【2018年度診療報酬改定】「在宅医療」に関わる診療報酬改定の要点まとめ

2018年度診療報酬改定」により在宅医療の評価も見直されています。4月からの新制度開始前に「在宅医療」についての報酬がどのように変化したのか。在宅医療に取り組む皆様が押さえておくべき事項をピックアップして解説します。

Point1>在支診以外でも。在宅医療に取り組む医療機関が、より幅広く評価される! 

I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

①複数医療機関が行う訪問診療の評価

  • 在宅患者訪問診療料().2

在宅医療を受けている患者が複数の疾病等を有している等の現状を踏まえ、複数の医療機関による訪問診療を行った場合についての評価が見直されました。

現行制度では、1医療機関のみが加算対象となっていますが、今回の改定で依頼を受けて診察した他の診療所も算定することができるようになります。

【在宅患者訪問診療料Ⅰ】

  他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合(新設)

同一建物居住者以外 830

同一建物居住者 178

[算定要件]

在総管、施設総管又は在宅がん医療総合診療料の算定要件を満たす他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合に、一連の治療につき6月以内に限り(神経難病等の患者を除く)月1回を限度として算定する。

 

引用元について:特別の表記がないものについては全て「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(平成3035日厚生労働省告示第43号)」から引用しています。

 

②在支診以外の診療所による訪問診療の提供に係る評価

  • 継続診療加算(在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料)

外来診察を行っている在宅療養支援診療所(在支診)以外の診療所が、他の医療機関との連携によってかかりつけの患者に対して、24 時間の往診体制と連絡体制を構築した場合の評価が新設されました。

【在宅時医学総合管理料】

【施設入居時等医学総合管理料】

継続診療加算(新設)

216 点(1月につき)

[算定要件]

(1) 当該保険医療機関の外来又は訪問診療を継続的に受診していた患者であること。

(2) 算定患者ごとに、当該医療機関単独又は連携する医療機関との協力のもと、24 時間の往診体制及び 24 時間の連絡体制を構築すること。

(3) 訪問看護が必要な患者については、当該保険医療機関、連携する医療機関又は連携する訪問看護ステーションによる訪問看護を提供していること。

③併設する介護施設等への訪問診療の整理

  • 在宅患者訪問診療料()

併設する介護施設等への訪問診療を行う場合の評価が新設され、訪問と外来の中間の位置づけとして評価することになりました。

【在宅患者訪問診療料Ⅱ】(新設)

併設する介護施設等の入居者の場合 144 点(1日につき)

[算定要件]

在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、その同意を得て、計画的な医学管理の下に定期的に訪問して診療を行った場合に、当該患者1人につき週3回を限度として算定する。

 

④患者の状態に応じたきめ細やかな訪問診療の評価

  • 包括的支援加算

通院が特に困難と考えられる患者や、支援を必要とする患者等に訪問診療を行ったときの評価が新設されました。

【在宅時医学総合管理料】

【施設入居時等医学総合管理料】

包括的支援加算(新設)

150 点(月1回)

[対象患者]

以下のいずれかに該当する患者

(1) 要介護2以上に相当する患者

(2) 認知症高齢者の日常生活自立度でランクⅡb 以上の患者

(3) 月4回以上の訪問看護を受ける患者

(4) 訪問診療時又は訪問看護時に処置(簡単な処置を除く)を行っている者

(5) 特定施設等の入居者の場合には、医師の指示を受けて、看護師がたんの吸引、胃ろう・腸ろうの管理等の処置を行っている患者

(6) その他、関係機関等との連携のために特に重点的な支援が必要な患者

  • 在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料

訪問回数に合わせて評価が変更となりました。機能強化型在支診以外の医療機関が月1回の訪問診療を行った場合、現行より2050点程度加算されることとなった一方で、医療機関(機能強化型在支診も含む)が月2回以上訪問診療を行う場合、100点程度減算されることとなります。

 

Point2>訪問回数&時間での加算について、要件が適正化される

I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

⑤適切な往診の推進と看取り期の患者に対する往診の評価

  • 往診料

不必要な往診を防ぐため、患者が医療機関等に直接往診を求め、医師が往診の必要性を認めた場合にのみ「往診料」の算定が可能となります。

【往診料】

720点

[算定要件]

(1) 往診料は、患者又は家族等患者の看護・介護に当たる者が、
保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、
当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、
可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に算定できるものであり、
定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療を行った場合には
算定できない。

(略)

  • 往診料 緊急往診加算、夜間・休日加算及び深夜加算

「緊急往診加算」の対象患者に、終末期の患者が追加されました。また、不適切な算定を防ぐため、夜間・休日・深夜の時間帯が医療機関の標榜時間に含まれる場合、夜間・休日加算、深夜加算が算定不可となる要件が追加されました。

 

【往診料】
緊急往診加算
夜間・休日加算、深夜加算

[算定要件]

