「冬のお風呂」には危険がいっぱい!?ヒートショックを解説!

1月も終盤に差し掛かり、冷え込みの強い日が続いていますね。そんな冬に欠かせないものといえば、あったかいお風呂。ゆっくりお風呂につかれば、体が温まるだけでなく、疲れも癒されますね。

しかし、冬は入浴時の死亡事故が増加する季節でもあります。特に高齢者において、その傾向が顕著に見られており、注意が必要であると指摘されています。今回は、入浴時の事故につながる「ヒートショック」とその対策についてご説明します。

実は交通事故による死者よりも多い!?入浴時の事故と死亡者

厚生労働省「人口動態調査」と、東京消防庁「救急搬送データ」を基に、消費者庁がとりまとめた高齢者の事故状況の報告によると、「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は年々増加していることが明らかになっています。

そのうちの約7割は「家」、「居住施設」の「浴槽」における事故が占めており、平成23年以降、「交通事故」による死亡者数より多くなっていることが報告されています。

また厚生労働省によると、入浴時に急死した場合、病死と判断されるケースも多いことから、実態としてはもっと多くの方が入浴中に亡くなっていると考えられおり、その数は19000人に上ると推計されています。

入浴中の事故は冬季に集中する傾向があり、12月から2月の間に年間全体の約5割が発生しています。そして、特に75歳以上の後期高齢者に死亡事故が多いことがわかっています。

なぜ冬場に入浴時の事故が増えるのか。それは「ヒートショック」が背景にあると考えられています。

ヒートショックとは

ヒートショックは、温度の急激な変化によって血圧が大きく変動するなど、体に大きな負担がかかることで起こるショックのこと

失神や心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などの症状がみられるほか、最悪の場合、死亡することもあります。

特に冬場、高齢者に多いことが特徴ですが、特段の持病がなくても起きるケースもあります。

ヒートショックは、外気が下がる冬場の入浴時に発生しやすいといわれています。その背景には、気温と血圧の関連があります。入浴時の気温と血圧の変化についてみていきましょう。

<入浴時の気温・血圧の変化>

①暖かい室内から、寒い脱衣所・浴室に移動する

→寒冷刺激によって血管が収縮し、血圧が急激に上昇する。

②暖かい湯船に入る

→血管が拡張し、血圧が急激に低下する。

③寒い脱衣所に戻る

→欠陥が収縮し、血圧が再び急上昇する。

「入浴」という短時間の行動ではありますが、血圧が大きく変動することがわかります。

暖かい部屋から、寒い脱衣所に移動したときなど、血圧が急上昇した場合は、心筋梗塞、脳卒中などが起きやすいといわれています。

逆に、湯船で体が温まったときなど、血圧の急低下した場合は、失神が起きやすくなり、その結果、浴槽内でおぼれて亡くなることにもつながります。

高齢者の入浴時の事故を防ぐには。ヒートショックの対策法をご紹介!

入浴時の死亡事故にもつながるヒートショック。どのような対策が有効なのでしょうか。

(1)入浴前に脱衣所や浴室を温める

ヒートショックは、気温が急激に変化すること伴い、血圧が急上昇・急低下することで起こります。これを防ぐためには、部屋ごとの気温差を少なくすることが大切。脱衣所や浴室、トイレなどを暖房器具であらかじめ暖めておきましょう。また、浴室に暖房設備がない場合は、シャワーで湯船に給湯することで、蒸気で浴室を暖めることができます。

(2)湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安に

熱いお湯に長時間つかると、のぼせて意識障害を起こすことにつながります。また、お湯の温度に合わせて体温が上昇し、浴室内で熱中症になってしまう可能性も。温度は41度、時間は10分を目安に入浴しましょう。

(3)浴槽から急に立ち上がらない

立ちくらみが起きやすくなります。入浴中は体に水圧がかかり、血管が圧迫された状態となっていますが、急に立ち上がると一気に体中に血液が流れ、代わりに脳の血流が少なくなります。その結果、貧血状態になり、一時的に意識障害を起こすことがあります。湯船から立ち上がるときは、ゆっくりと!を心掛けましょう。

(4)飲酒後、食後すぐの入浴は控える

飲酒は、入浴中の事故に影響を与える恐れがあるため、飲酒後はアルコールが抜けるまで待ってから入浴するようにしましょう。食後すぐも、食後低血圧によって失神することがあるため、注意が必要です。精神安定剤や睡眠薬などの服用後や、体調が悪い時も入浴は控えましょう。

