インフルエンザの2018年最新動向ーワクチンの供給状況&注目の新薬とは

11月ももう終盤にさしかかり、急に気温が下がってきました。そんな今、医療・介護の現場で気になる話題といえばインフルエンザやノロウイルスなどの感染症。

今回のブログでは、ワクチンの供給状況や、3月に発売された新薬の情報など、2018年のインフルエンザにまつわる動向をまとめました。最新動向をチェックして、本格的な流行に備えましょう!

 

改めて復習!インフルエンザとは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスがのどや気管支で増殖することで発症する急性の呼吸器感染症のこと。

風邪と同様にのどの痛み、鼻水、咳といった症状もみられますが、急な発熱(38度以上の高熱)や全身倦怠感、筋肉痛などの全身疾患が強く現れることが特徴です。

例年11月上旬ごろから流行が始まり、1~2月ごろに患者数がピークを迎えます。

 

まずは、インフルエンザがどのような疾患か、簡単にまとめました。

本格的なシーズン到来前にもう一度復習しましょう!

 

  • 感染経路

咳やくしゃみによるしぶきによって感染する「飛沫感染」が多くを占めます。また、感染者の飛沫がついた手で、鼻や口に触れて感染する「接触感染」も経路の一つとなっています。

 

  • 潜伏期間

1~3日間程度。

 

  • 症状

突然の発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛、食欲不振などの症状が現れた後、咳、鼻汁などの上気道炎症状がみられるようになります。症状が現れてから、1週間程度で快方に向かいます。

 

小児は急性脳症を、高齢者や免疫力が低下している方は肺炎を引き起こすこともあるため、特に注意が必要です。

 

  • インフルエンザウイルスの種類(型)

A、B、C型がありますが、現在ヒトの間で流行しているのは2種のA型ウイルス(H3N2(香港型)、H1N1(H1pdm09:2009年に新型インフルエンザとして流行した型))、B型ウイルスの3種類となっています。それぞれの型による症状の違いは見られません。

 

なお、A型のH1N1は、元々「ソ連型」と呼ばれていた型でしたが、2009年以降はそれに代わって新型インフルエンザが流行し、ソ連型はほぼ見られなくなりました。このように、新たな型のウイルスが突然現れ、元々あったウイルスの型に取って代わるケースもあります。

インフルエンザ2018年の流行状況とワクチンの動向

では、インフルエンザの流行について、現時点ではどのような状況となっているのでしょうか。

 

  • 流行状況

全国的な流行は始まっていませんが、三重県と沖縄県については、すでに流行の目安とされる定点当たり報告数1を超えた(11月15日時点)ほか、東京、大阪ではそれぞれ30以上の学校でインフルエンザによる学級閉鎖が行われています。本格的な流行を目前に控えた状況といえるでしょう。

 

  • 今シーズン流行の型

昨シーズンはA型、B型がほぼ同時に流行し始めたのに対して、今シーズンは、A/H1N1が早い時期から流行しているのが特徴です。国立感染症研究所によると、11月21日までで、検出されたウイルスの約7割はA/H1N1とのことです。

 

  • ワクチンの供給状況

昨シーズンは製造の遅れから、ワクチンの供給量が不足し、医療現場での混乱が見られました。

厚労省によると、今シーズンについては、昨年度の推計使用量(約2,491万本)と、過去5年間の平均使用量を上回る量を供給できる見込み(約2,660万本)とのことです。

 

12月ごろから安定供給される見通しではありますが、厚労省は昨年に引き続き、ワクチンの効率的な使用と安定供給のために、13歳以上の人は原則1回注射とすることや、必要量に見合う量のワクチンを購入することを徹底するよう、医療機関に求めています。

 

ただし、65歳以上の高齢者や、心臓、腎臓、呼吸器などに慢性疾患を抱えている方については、医師の判断で2回ワクチン接種となる場合もあります。早めに医療機関に相談するようにしましょう。

 

なお、インフルエンザの定点あたり報告数や都道府県ごとの流行状況、ワクチンについての情報など、インフルエンザに関する最新動向は、国立感染症研究所や厚生労働省のホームページから確認できます。

 