機能強化型在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が行う場合

(1) 病床を有する場合

緊急往診加算 850

夜間・休日往診加算 1,700

深夜往診加算 2,700(2) 病床を有しない場合

緊急往診加算 750

夜間・休日往診加算 1,500

深夜往診加算 2,500点ロ 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が

行う場合

(1) 緊急往診加算 650

(2) 夜間・休日往診加算 1,300

(3) 深夜往診加算 2,300点ハ その他の医療機関の保険医が行う場合

(1) 緊急往診加算 325

(2) 夜間・休日往診加算 650

(3) 深夜往診加算 1,300

(4)緊急往診加算の対象となる緊急な場合とは、患者又は現にその看護
に当たっている者からの訴えにより、速やかに往診しなければならないと
判断した場合をいい、具体的には、急性心筋梗塞、脳血管障害若しくは
急性腹症等が予想される患者又は医学的に終末期であると考えられる
患者(当該保険医療機関又は当該保険医療機関と連携する保険医療機関
が訪問診療を提供している患者に限る。)をいう。

(略)

(6) 夜間(深夜を除く。)とは午後6時から午前8時までとし、深夜の取扱いについては、午後10時から午前6時までとする。
ただし、これらの時間帯が標榜時間に含まれる場合、夜間・休日加算及び深夜加算は算定できない。

Point3>訪問看護ステーションとの連携について、評価が充実!

I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

⑥入退院(所)時の医療機関等と訪問看護との連携

  • 診療情報提供料(Ⅰ)療養情報提供加算

患者が入院する際、主治医が訪問看護ステーションから入手した情報を、入院する医療機関に提供した場合に評価される「診療情報提供料(Ⅰ)療養情報提供加算」が新設されました。また、情報提供した訪問看護ステーションにも「訪問看護情報提供療養費3」として、1,500円が加算されます。

【診療情報提供料(Ⅰ)】

療養情報提供加算(新設)

50

[算定要件]

保険医療機関が、患者の同意を得て、当該患者が入院又は入所する保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院に対して文書で診療情報を提供する際、当該患者に訪問看護を定期的に行っていた訪問看護ステーションから得た指定訪問看護に係る情報を添付して紹介を行った場合は、50 点を所定点数に加算する。

⑧喀痰吸引等を実施する介護職員等との連携の推進

  • 看護・介護職員連携強化加算(在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料)

医師の指示によって、訪問看護ステーションと介護職員が連携して、喀痰吸引等を実施した場合の評価が新設されました。医療機関には下表の点数が、訪問介護ステーションには「看護・介護職員連携強化加算」として2,500円が加算されます。

【在宅患者訪問看護・指導料】

【同一建物居住者訪問看護・指導料】

【精神科訪問看護・指導料】

看護・介護職員連携強化加算(新設)

250

[算定要件]

(1) 口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養又は経鼻経管栄養を必要とする利用者に対して、訪問看護ステーションの看護職員が、喀痰吸引等を行う介護職員等に対し、利用者の病態の変化に応じて、医師の指示の下、以下について支援・連携した場合に算定する。

喀痰吸引等に係る計画書や報告書の作成及び緊急時等の対応についての助言

介護職員等に同行し、利用者の居宅において喀痰吸引等の業務の実施状況について確認

利用者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のための会議に出席

(2) 当該加算は、(1)の介護職員等と同行訪問を実施した日又は会議に出席した日の属する月の初日の指定訪問看護の実施日に加算する。

(3) 24 時間対応体制加算を届け出ている場合に算定可能であること。

(4) 当該加算は、1 人の利用者に対し、1つの訪問看護ステーションにおいてのみ算定できる。

※I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保⑦、⑨~㉒については、訪問看護ステーション、歯科、薬剤師など、他職種向けの事項となるため、省略します。

 

Point4>在宅での看取りの評価が充実!

I-6 国民の希望に応じた看取りの推進

①患者の希望に応じた看取りの推進

  • 在宅ターミナルケア加算(在宅患者訪問診療料)

訪問診療を行っていた患者が、在宅で最期を迎えた場合に加算される「在宅ターミナルケア加算」について、居住先が老人ホームの場合と、自宅など、老人ホーム以外の場合の2区分が新設されました。また、全項目において現行より500点増えています。

【在宅患者訪問診療料】

在宅ターミナルケア加算

(有料老人ホーム等以外に居住する患者)

機能強化型在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院

(1) 病床を有する場合 6,500

(2) 病床を有しない場合 5,500

在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院 4,500

その他の医療機関 3,500

(有料老人ホーム等に居住する患者)(新設)

機能強化型在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院

(1) 病床を有する場合 6,500

(2) 病床を有しない場合 5,500

在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院 4,500

その他の医療機関 3,500

[算定要件]

在宅ターミナルケア加算は、死亡日及び死亡日前 14日以内の計 15

日間に2回以上往診又は訪問診療を行った患者が、在宅で死亡した場合(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む。)に算定する。(中略)

ターミナルケアの実施については、厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、患者本人と話し合いを行い、患者本人・家族の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上対応すること。

