機能強化型在宅療養支援診療所とは。施設基準と取り巻く状況|在宅医療の基礎知識

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在宅医療をより推進するため平成24年度より創設された「機能強化型在宅療養支援診療所」。とてもすごそうな名称ですが、いったいどんな診療所なのでしょうか?

今回はそんな、まだなじみの少ない「機能強化型在宅療養支援診療所」について紹介します。

(2017年5月時点)

そもそも「在宅療養支援診療所(在支診)」とは?|在宅医療の基礎知識

平成18年度の診療報酬改定時に創設され、患者・家族の在宅療養を支える時間開かれた窓口として、必要に応じて他の医療機関と連携をとりつつ時間往診や訪問看護等を提供できるよう一定の基準を満たした診療所のことをいいます。
その数を見てみると、26年には約14千の施設で届出がなされ、実に44万人もの在宅療養患者を支えてくれています

まさに、住み慣れた自宅や地域で過ごせるよう支える在宅医療の中心的存在といえますね。

【主な施設基準】

診療所
② 24時間連絡を受ける体制を確保している
③ 24時間往診可能
④ 24時間訪問看護が可能
緊急時に入院できる病床を確保している
連携する保険医療機関、訪問看護ステーションに適切に患者の情報を提供している
⑦年に1回、看取りの数を報告している
※③は連携する保険医療機関や訪問看護ステーションにおける対応でも可

在宅療養支援診療所[在支診]とは(役割・設置基準・人員基準)|在宅医療の基礎知識

2016.09.22

従来の在支診だけでは不安!?−「機能強化型」誕生の背景

在支診ができたことで、診療所の機能が診療報酬にも反映するようにと緊急往診など種々の報酬が引き上げられました。

しかし在支診と名乗るために必須の「24時間・365日対応」は、常に人員不足に悩まされている医師たちにとって最大のハードルに

実際、在支診の届出をしていない診療所は”24時間往診”24時間訪問看護ができる体制を確保できないことを理由としているところが多く、10万件超ある診療所のうち、在支診がわずかその14%にとどまっている現状をみると「これで日本の在宅医療は安心!」とはとてもいえない状況です。

さらに在支診であっても実際の看取り件数がゼロという施設もあり、各施設の実績にも大きくばらつきが見られました。

そのため、実績も基準に含みつつ、複数の医師・医療機関が協力して診療することをすすめる「機能強化型在宅支援診療所」が創設されたのでした。

なにが違う?ー「機能強化型在支診」の特徴

機能強化型在支診では複数の医師が往診できる体制をとり、かつ過去に一定の実績を持っていることでより質の高い在宅医療を提供します。なお、この機能強化型在支診には「単独型」「連携型」2つのタイプがあります。

「単独型」は、名前通りその診療所単独で24時間365日往診できるよう基準を満たしている診療所。

一方の「連携型」は、他の在支診と受け持ち患者さんの情報を共有し、お互いの緊急時や必要時に連携して往診できる体制を整えた診療所です。
実際、常勤医師が1人の診療所も多いなか、他機関と連携することで一ヶ所にかかる負担を軽減することは、看取りや24時間・365日対応体制を継続的に確保するためにも自然な形といえます。

ちなみに、必要な施設基準は単独型と連携型で少し異なります。

【施設基準】

「単独型」
在宅医療を担当する常勤の医師 3人以上
過去1年間の緊急往診の実績 10件以上
過去1年間の「看取りの実績」又は「超・準超重症児の医学管理の実績」のいずれか4件以上

「連携型」
在宅医療を担当する常勤の医師 連携内で3人以上
過去1年間の緊急往診の実績 連携内で10件以上・各医療機関で4件以上
過去1年間の看取りの実績が連携内で4件以上
各医療機関において、「看取りの実績」又は「超・ 準超重症児の医学管理の実績」のいずれか2件以上

機能強化型在支診を取り巻く現状

機能強化型在支診創設から5年。
ですが、その数は全在支診のうちのわずか2割にも届きません。
(27年度:単独型189件・連携型2,629件)

その裏にあるのは、幾度も診療報酬が引き上げられようと解決できていない在宅医不足の問題が

やはり、常勤の医師を確保するという条件が普及の足かせとなっているといいます。
非常勤医師に夜間や緊急時の往診を頼むだけでも24時間往診体制をとる大きな助けになるはずですが、それでは機能強化型の基準は満たせません。

そうした実情をうけ、28年度の診療報酬改定時には、常勤医師が3名以上確保されていない在支診でも一定の実績を有する場合には評価されるよう、新たな診療報酬が追加されることとなりました。

まとめ

超高齢社会にある日本がこれから迎える多死時代。在宅看取り・在宅療養を支える体制が、より切実に求められるときが目前に迫ってきています。

しかし、その対策の一つである機能強化型在支診はまだ課題の多い現状です。これからも一歩ずつ、その課題を解決すべく社会全体の連携と質の高い人材育成が強く求められます。

 

 

 

 

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

機能強化型訪問看護ステーションとは。算定要件と現在の課題|訪問看護の基礎知識

2017.05.24

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