<参考>

  • 厚生労働省:インフルエンザ 総合ページ

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html

  • 国立感染症研究所:インフルエンザ

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/flu.html

  • 厚生労働省健康局健康課:平成30年10月23日付事務連絡「季節性インフルエンザワクチンの供給について(情報更新)」

https://www.mhlw.go.jp/content/000374971.pdf

 

インフルエンザの治療薬ー注目の新薬「ゾフルーザ」とは

インフルエンザの治療には、症状を和らげるために行う対症療法のほか、インフルエンザウイルスの増殖を防ぐ抗インフルエンザ薬を用いることが主流となっています。

 

インフルエンザウイルスは、増殖のスピードが速く、発症から48時間以内に服用しなければ十分な効果は期待できません

適切な時期に服用すれば、発熱する期間が1〜2日間短縮できるほか、鼻などから排出されるウイルスの量が減少することがわかっています。

 

現在、抗インフルエンザウイルス薬として、医療現場で主に用いられているのは、タミフル、リレンザ、イナビルなどのノイラミニダーゼ阻害薬です。

 

ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザウイルスがヒトの細胞内で増え、細胞外に新たに作られたウイルスが放出されるときに働く酵素「ノイラミニダーゼ」を阻害することで、ウイルスの増殖を防ぎます。

 

これらに加え、2018年3月に発売したゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)も使用される機会が増えてきています。

 

ゾフルーザは、ノイラミニダーゼ阻害薬とは作用機序が異なり、細胞内でウイルスが増えるときに必要となる酵素「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ」の働きを阻害することで効果を発揮します。

 

特徴は、服用回数が、経口で1回のみであること。タミフルなどの既存の経口薬が1日2回、5日間の服用が必要なのに対し、1回のみの服用で済むため、体への負担が少なくすみます。

 

剤型は錠剤と、主に子どもや、嚥下機能が低下した老人向けの顆粒剤※の二種類があります。

 

※2018年9月に製造販売承認取得。11月22日時点で未発売。

 

インフルエンザの予防策とはー「スタンダードプリコーション」を徹底しましょう!

全身症状が強く出るインフルエンザは、高齢者や持病のある方は重症化する恐れもあり、特に注意が必要です。在宅医療の現場で、感染力が強いインフルエンザを予防するためには、どのような行動を取るべきなのでしょうか。

 

インフルエンザの予防の基本は、手洗いをしっかりすること。そして、予防接種を受けることも有効です。

手洗い励行、予防接種の必要性について、利用者やその家族にきちんと説明する必要があります。

 

また、職員がインフルエンザに感染たり、職員を介して利用者に感染が拡大しないように、日頃から予防策をとることが大切です。

 

これにあたって有効なのは「スタンダードプリコーション(標準感染予防措置策)」。

スタンダードプリコーションは、病院感染予防のためにアメリカで生まれた概念で、「すべての患者の血液、体液、分泌物、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜などは、感染する危険性があるものとして取り扱わなければならない」という考え方が基本となっています。

病院感染予防のための概念ではありますが、病院以外の医療・介護の現場でも役立つ方法となっています。

 

スタンダードプリコーションにおいて、基本となるのは手洗いです。

ケアの前後と、1つのケアが完了するごとに一度手を洗うなど、手洗いの徹底が大切です。

 

そして、医療・介護の現場で特に注意が必要な排泄物、嘔吐物を処理する際には、手袋やマスクの着用が必要になります。また、職員の目、鼻、口を汚染する可能性がある場合などは、必要に応じてゴーグル、エプロン、ガウンなどを着用しなければなりません。

 

インフルエンザなどの感染症について、感染経路を断つためには、(1)病原体を医療・介護の現場に持ち込まない、(2)病原体を現場から持ち出さない、(3)設備、備品を介して病原体を拡げないことが大切になります。

スタンダードプリコーションを徹底し、インフルエンザ予防に積極的に取り組みましょう。

 

<参考>

https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/dl/130313-01.pdf

 

まとめ

今回はインフルエンザに関する2018年の最新情報をお伝えしました。全国的な流行はまだですが、予防接種を受ける、手洗いをしっかり行うなどの対策に現時点から取り組むことが必要です。

また、今回ご紹介したスタンダードプリコーションについては、ノロウイルスなど他の感染症の予防にも有効です。インフルエンザだけでなく、他の感染症予防のためにも、スタンダードプリコーションに基づいた対策を現場で徹底することが大切です。

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