 

  • 機能強化型在宅療養支援診療所(単独型)

患者、またはその家族にあらかじめ意向を確認したうえで、7日以内の入院中に死亡した場合についても看取りとみなし、「ターミナルケア加算」の対象とすることができるようになります。

機能強化型在宅療養支援診療所(単独型)

[施設基準]

有床診療所にあっては当該診療所において、無床診療所にあっては別の保険医療機関(許可病床数が200床以上の病院を含む。)との連携により、緊急時に居宅において療養を行っている患者が入院できる病床を常に確保していること。

(中略)

当該診療所において、過去1年間の在宅における看取りの実績を4件以上(中略)有していること。なお、6月以上の訪問診療を実施した患者であって、あらかじめ聴取した患者・家族の意向に基づき、当該診療所又はオにおける受入医療機関で7日以内の入院を経て、死亡した場合も、在宅における看取りの実績に含めることができる。

機能強化型在宅療養支援診療所(連携型)、機能強化型在宅療養支援病院(単独型)及び機能強化型在宅療養支援病院(連携型)についても同様

②治療方針に関する意思決定支援体制の評価

  • 在宅患者支援病床初期加算(地域包括ケア病棟入院料)、在宅患者支援療養病床初期加算(療養病棟入院基本料)

患者が在宅から入院した場合の加算について、患者・家族の意思決定についての要件が追加されました。治療方針について、患者・家族の意思決定を支援する体制を、医療機関が構築した際に評価される仕組みです。

【地域包括ケア病棟入院料】

在宅患者支援病床初期加算

当該病棟又は病室に入院している患者のうち、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅から入院した患者に対し、治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行った場合に、入院した日から起算して14日を限度として、在宅患者支援病床初期加算として、1日につき300点を所定点数に加算する。

 

【療養病棟入院基本料】

在宅患者支援療養病床初期加算

当該病棟に入院している患者のうち、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅から入院した患者に対し、治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行った場合に、入院した日から起算して14日を限度として、在宅患者支援療養病床初期加算として、1日につき350点を所定点数に加算する。

Point5>在宅でのターミナルケアも評価見直し!

I-6 国民の希望に応じた看取りの推進

③訪問診療の主治医とケアマネジャーの連携強化

  • 在宅時医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料

算定要件に、医療機関とケアマネの連携に関する事項が追加となりました。医療機関は、末期のがん患者のケアマネジメントを担当する居宅介護支援事業者に、患者の病状や予後等について情報提供することが必要となります。

【在宅時医学総合管理料】

【在宅がん医療総合診療料】

[算定要件]

(略)

悪性腫瘍と診断された患者については、医学的に末期であると判断した段階で、当該患者のケアマネジメントを担当する居宅介護支援専門員に対し、予後及び今後想定される病状の変化、病状の変化に合わせて必要となるサービス等について、適時情報提供すること。

④在宅療養中のがん末期の患者に行う酸素療法の評価

  • 在宅ターミナルケア加算 酸素療法加算

末期のがん患者に対して、在宅で行われる酸素療法についての評価が新設されました。

【在宅患者訪問診療料】在宅ターミナルケア加算

酸素療法加算(新設)

2,000

[算定要件]

がん患者であって、在宅ターミナルケアを行っている者に対し、酸素療法を行っていた場合に所定点数に加算。

⑤特別養護老人ホーム等におけるターミナルケアの評価の見直し

  • 在宅ターミナルケア加算、看取り加算(在宅患者訪問診療料)

特別養護老人ホームの入居者に、他の医療機関が訪問診療を行った場合、その医療機関も「在宅ターミナルケア加算」、「看取り加算」を算定できるようになりました。現行では、特養が看取り介護加算を算定する場合、医療機関はこれらの点数を算定できません。

【在宅患者訪問診療料】在宅ターミナルケア加算、看取り加算

[算定要件]

特別養護老人ホームの入所者については、以下のア又はイのいずれかに該当する場合には在宅患者訪問診療料を算定することができる。なお、当該患者について、在宅ターミナルケア加算と看取り加算を算定できるが、特別養護老人ホームにおいて看取り介護加算(Ⅱ)を算定している場合には、看取り加算は算定できず、在宅ターミナルケア加算のみを算定すること。

当該患者が末期の悪性腫瘍である場合

当該患者を当該特別養護老人ホーム(看取り介護加算の施設基準に適合しているものに限る。)において看取った場合(在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院又は当該特別養護老人ホームの協力医療機関の医師により、死亡日から遡って30日間に行われたものに限る。)

(参考)「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の一部改正について(平成28325日保医発03259号)

まとめ

ついに詳細まで決まった、2018年度診療報酬改定。今回は在宅医療にフォーカスしてご紹介しました。新設される評価項目も多くあり、在宅医療についての評価は大きく充実しました。政府が推進する一方で、まだまだ普及のための努力が必要な在宅医療。今回の改正が在宅医療推進に大いにプラスに働くことを願います。

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