レスパイトケアとは。介護する者のQOLを保つ大切な仕組み|在宅医療の基礎知識

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レスパイト(respite)とは英語で「小休止」「一休み」のこと。「レスパイトケア」とは文字どおり、在宅で介護をするご家族が一時的に介護から解放され、一休みできるようにする支援のことをいいます。

今回はそんな「レスパイトケア」の目的、変遷、現状と課題についてご説明します。

在宅医療・介護を継続するのに欠かせない…「レスパイトケア」の目的

レスパイトケアとは一般的に、デイサービスやショートステイなど法律で整備された通所系のサービスをいいますが、普段は介護していない親族や友人、近隣の方によるインフォーマルな支援も含まれます。

とりわけ介護保険サービスというと利用者さんへのケアばかりかと思われがちですが、在宅療養を続けるためには切っても切り離せないのがご家族に対するケアです。

ご家族にも仕事や子育て、地域の中での役割など、介護以外にやらなければならないこと・やりたいことがたくさんあります。
しかし365日昼夜を問わず、時には何年にもわたる介護を続けることは、まわりが想像する以上に大変なこと

そんなご家族が一時的にでも介護のことを忘れ、自身の心も体もリフレッシュさせることで介護疲れや利用者さんとの共倒れを防ぐこと、そうして介護する者もひとりの人間としてその生活の質(QOL)を保障されること、それがこのレスパイトケアの一番の目的です。

「レスパイトケア」のはじまり

レスパイトケアの考え方は福祉先進国である欧米から広まり、日本では1976「在宅重度心身障害児 (者)緊急保護事業」でショートステイ=短期入所事業が開始されました。

ただしこの時は緊急保護という名のとおり、疾病や怪我、出産、冠婚葬祭等の緊急時に限られたもので、介護疲れによる休養などのいわゆる私的事由での利用は認められていませんでした。

しかしその後も海外の影響を受け、家族支援とレスパイトケアの必要性に対する認識が高まったことで「精神薄弱者福祉法」「身体障害者福祉法」「老人福祉法」に基づくサービスにそれぞれ組み込まれ、次第に介護疲れによる休養等の私的事由での利用も可能となったのです。

そうして現在は「児童福祉法」「障害者総合支援法」「介護保険法」それぞれ対象別に様々なサービスが整備され、公的サービスのみならず各自治体や民間団体も意欲的に家族支援サービスを行うなど、徐々に充実してきています。

「レスパイトケア」の現状

様々な法整備がなされたことで、レスパイトケアは全国的に広まりました。とくに高齢者への介護保険サービスは年々充実し、レスパイトケアを提供する施設も年々増加しています。
実際、要介護度にもよりますが、平日のほとんどをデイサービスで過ごす方も少なくありません。

その間ご家族は安心して仕事や自分の時間を確保でき、利用者さんもまた同年代の友人が新たにできるなど、社会参加の場ができることで双方大きなストレスを抱えることなく、お互いを尊重しあって生活できるといいます。

また最近増えてきている「小規模多機能型居宅介護」では、日中は通常の通所介護、通所日以外は訪問介護を受け、さらに必要な時にはショートステイとして利用するなど、1カ所で慣じみのスタッフから定額で複合的なサービスを受けることができます。

「知らないところに行くのはイヤだ」という方や、少しの環境の変化でも認知症の悪化が懸念される高齢者とそのご家族にとってはとても安心できるサービスであり、軽度の要介護状態の時から看取りまで、独居の方や高齢世帯でもご家族に負担をかけずに在宅で暮らすことを支援しています。

「レスパイトケア」の抱える課題

このようにサービスの拡充が図られる一方、実際はケアする側の人員不足や提供できる施設・部屋(病床)数の不足により、ニーズに対して供給がまだまだ追いつかない現状にあります。
とくに、医療的なケアが必要なケースは受け入れ先がかなり限定されてしまいます。

新たなレスパイトケア提供の場として期待される「小規模多機能型居宅介護」でもこんなことが

 

-看護師不在で医療的なケアには対応できないにも関わらず、他に行き場のない重症の利用者さんが毎月ギリギリまでショートステイを利用


1人にベッドを独占され、他の軽症の利用希望者(複数)が利用できず


スタッフも1人の重症者にかかりきりで疲弊

このように介護サービスだけでは対応に限界があり、退院直後や医療的ケアの必要な方も利用できる「看護小規模多機能型居宅介護」ができる施設の設立が推進されていますが、こちらもまだ全国に330箇所(平成2810月時点)と伸び悩んでいるのが現状です。

最近では人工呼吸器や気管切開、胃ろうなどのある介護保険で断られる可能性の高い神経難病患者や高齢のがん患者などを対象に、医療保険で入院を受け入れる「レスパイト入院」の制度をもつ病院も出てきましたが、介護保険サービスのように緊急時の確保が難しいといったように、全体として多くの課題が残されています。

まとめ

このように、レスパイトケアとは障害や疾病を抱える方とその家族にとって穏やかな在宅生活を支える大きな支援の柱です。

課題は多くありますが、ご家族にとって介護が辛いだけのものにならないよう、支援のより一層の充実が求められています。

 

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

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2017.04.03

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