肉眼的血尿と在宅介護時のポイント|在宅医療の基礎知識

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介護の現場において、利用者さんが肉眼的にはっきりわかるような血尿を呈した場合、どのようなことを考える必要があるのでしょうか。今回はそうした肉眼的血尿の評価と対処についてお話したいと思います。

肉眼的血尿とは|在宅医療の基礎知識

まず血尿は、顕微鏡的血尿肉眼的血尿に分けられます。
顕微鏡的血尿とは、肉眼的には認識できないものの、尿検査で尿中に血液を認める場合のことをいいます。反対に肉眼的血尿とは、見るからにおしっこが赤い状態のことです。

一般的には、顕微鏡的血尿よりも肉眼的血尿の方がより重症であり、重大な病気が隠れていることが多いです。

尿中に0.1-0.2%の血液が含まれていると肉眼的にわかる血尿となります。誰がみても明らかに血尿と判定できるのは1%以上です。5%をこえると暗赤色になり、10%をこえると血がかたまって凝血塊を形成するようになります。

肉眼的血尿の原因とは

肉眼的血尿の原因としては、いろいろな原因が考えられます。

腎臓・腎盂・尿管・膀胱・前立腺・尿道のいずれかから出血していることによって起こります。怖い病気をあげれば、それらの尿の通り道に癌(悪性腫瘍)が出来ている可能性もあります。

その他、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染症にかかっていること、尿路結石、前立腺肥大などが多く、その他、外傷、遊走腎、ナットクラッカー症候群、特発性腎出血など、良性疾患でも出血することは多々あります。

肉眼的血尿の評価の方法

血尿について、病院では一般的に下記スケールを用いて評価を行います。

1度:わずかに血性
2度:オレンジ色
3度:うすめの赤色
4度:濃い赤色
5度:ほぼ血液様

こうした、血尿について表現するスケールもありますが、主観的に伝わりやすければ問題ないので、分かりやすく「ピンク色」「赤ワイン色」「トマトジュース色」などとしてもよいと思います。

「色は透明だけど、血のかたまりがたまに浮いている」「最初だけ赤くてその後は黄色い」といったこともあります。「高齢女性で、ある日おむつをあけたら赤かった」といった場合には、腟からの出血や、肛門からの出血と区別できるような情報があればなお医師側は助かります。そうした情報を詳しくとることが血尿の評価において最も大切です。

ちなみに、尿道カテーテルが留置されている方の場合、血尿を評価するのは蓄尿バッグにたまった尿で行うのではなく、チューブ内を流れている尿で評価すべきであることも覚えておきましょう。

肉眼的血尿の適切な対応方法

利用者さんに肉眼的血尿が見られる場合、どのようなことに気を付ける必要があるでしょうか。

まず、出血しているため貧血に気を付けなければならないと考える方が多いでしょう。しかし、血尿でいきなり貧血になることはあまり多いとはいえません。

もちろん、血は失われていきますので、徐々に貧血にはなりますが、先述したように、ほぼ血液に見えても10%以下であることがほとんどですので、消化管出血に比べれば緊急性が低いです。
透明な水に赤い絵の具を混ぜると、ごく少量でも赤くなることは経験的にわかりますよね。それと同じことで、少量の血液でも意外と尿は赤くなるのです。もともとの慢性的に貧血の方でない限り、一日や二日で致命的になることはほとんどありません。

どちらかというと問題になるのは、凝血塊(コアグラ)によって尿道が閉塞してしまう場合です。血の塊が作られると、膀胱から尿が排出される際につまってしまうことがあります。

この状態のことを「膀胱タンポナーデ」または「コアグラタンポナーデ」といいます。
この状況に陥ってしまうと、尿は出せないのに尿は作られて、おなかがはって苦しい状況になります。

そして、進行すると水腎症を呈して腎不全になってしまったり、膀胱破裂を起こしてしまったりすることがありますので、早めに医療機関を受診する必要があります。このように閉塞してしまうことは、特にトマトジュース色の尿が出ている場合にリスクが高くなりますので、日中に訪問してそのような症状が見られた場合には、早めに受診するように促しましょう。
夜間に救急車で運ばれても泌尿器科医がいることは稀なため、つらい時間が長引いてしまう可能性があります。

肉眼的血尿の臨床症例

◎症例

75歳男性。認知症。前立腺肥大による尿閉で尿道カテーテルが留置され、月1回交換されている。昨夜、寝ぼけていて尿道カテーテルを引っ張ってしまい、そこから血尿が続いていると妻から報告があった。
訪問してみると、トマトジュース様の血尿がチューブの中に流れており、バッグの中には凝血塊も混ざっていた。内科の往診医にcallをし、尿道カテーテルから洗浄を行ったが、改善しなかった。すぐに近くの泌尿器科に紹介となり、膀胱洗浄を行ったところ膀胱内から多量の凝血塊がひけて、その後からは尿はきれいになった。

症例1の解説

この症例は、尿道カテーテルを引っ張ってしまったことによって前立腺から出血をきたしたものです。トマトジュース様の尿が出ていることから、閉塞するリスクが高く、早めに対処することが必要です。

膀胱内に凝血塊がある状態では、いくら上澄みを洗浄してもきれいにはなりません。専門的な技術が必要なので、泌尿器科を受診し、膀胱内の凝血塊を除去してもらう必要があります。
また、前立腺からの出血であれば、尿道カテーテルを太いものに変えたり、バルーンを大きいものに変えて軽く牽引したりすることで、圧迫止血になり出血が落ち着くこともあります。

まとめ

利用者さんに肉眼的血尿が見られた場合、まずは血尿の程度を評価し、閉塞が無いかを確認することが大切です。

尿が出ていても、下腹部がはっている場合には、溢流性尿失禁(たまりすぎていて、膀胱破裂寸前になり、尿が漏れ出している状態)になっているだけのこともあり、安易に飲水を促すのは危険なこともあります。

トマトジュース様の尿が出ている場合や、閉塞が疑われる場合には早めに泌尿器科を受診するようにするとよいでしょう。閉塞がなく、「少し赤い」「ピンク色である」といった場合には、水を飲んでよく尿を出してもらうことも閉塞予防には効果的です。

writer
しゅうぴん先生

普段は急性期病院で医師として勤務しながら、定期的に訪問診療も行い、最後まで患者さんに寄りそう医療を行っています。
また、正しい医療情報の普及を行う活動をライフワークとし、昼夜問わず精力的に活動しています。

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