尿潜血とは?「血尿」に驚くご利用者さんやご家族にアドバイスをする時、気をつける3つのポイント|在宅医療の基礎知識

健診で尿検査を行った際に、尿定性反応で潜血(+)という結果が返ってくることがあります。利用者さんから、「かかりつけの内科の健診で血尿だと言われた」と聞いたとき、看護師・介護士としてどのようなことを考えるべきでしょうか。

血尿とひとくちにいっても、さまざまな程度があり、原因も症例によって異なります。今回はそのような、血尿について考えてみましょう。

尿潜血とは|在宅医療の基礎知識

尿潜血反応とは、尿に血液が混じっているかどうかについて、「試験紙を使って」調べる検査です。試験紙とは、小学校の理科の授業で使ったリトマス試験紙のような一枚の紙で、それに尿をつけて色調の変化をみるものです。

検査結果は、(-)(±)(+)(++)などで示され、(-)が正常、(±)が擬陽性、(+)(+)や(++)は陽性を示します。
尿というのは血液が腎臓で濾過されて作られますが、腎臓のフィルターを赤血球は通過できませんので、尿中には赤血球はほぼ見られません。
つまり、尿中の赤血球が増加するということは、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道に炎症、結石,腫瘍などの異常があるということを示唆しています。

しかし、前述したように尿潜血反応は、あくまで「試験紙を使って」調べている検査であり、赤血球以外の物質でも反応してしまうことに注意が必要です。尿潜血が陽性であっても、赤血球が出ているわけではなく、ミオグロビンもしくはヘモグロビンが出ている場合でも、尿潜血反応は陽性となることに注意が必要です。

また、ビタミンCを大量に摂取していると偽陰性化(本当は陽性であるのに、陰性という結果が出ること)することがあり、服用しているサプリメントなどにも注意が必要です。

尿潜血反応が陽性であった場合、病院やクリニックではどのような検査をするか?

前述したように、尿潜血反応が陽性であった場合、どのような検査を行うでしょうか。まず非侵襲的検査として、尿沈渣をみます。尿沈渣とは、尿中の白血球や赤血球を、実際に顕微鏡で見ることで1視野毎にどれくらい血球がいるかをみるものです。

尿定性反応と異なり、直接赤血球を確認するため、「ヘモグロビン尿やミオグロビン尿といった試験紙を用いた尿検査において陽性となるものの、血尿ではない」という状態を除外することが可能です。
もし、1視野毎に5個以上の赤血球があれば、顕微鏡的血尿と診断されます。

次に、尿細胞診という検査をみます。これは、尿中に癌細胞が混じっていないかをチェックする検査です。その他、可能であれば超音波検査も行い、腎臓や膀胱に異常が無いかをチェックします。

※血尿の定義:尿中赤血球数20個/μl以上、尿沈渣5個/毎視野以上
(血尿診断ガイドライン 2013より)

顕微鏡的血尿の場合、病気が見つかるのはどれくらい?

顕微鏡的血尿の主な原因疾患として、糸球体疾患(腎臓病)、尿路上皮癌(腎盂癌、尿管癌、膀胱癌)、前立腺癌、尿路結石症、膀胱炎、前立腺炎、前立腺肥大症、腎動静脈奇形、遊走腎などがあります。

ではいったい、どれくらいの割合で病気が見つかるのでしょうか。

実は、顕微鏡的血尿があっても、重大な病気が見つかる可能性は意外と少ないのです。

尿潜血が陽性になる率は、数%から20%台まで差はありますが、顕微鏡的血尿の患者で 尿路悪性腫瘍が見つかる割合は 0.5から数%程度であると報告されています。

言い換えれば、顕微鏡的血尿があっても90%は重大な病気は見つからないので、ただちに焦る必要は無いということです。

肉眼的血尿の場合は要注意

肉眼的にわかるような血尿の場合は話が異なります

血尿とは尿に赤血球が混入した状態のことを言いますが、尿の色が見るからに赤い状態のことを肉眼的血尿といいます。肉眼的にわかるような血尿とは、例えて言えば赤ワインやトマトジュースのような色の血尿のことです。

