでなく、継続的に診療中に、新たな症状に対する診察を行う場合や、疾患が治癒した後や、治療が長期間中断した後に再度同じ疾患について診察する場合も、「初診」となります。

【初診】オンライン診療の実施要件

新型コロナウイルスの流行が拡大する中、厚労省は慢性疾患などで通院中の患者への新たな薬の処方や、新型コロナウイルスの軽症・無症状の感染者が自宅療養する際の処方において、オンライン診療を段階的に解禁してきました。

そして、7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」では、流行収束までの期間に限り、初診でのオンライン診療を認める方針が示されました。
厚労省は、今後、原則として
3か月ごとに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況や、医療機関での実用性、実効性、安全性の観点から検証を行うとしています。

初診からのオンライン診療 実施要件

診療の際には、過去の診療録、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワーク、健康診断の結果などにより患者の基礎疾患の情報を可能な限り把握・確認した上で、実施することが求められます。

処方については制限が設けられており、麻薬・向精神薬については初診でのオンライン診療では処方が認められないほか、診療録などで基礎疾患の情報が把握できない場合は、ハイリスク薬(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤など、薬剤管理指導料1の対象となる薬剤)の処方はできず、処方日数の上限は7日間となります。

実施にあたっては次の要件を満たす必要があります。

初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行うことが適していない症状や疾病等、生ずるおそれのある不利益、急病急変時の対応方針等について、医師から患者に対して十分な情報を提供し、説明した上で、その説明内容について診療録に記載すること。

対面による診療が必要と判断される場合は、オンライン診療を実施した医療機関で対面による診療にすみやかに移行する。それが困難な場合は、あらかじめ承諾を得た他の医療機関にすみやかに紹介すること。

患者のなりすましの防止や虚偽の申告による処方を防止する観点から、患者の本人確認を行う。

  • ビデオ電話など視覚の情報を含む情報通信手段の場合:

患者については保険証を、医師については医師免許など顔写真付きの身分証明書により本人確認を互いに行う。

  • 電話の場合:

患者の保険者証の写しをファックスで、または保険証の写真データをメールで医療機関に送付することなどにより確認する。保険者名、保険者番号、記号、番号など、保険者証の記載事項を口頭で確認することでも可。

【初診】診療報酬上のオンライン診療の取り扱い

医療機関での受診がない場合や、過去に受診歴はあるものの、現在は受診していない場合のいずれにおいても、初診でオンライン診療を適用する場合は、初診料(214点)を算定することができます。
また、診療時に医薬品の処方を行った場合、処方料(
42点)、処方箋料(68点)が算定できます。

ただし、既に受診中の患者が、他の疾患で受診して初診となった場合には、電話等再診料(73点)を算定します。

【再診】オンライン診療の実施要件

続いて、慢性疾患患者の定期的な受診など、治療中の疾患を抱える患者についても、新型コロナウイルスの流行を受けて、オンライン診療の要件が一時的に緩和されていますので、あわせてご紹介します。

既に対面で診断され、治療中の疾患を抱える患者のオンライン診療について

オンライン診療の実施に当たっては、通常事前に診療計画を作成することが必要となります。
ただし、対面診療を既に実施している、慢性疾患患者の定期受診にあたっては、これまでに処方されていた医薬品であれば、事前に診療計画を作成していない場合でも処方することが可能となりました。

また、次の要件を満たせば、発症が容易に予測される症状の変化については、これまで処方されていない医薬品を処方することもできます。

既に当該患者に対して定期的なオンライン診療を行っている場合

発症が容易に予測される症状の変化を、診療計画に新たに追記すること。また、診療計画の変更について、患者の同意を得ておくこと。

これまで当該患者に対して定期的なオンライン診療を行っていない場合

オンライン診療により生じるおそれのある不利益、発症が容易に予測される症状の変化、処方する医薬品等について、患者に説明し、同意を得ること。その説明内容について診療録に記載すること。

処方せん、薬剤の取り扱い

医療機関が、患者の希望する薬局にファックスなどで処方せん情報を送付し、それに基づき薬局が調剤します。
患者が電話などで服薬指導を希望する場合は、処方せんの備考欄に「
0410対応」と記載して送付しますが、その際、医師は診療録に送付先の薬局を記載しなければなりません。

調剤した薬剤については、郵送、手渡しなど、確実に届く方法で薬局から患者に渡します。
また、処方せんの原本については、医療機関から薬局に送付し、ファックスで届いた処方せん情報と共に保管します。

まとめ

今回は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、要件が一時的に緩和されたオンライン診療についてご紹介しました。オンライン診療については、冒頭でご紹介した通り、厳格な運用が求められるがゆえにあまり普及が進んでいませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防に、そして全国で懸念される医療崩壊の防波堤となるかもしれません。今後の動向に要注目です。

 

<参考文献など>

厚生労働省:オンライン診療の適切な実施に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/content/000534254.pdf

内閣府:202047日付「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会(第454回) 議事次第https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00069.html

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