高齢者の「脱水症」と「かくれ脱水」とは?熱中症とともに要注意!|在宅医療の基礎知識

昨今の夏の異常なまでの暑さ。初めは驚いたものの、もう記録的猛暑というワードにもすっかり慣れてしまっていませんか?

特に今年は例年以上の暑さから、熱中症による救急搬送が相次いでいます。今シーズン全体(430日~722日)の搬送者数は43,813人で、昨シーズン全体(20175月~9月)の52,984人を上回るペースで増え続けています。


そんな過酷な暑さのなか、近年は熱中症で亡くなる高齢者の方も少なくありません

そこで、今回はその恐ろしい高齢者の熱中症ではなく、それを引き起こす「脱水症」と、知られざる要因「かくれ脱水」についてご紹介します!

 

「脱水症」とは

脱水症とは、体の中で栄養素や老廃物などの運搬や、体温調節などの働きをする「体液」が不足した状態のこと。

体液は、水分と電解質(ナトリウム、カリウムなどのミネラル)で構成されており、成人の体の約60%(高齢者は約50%)を占めています。

通常、食事や水分摂取などによって体内に入る水分量と、尿や汗、呼吸などで体外に出る水分量はほぼ同量で、バランスが保たれていますが、何らかの要因によって体液が不足すると脱水症が引き起こされます。

具体的な症状としては、のどの渇き、体のだるさ、肌や唇が乾燥のほか、頭痛や食欲不振、吐き気がみられるケースが多くみられます。重症化すると、意識不全や多臓器不全が引き起こされる場合もあります。

そして、脱水症が熱中症の様々な症状を引き起こします。

 

脱水症の治療法は「水分摂取」。口から水分補給ができる方は経口補水液などで対処しますが、飲食ができない状態であれば、点滴する必要があります。

 

脱水症と何が違う?「かくれ脱水」とは

体の中の水分と電解質が不足することで起きる脱水症。

「かくれ脱水」は脱水症の前段階のことを指し、血液所見では「体液不足に伴い血清浸透圧が基準値よりも増加しているが、体液喪失を疑わせる自覚症状および他覚所見は認められない脱水症の前段階状態」とされています。

明らかな自覚症状が乏しいものの、下痢や嘔吐、発熱などによって少しでも水体液が減少してしまうと、容易に脱水症へ進行してしまう、危険な状態です。

特に高齢者は老化に伴い体液量が減少していることに加え、水分や塩分の摂取に重要な食事量が減少したり、発汗によって体温を調節する機能が低下したりと、健康な成人と比べると容易に脱水症を起こしやすい状態になっています。

そのため、脱水症状が出る前、つまりは「かくれ脱水」の段階で早めに発見し、適切な対処をすることがその後を左右するのです。

 

「かくれ脱水」発見のポイントは?

脱水症に進行する前に見つけたい「かくれ脱水」。しかし、自覚症状がないため、発見するのが難しいという問題があります。

ではどうすれば一般の高齢者の方でも気付けるのでしょうか?

そんなときのために、製薬会社や医師らによって、「かくれ脱水チェックシート」が作成されています。

3つのSTEPの設問をチェックするだけで簡単に「かくれ脱水」の可能性を調べることができます。ちなみに、3つ全てのSTEPに該当する症状・状態がある場合は脱水症に進行する危険性が高く、すぐに受診する必要があります。

内容を以下にご紹介させていただきます。

 

かくれ脱水CHECK(対象:65歳以上の高齢者)

STEP1)最近、今までなかった以下のような変化がありませんでしたか?

皮膚がカサつくようになった。皮膚につやがなく、乾燥している。ポロポロと皮膚がおちる。
口の中がねばつくようになった。食べ物がパサつく。つばが少なくて、つばをゴクンと飲めないことがある。
便秘になった、あるいは以前よりひどくなった。下剤(便秘薬)を使う頻度が増えた。
以前よりも皮膚の張りがなくなった。手の甲をつまみあげて離した後に、つまんだ跡が3秒以上も残る。
足のスネにむくみがでるようになった。靴下のゴムの跡が、脱いだ後に10分以上も残る。

STEP2以下の項目に該当するものはありませんか?