そのような場合、尿の色は利用者さんや家族自身で確認がしやすいこともあり、びっくりして訪問看護・介護ステーションに電話をしたり、焦って救急車を呼んだりすることにつながります。確かに、肉眼的血尿程度によっては、緊急を要する場合があります。
では、いったいどういった場合に緊急性があるのでしょうか。

それは、血液が塊をつくってしまって、それが尿の出口をふさいでしまった場合です。そのような場合には尿自体が出せなくなってしまい、膀胱が過剰に膨らんでしまい、尿が鬱滞して水腎症や腎不全という状態に陥ってしまうため、可及的速やかな膀胱洗浄が必要です。
この場合の膀胱洗浄は泌尿器科医でないと難しいため、泌尿器科のある救急施設に連絡の上、受診をしましょう。

もしそうでない場合、たとえ赤ワイン色の血尿が時折出ていても、即座に貧血になることはありませんので、焦る必要はありません。たとえば、赤い水彩絵具を白と混ぜると、即座に赤くなるのは想像できると思いますが、尿に関しても同じです。赤はかなり強い色ですので、微量の血液の混入でも、赤く見えるのです。尿1Lあたり1mlの血液の混入で肉眼的に視認できる血尿になるとされています。

肉眼的血尿と在宅介護時のポイント|在宅医療の基礎知識

2017.03.15

尿潜血症例の実際

症例

65歳男性。健診で尿潜血を指摘され、泌尿器科を受診した。

尿沈渣検査では赤血球が5-9/毎視野、という結果であり、顕微鏡的血尿を認めた。肉眼的血尿歴は無し。膿尿は無く、尿路感染症ではないと判断された。追加で尿細胞診を行い、ClassⅡ(陰性)であった。後日、腹部超音波検査で両側腎や膀胱を検査したが、特に異常は認められなかったため、3か月後に再検査とした。

3か月後の検査では顕微鏡的血尿は消失しており、次回1年後の健診でのフォローとなった。

症例の解説

このように、健診で尿潜血が指摘されると、内科や泌尿器科で追加検査を行うことになります。しかし、再検査をすると顕微鏡的血尿が消失していることも多々あります。
積極的に原因を突き止めるためには、CT、膀胱鏡、造影剤を使用したレントゲン検査を考慮はしますが、いずれも体に負担がかかります。

こういう場合、最も有用な検査は、「経過観察」です。一般的に悪い病気や重い病気の場合は、症状が持続したり、一度おさまっても再度症状が出現したりします。せっかく医療機関にきたのだから1日で全部検査して欲しい、と思うかもしれませんが、時間軸を入れて考えるのも正確な診断には必要です。
症状があった場合には、緊急性があるかをまず判断し、そうでなければ待機的に精査を行っていくのが、バランスのとれた診療と言えるでしょう。

利用者さんに血尿を指摘された、と言われた場合には下記を思い出しましょう。

  1. 尿潜血反応が陽性でも、血尿ではない場合がある
  2. 顕微鏡的血尿であっても、癌であるのは0.5%と低い
  3. 肉眼的血尿であっても、尿がしっかり出てさえいれば焦る必要はない(即座に貧血になることは少ない)が、早めに(数日~1か月以内に)泌尿器科に受診した方がよい

 

血尿がある、ということが分かった場合、利用者さんもそのご家族も、必要以上に焦ってしまうことが多々あります。確かに、吐血や血便・下血では場合によっては命に関わりますし、喀血の場合も悪性腫瘍が見つかる場合があります。

しかし、血尿に関しては尿が出てさえいれば即座に命に関わることはほとんどありませんので、焦らず的確にアドバイスをするとよいでしょう。

writer
しゅうぴん先生

普段は急性期病院で医師として勤務しながら、定期的に訪問診療も行い、最後まで患者さんに寄りそう医療を行っています。
また、正しい医療情報の普及を行う活動をライフワークとし、昼夜問わず精力的に活動しています。

 

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