在宅医療における高齢者栄養管理のポイント|在宅医療の基礎知識

日本では高齢化が進み、高齢者単独や高齢夫婦のみの世帯が増えています。買い物の問題、料理の手間の問題、食欲の問題などにより高齢者のみの世帯の栄養状態はあまりよくないのが日本の問題点の一つです。

だからこそ重要になる在宅医療における高齢者栄養管理のポイントを解説します。

なぜ在宅医療における栄養管理が重要になるのか?

平成24年度に発表された「在宅療養患者の接触状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書」では在宅療養をしている高齢者990人のうち約70%の人に低栄養・もしくは低栄養のおそれありという結果が出ています。

低栄養の状態が続くと体重の減少や疲労の増加、運動機能の低下、皮膚の異常、免疫力の低下、日和見感染、介護度の上昇などの問題が現れます。これらの要因により日常生活動作(ADL)が低下することで認知症や骨粗しょう症、QOLの低下に繋がるため在宅療養者の栄養管理は重要です。

在宅医療における高齢者栄養管理のポイント「BMI」

BMIとは体格を表す指数のことです。BMI指数=体重÷(身長)2の計算式で求めることができます。BMI指数が18.5未満の場合は低体重、BMI指数が18.5から25の範囲にある場合は普通体重、BMI指数が25を超える場合は肥満となります。

BMI指数が低ければ低いほど認知高齢者の日常生活自立度は低下します。認知症以外でもBMIが低いほど要支援・要介護度、肺炎リスク、意思の伝達、咀嚼力などが有意に低下することが明らかになっています。当然のことではありますがBMI指数が低ければ低いほど栄養状態も悪い傾向にあるため、BMI指数は在宅医療における高齢者栄養管理の重要なポイントです。

高齢者の栄養管理に重要な栄養素「タンパク質」

高齢者は食欲の低下、咀嚼力の低下、代謝機能の低下によりタンパク質が不足しがちです。タンパク質は消化されたのち、アミノ酸として腸壁から吸収され筋肉や皮膚となります。しかしタンパク質が不足することにより筋量や骨量の減少、皮膚の異常などが現れBMIが低下していきます。

高齢者においては体重当たり0.8~1.0gのタンパク質の摂取が必要です(ただし腎機能障害でタンパク制限を行っている場合は0.6~0.8gの摂取)。在宅医療における高齢者栄養管理ではタンパク質の摂取を適正に行うことが重要なポイントとなります。

在宅医療で高齢者が十分にタンパク質を摂取するには

高齢者は咀嚼力が低下するため、あまり固いものを食べられない傾向にあります。そのためBMI指数の低下を防ぎ、しっかりとタンパク質を摂取するためにはなるべく柔らかいものをタンパク補給源にするとよいでしょう。

まず挙げられるものは卵です。卵は1個当たりおよそ7-8gのタンパク質が含まれています。同時にビタミンC以外の必須栄養素をほぼすべて含有しているため高齢者の栄養源として優秀です。

豆腐も高齢者のタンパク源として適しています。柔らかく咀嚼しやすいうえに、100g中約7gのタンパク質が含まれているため食べやすいタンパク源として利用できるでしょう。アミノ酸スコアは肉や魚、卵と比べて低いですが白米と合わせて食べることで解決できます。

在宅医療における栄養管理の重要性

栄養状態と高齢者のQOLは比例する傾向にあります。しっかりとした栄養管理のもと日々生活を送っている高齢者は活動的ではつらつとしている一方、栄養管理ができていない場合は無気力な生活を送りがちです。在宅医療における栄養管理は高齢者の生活の質を向上させる非常に重要な役割を果たします。高齢者の生活は自分たちに掛かっていると思い仕事をしてみてください。

【参考】
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042643.pdf
http://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/roken/rojinhokoku4_24.pdf
http://www.j-milk.jp/sp/tool/hodo/berohe000000k163-att/berohe000000k193.pdf

 

ライタープロフィール
大見 貴秀
麻酔標榜医、麻酔科認定医、日本抗加齢医学学会会員
フリーランス医師として就業する傍ら、医師としての資格を活用してヘルスケア・アンチエイジングに関する情報を発信している。

 

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