日当りの良いところ、または屋外にいる時間が長い(目安は1時間以上)
普段よりも、集中力が低下している。
 (例えば、落ち着かずイライラしたり、昼間でも眠りがちだったりする)
トイレが近くなるため、寝る前は水分補給を控える傾向がある。
冷たい食べ物(例えば、氷・アイスクリームなど)や冷たい飲み物を好むようになった
利尿薬を内服している(ダイエット薬に含まれている場合も該当)


STEP3)さらに、以下の項目に該当するものはありませんか?

①85歳以上である。
高血圧、糖尿病、心臓病などの持病がある。

(参考・引用)かくれ脱水JOURNAL
http://www.kakuredassui.jp

 

もし「かくれ脱水」に陥ってしまったら・・・対処法&予防のポイントは?

実際にかくれ脱水に陥った場合は、脱水時と同様、単に水分を取ればいいというわけではありません。塩分を含まない水やお茶では必要な電解質が不足し、十分に回復することができないどころか、かえって低ナトリウム血症を招き、意識障害(せん妄)をきたす恐れがあります。

かくれ脱水が疑われる場合、もしくは日頃から予防するには、食事から水分と電解質をしっかり摂れるよう、食事内容を見直しましょう

嚥下や咀嚼能力の低下がある場合や食事からの摂取が難しい場合は経口補水液(市販のOS-1など。ゼリータイプのものもあります。)を併用し、高齢者の場合は5001000ml/日、ゆっくり時間をかけて少しずつ飲むようにします。


ただし、心疾患や腎疾患などの既往症がある場合は、症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。まずはかかりつけ医の指示を仰いでから慎重に対処しましょう。

 

経口補水液がない!そんなときに簡単レシピをご紹介!

経口補水液をいざ飲もうと思ったけど・・・ない!というときには、経口補水液を自分で作ることもできます。レシピをご紹介しましょう。

用意するもの:水1L、ブドウ糖1020g(ない場合は、砂糖2040gでも可)、塩3g

これらを混ぜるだけでOKです。お好みでレモンやグレープフルーツの果汁を少し入れると飲みやすくなります。

<注意点>

  • 材料の量はきっちり測りましょう。正確な分量で作らないと、適切な効果が得られない可能性があります。
  • 作り置きはせずに、早めに飲み切るようにしましょう。また、清潔な容器を使用するようにしてください。
  • あくまで緊急措置です。嘔吐や下痢のある場合や、迅速な効果を期待する場合には、市販の経口補水液を使用するようにしてください。

 

「かくれ脱水」にならないために〜日頃からできる予防法

このように、かくれ脱水から体液が減少すると脱水症に、脱水症から熱中症に、という順に病状が進行していきます。

そこで、熱中症予防は脱水予防。そして脱水予防はかくれ脱水予防!という考えを持つことが大切になります。

まずかくれ脱水を防ぐことこそが、重要な熱中症予防となるわけですね。


そこで、日頃からできることとして

①なるべく暑さを避ける服装になる

②首に巻くスカーフなど、体温調整をする工夫

③扇風機などを使い、部屋の空気を入れかえる

④我慢してクーラーを止めるなど、無理な節電をしない

⑤温度計をみて、高温多湿を避ける

⑥エアコンの環境では濡れタオルを掛ける。観葉植物の水やりなど

⑦規則正しい栄養バランスと量を考えた食事

 

特にについては、古いお宅だとクーラー自体取り付けていないというところもまだまだあります。

高齢者の方は気温の変化に自分で気づくことが難しくなるため、ご家族や医療スタッフなど周囲の方に特に気を配っていただきたいポイントです。

 

熱中症予防のために。「かくれ脱水」&「脱水症」予防・対策に取り組みましょう!

今回は、「かくれ脱水」と「脱水症」についてご紹介しました。高齢者の場合、その危険性は夏だけでなく、空気が乾燥し、インフルエンザやノロウイルスが流行する冬など、季節を問わず日常に潜んでいます。

しかし、ひとりひとりが自分自身、そしてまわりの方の体調に気を配り、適切に対処できばそれほど恐れる必要はありません。

これを機に日頃の生活習慣を見直し、みんなで徹底的に予防していきましょう!

 

参考文献など

谷口英喜 イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本

STOP熱中症 教えて!「かくれ脱水」委員会

https://www.kakuredassui.jp/

公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/dassui.html

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

 

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