おすすめの入浴時間は、夕食前や日没前。日中は外気温が高く、脱衣所や浴室の冷え込みも夜間ほどではないため、体への負担が少なく済みます。逆に、深夜や早朝は気温が低くなることに加え、家族などの同居人が異変に気付きにくくなります。深夜や早朝の入浴は避けましょう。

(5)一人の入浴は避ける。家族や同居人に見回りをお願いする

体調の変化や異変が起きたとき、早期発見が命を守ることにつながります。家族や同居人に、入浴前に一声かけ、こまめに見回りしてもらうようお願いしましょう。また、厚生労働省の調査によると、家庭での事故と比較し、公衆浴場や日帰り温泉などでは、心肺停止に陥りにくいとの結果が出ています。公衆浴場の利用も対策として有効です。

ヒートショックの危険度をセルフチェックしてみよう!

ヒートショックの危険度を、簡単にチェックできるチェックシートをリンナイが公表しています。チェック数が5個以上ある方はヒートショックになる可能性が高い「ヒートショック予備軍」となります。

<ヒートショック危険度 簡易チェックシート>

□メタボ、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓・肺や気管が悪い等と言われた事がある

□自宅の浴室に暖房設備がない

□自宅の脱衣室に暖房設備がない

□一番風呂に入ることが多いほうだ

□42度以上の熱い風呂が大好きだ

□飲酒後に入浴することがある

□浴槽に入る前のかけ湯をしない、または簡単にすませる

□シャワーやかけ湯は肩や体の中心からかける

□入浴前に水やお茶など水分をとらない

□1人暮らしである、または家族に何も言わずにお風呂に入る

出典:リンナイ株式会社、2018年11月1日付ニュースリリース「【熱と暮らし通信】「入浴」に関する意識調査」より

また、ヒートショックの危険度について、参考になるのが、日本気象協会と東京ガスが開発した「ヒートショック予報」。天気予報など気象情報を提供する「tenki.jp」のWebサイト内で公開されています。天気予報と合わせて、ヒートショック予報を確認するのも良いかもしれませんね。

tenki.jp ヒートショック予報:https://tenki.jp/heatshock/

何よりも大切な対策は「ヒートショックを知ること」

そして、最も大切な対策法は、ヒートショックとその対策を理解すること

リンナイが20~60代の男女2350名に行った調査では、ヒートショックという名前を知っていると回答したのは全体の8割以上を占める一方で、名前を知っていて、かつ対策法も知っていると回答した人は全体の17.4%であることがわかっています。

また、消費者庁が55歳以上の男女の男女3900名に行った調査では、冬の寒い日の入浴時に行っていることについて、特に何もしていないと回答した人が全体の36%を占めており、防寒などの対策が不十分であることが伺えます。知名度が高まりつつある一方で、内容や対策についての理解はまだ不十分なのが現状です。

今後、在宅医療や介護の場で、利用者やその家族にヒートショックとその対策法について理解を促すため、医療・介護の従事者からアプローチすることが必要といえるでしょう。

まとめ

今回は、冬のお風呂で起きやすいヒートショックについてご紹介しました。脱衣所や浴室を事前に暖める、入浴前に家族に声をかけるといった対策をきちんとすることが、お風呂での死亡事故を防ぐことにつながります。まだまだ寒い日が続きますので、これからも気を抜かず、しっかり対策していきましょう!

参考文献など

消費者庁:みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故(2018年11月21日)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/

消費者庁:冬場に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!(2016年1月20日)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_013/

厚生労働省:入浴関連事故の実態把握及び予防策に関する研究について

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rkou-att/2r9852000002rkv5.pdf

健康長寿ネット:高齢者の入浴事故 ヒートショック対策と予防

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-sumai/koreisha-hitoshokkutaisakutoyobo.html

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター:冬場の住居内の温度管理と健康について(2013年12月2日)

https://www.tmghig.jp/research/release/cms_upload/press_20131202.pdf

リンナイ株式会社:2018年11月1日付ニュースリリース「【熱と暮らし通信】「入浴」に関する意識調査」

https://www.rinnai.co.jp/releases/2018/1101/index_2.html

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