地域連携室とは。病院と在宅医療のつなぎ役|在宅医療の基礎知識

皆さんは「地域連携室」という名前を聞いたことがあるでしょうか
病院によっては地域医療連携室、患者支援センター、在宅医療支援室などなど、違う名称になっているかもしれませんが、昨今ではこのような部門が各病院ごとに必ずと言っていいほど設置されており、その名の通り地域の医療機関・施設との連携を助け、患者の受診や入退院・転院がスムーズにできるよう調整しています。

今回はそんな地域医療連携を担う部門をまとめて「地域連携室」として、実際にどんなことをしているところなのか詳しくご紹介します。

(2017年8月時点)

 

「地域連携室」設置の背景

平成18年に医療法が改正されて以降、日本では国を挙げて地域医療連携の考えが推進されてきました。


地域連携クリニカルパスの作成や、診療情報を提供しあうネットワークの作成など、中核病院と周辺の診療所でその機能に応じた適切な役割分担をし、地域で一体となって患者を診られるようにとシステム作りが進められたのです。

「地域連携室」もその流れを受けて生まれたものの一つです。
しかし、地域医療連携を図る目的は共通していても設置義務はないためか、各病院でその名称や機能、組織内での体制や立場も異なっているのが現状です。

そのため、訪問看護の立場から病院看護師と情報共有しようとした際、どこに連絡を取ればいいのかわからず電話をあちこち回されるということもしばしば。
そもそも院内や地域との連携がうまく取れていなかったために設置された部門ですから、そうなるのも仕方ないのかもしれませんね。

 

病院の”地域連携室”がもつ役割・機能

いまや多くの病院で設置されている地域連携室。
病院によって色々と異なるところは多々ありますが、基本となる役割はやはり病院と地域とをつなぐ「コーディネーション」。

それを踏まえた上で一般的に共通する機能をさらに細かく挙げると

 

 紹介受診調整、紹介状・返書を管理する機能

 退院調整、退院支援を行う機能

 地域連携パスを運用する機能

 地域の情報収集や病院を広報する機能

 研修会、協議会等を開催する機能

 その他、地域との関わりに関する機能共同診療、登録医、など

 

このような内容を医師、看護師、メディカルソーシャルワーカー、相談員や事務員などの多職種で成るチームで行っています。

 

 

在宅医療の現場から見た実際

では実際、地域連携室では地域の各所とどのように関わっているのでしょう特に訪問看護の立場でよく関わるところでは主に以下のようなケースが見られます。


・対象者の入院中・在宅療養への移行に関する家族の相談窓口

・必要物品や福祉・介護サービスの手配についての情報提供

・退院前カンファレンスの開催日程や参加者等の連絡調整と当日の進行

・退院後に必要な医療器具や物品についての情報提供や手配

・退院予定日時の調整や連絡

・対象者の在宅療養中、訪問看護指示書や特別指示書の依頼や訪問看護報告書を渡す際の窓口

・外来通院時の情報提供処置の変更点や自宅での注意点など

・レスパイト入院や処置・ケアに関する相談

・院内の医師が往診する場合や、院内からWOCナースなど特定の看護師が在宅に訪問する際の連絡調整訪問看護師やケアマネージャーも同席させてもらうことがあります

 

地域連携室のもつ課題


このように、在宅で暮らす患者さんご本人だけでなく、そのご家族に関してもなんでも相談できる地域連携室。いわば地域の「よろづ相談室」のような心強い存在です。

しかし、実際はまだ病院によって院内での位置付けや指示系統、そして連携の円滑さ・スピードにも大きくばらつきがあります。

病院内でも連携室の機能や役割が明確化されていなかったり、他部署のスタッフに十分に周知されていないこともあるようで、連絡のルートや担当者も病棟ごとに分かれているところもあれば、疾患別がんなどになっていたりと様々で、初めて外部から連絡を取ろうにも1回ですんなりとは運ばないのが難点です。

院内での情報共有の強化、そして内からも外からも見えやすいシステム作りが求められています。

 

まとめ


地域医療連携は、単に病院の運営に関わるだけのものではなく、今後の日本を支える地域包括ケアシステム構築に不可欠なものです。

まだまだ病院個々での課題も多い現状ですが、今後その機能を存分に発揮して、入院も退院も何の心配もなくできるよう、地域全体で繋がれた社会になるよう期待が寄せられます。


<参考>

引用全国連携実務者ネットワーク http://www.renkei-network.net
厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/dl/s1105-2b.pdf

 

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

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