高齢者はなぜ骨折しやすいのか?高齢者に増加する骨粗鬆症|在宅医療の基礎知識

無料メルマガ登録

高齢者にとって骨折はとても重大な問題です。若いうちの骨折は適切に処置をすることで、骨折前と遜色のないレベルにまで機能回復することができます。しかし高齢者の場合は骨折しやすく身体の再生能力が低下しているため、寝たきりになってしまう可能性も否定できません。

なぜ高齢者は骨折しやすいのでしょうか?

高齢者の骨折と介護|在宅医療の基礎知識

平成22年に厚生労働省で行われた「国民生活基礎調査」では要介護者において介護が必要になった原因のうちの10%程度が骨折となっています。高齢者の骨折の場合、そのまま介護に繋がる可能性が非常に高く、経済的にも家族の労力の問題としても負担となりやすいことが特徴です。

特に頻度が多く、寝たきりの原因になりやすい大腿骨近位部骨折の発生率は、年齢が上がるにつれ上昇しており、2007年には約14万人の骨折者が発生しています。
寝たきりになると動けないだけではなく全身の筋力や脳の機能の低下が起こるため、骨折は単なる骨の問題ではなく高齢者の生活の質を左右する重大な外傷と認識すべきでしょう。

高齢者の骨折と骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、「低骨量と骨の微細構造の異常により、骨の脆弱性が増し骨折の危険性が増加する」疾患です。骨量が少なくなることで骨自体が脆くなり、骨の構造が脆弱になることで折れやすくなってしまいます。

男女ともに骨粗鬆症は40代以前の発症はほとんど確認されません。しかしそれ以降、年齢を重ねるとともに骨粗鬆症を発症する可能性が高まり、70代の男性でおよそ20%、女性でおよそ40%の人が骨粗鬆症を発症しています。特に女性の場合は80歳を超えると60%を超える人に骨粗鬆症が見られます。

骨粗鬆症自体には痛みを始めとする自覚症状がありません。そのため気づいたころには骨が脆くなっていて、ふとした拍子に転んでしまうと骨折をしてしまいます。高齢者の骨折は前述した通り介護を要する場合が多いため、健康的な生活のためには骨粗鬆症を予防することが重要です。

なぜ高齢者は骨粗鬆症を発症しやすいのか?

高齢者が骨粗鬆症になりやすい原因の一つとして栄養状態の悪化が挙げられます。高齢者の問題点の一つは食欲や咀嚼力が低下するため、骨の重要な構成成分であるカルシウムの摂取量が低下することです。
同時に腸管でのカルシウムの吸収率やカルシウムの骨への定着に関わるビタミンDの合成能力も低下するため、骨粗鬆症になりやすくなります。

加齢により運動機能が低下して、なかなか体を動かさなくすることも問題です。骨は運動による刺激を受け破壊され再生することで強度を保ちますが、運動量が低下すると骨の再生が促されなくなり、強度が弱まることに繋がります。

女性高齢者に要注意な骨粗鬆症と骨折

骨粗鬆症、骨折ともに男性より女性によく見られる問題です。女性ホルモンであるエストロゲンは骨の代謝に関わるホルモンですが、加齢により閉経することでエストロゲンの分泌量が低下して、骨粗鬆症や骨折が起きやすくなります。

大腿骨近位部骨折は約14万人の発生者に対して男性が約3万人、女性が約11万人という比率です。女性は男性に比べて3倍強ほど骨折しやすいと言えるため、より一層の予防と注意が必要でしょう。

高齢者の骨折と骨粗鬆症

高齢者は骨粗鬆症になりやすく、それが原因で骨折もしやすい傾向にあります。高齢者の骨折は介護を要する状態になってしまう可能性があるため、日ごろから意識して予防するようにしたいものです。
シラス干しやサクラエビなど咀嚼の負担がないカルシウム供給源を積極的に摂取したり、運動をすることで骨に刺激を与え骨再生を促したり、十分に日光に当たることでカルシウムの吸収率を上げるビタミンDを合成したりすることが重要です。

骨粗鬆症はある程度生活習慣と食生活を改善することで予防が可能です。骨粗鬆症の怖さと予防の重要性を周知していきましょう!

 

ライタープロフィール

大見貴秀
麻酔標榜医、麻酔科認定医、日本抗加齢医学学会会員
フリーランス医師として就業する傍ら、医師としての資格を活用してヘルスケア・アンチエイジングに関する情報を発信している。

◆参考
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版」

無料メルマガ登録

【無料公開中】人気記事を資料にまとめました!

資料ダウンロード「感染予防」