【2018年度介護報酬改定】4月から何が変わる?改定の要点を解説します

20184月に診療報酬との同時改定となる介護報酬について解説します。今回の改定では、看取りや、自立支援を評価する一方で、集合住宅減算など抑えるべき部分は抑える、メリハリのついた内容となりました。また、職員の負担を軽減するための介護ロボット利用など、働き方改革の影響も見られます。これから詳細をご説明しましょう。

 

【まずは概要から】介護報酬改定の4つの基本的な考え方をご説明

今回の改定では、介護報酬全体で0.54%の増加となりました。介護事業者の経営状況が悪化しており、介護サービスの質を維持するためには処遇改善が必要であるとの理由で、全体としては微増となりました。

そして、介護報酬改定の基本的な考え方として、以下の4つのポイントが示されました。

  • 地域包括ケアシステムの推進
  • 自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
  • 多様な人材の確保と生産性の向上
  • 介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

次の章からそれぞれのポイントについて解説していきます。

【その1】地域包括ケアシステムの推進 ポイントは「看取り」

1つ目は「地域包括ケアシステムの推進」。中重度の要介護者も含め、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制を整備することを掲げています。

これに関連して、大きく評価が見直されたのが、看取りに関連する報酬です。看取りについて、新設された算定項目の一部をご説明しましょう。

訪問看護:【新設】看護体制強化加算(Ⅰ)

看護体制強化加算は、20154月改定の際に新設された訪問看護に関連する評価項目です。加算要件の一つに、ターミナルケア加算の算定者数についての項目が設定されていますが、今回改定で2つの区分に分かれることになりました。

新区分「看護体制強化加算(Ⅰ)」では、ターミナルケア加算の算定者数が多い場合について、より高く評価される仕組みとなっています。従来の要件については、看護体制強化加算()として算定されます。

看護体制強化加算() (新設)

ターミナルケア加算の算定者5名以上(12月間)

600単位/月

看護体制強化加算() (変更なし)

ターミナルケア加算の算定者1名以上(12月間)

300単位/月

 

居宅介護:【新設】ターミナルケアマネジメント加算

末期の悪性腫瘍の利用者に、通常時よりも頻繁に訪問し、利用者の心身の状況等の情報を主治医や居宅サービス事業者へ提供した場合に加算されます。

ターミナルケアマネジメント加算

400単位/月

 

介護老人福祉施設:【新設】配置医師緊急時対応加算、看取り介護加算(Ⅱ)

「配置医師緊急時対応加算」は、配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し入所者の診療を行った場合の評価で、今回改定で新設されました。これに関連し、見直されたのが「看取り介護加算」です。「配置医師緊急時対応加算」の算定に係る体制を整備した上で、実際に施設内で看取った場合、より手厚く評価される新区分「看取り介護加算(Ⅱ)」が新設されました。従来の評価については、「看取り介護加算(Ⅰ)」として加算されます。

配置医師緊急時対応加算(新設)

650単位/回(早朝・夜間の場合)

1300単位/回(深夜の場合)

看取り介護加算()(新設)

死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日

死亡日の前日又は前々日 780単位/日

死亡日 1580単位/日

 

【その2】自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現 -自立支援を強化する内容に

2つ目は、「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」です。介護保険の理念や目的を踏まえ、安心・安全で、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスを実現することを目指しています。

今回改定では、特にリハビリなど自立支援についての評価が手厚くなるよう見直されています。その一方で、訪問介護の生活援助中心のサービスについては点数が抑えるよう変更されており、評価にメリハリがつけられました。詳細をご紹介しましょう。

 

訪問リハビリテーション:【新設】事業所評価加算

現在、通所リハビリテーションに設けられているアウトカム評価が、訪問リハビリテーションでも「事業所評価加算」として評価されます。1年間の要支援状態の維持・改善率によって加算される仕組みとなっています。

事業所評価加算(新設)

120単位/月

 

訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護:【新設】生活機能向上連携加算

通所リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、外部のリハビリテーション専門職と連携しサービスを提供する場合に評価される「生活機能向上連携加算」。現在、訪問・通所リハビリ専門職の訪問時のみ対象となっていますが、医療提供施設のリハビリ専門職や医師が訪問する場合にも算定できるよう、要件が変更されました。また、現行の訪問介護業者に加え、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護でも算定することができるようになりました。

実際に外部のリハビリ専門職が訪問する場合に適用される「生活機能向上連携加算()」と、リハビリ専門職等が利用者宅を訪問することが難しい場合、外部のリハビリ専門職と共同でアセスメントを行ったうえで訪問介護計画を作成し、機能訓練を行うことを評価する「生活機能向上連携加算()」の2区分が設けられています。

生活機能向上連携加算() (新設)

100単位/月

生活機能向上連携加算() (新設)

200単位/月

 

訪問介護:身体介護と生活援助の報酬

訪問介護においても、自立生活支援のために行う身体介護を重点的に評価するよう、報酬が見直されました。身体介護は点数が増えましたが、掃除や洗濯などの生活援助を行う場合については減っています。

身体介護中心型

20分未満:165単位

20分以上30分未満:248単位

30分以上1時間未満:394単位

1時間以上1時間30分未満:575単位

以降30分を増すごとに算定:83単位

生活援助中心型

20分以上45分未満:181単位

45分以上:223単位

さらに、新制度では生活援助中心型のサービスに従事する場合の人的要件が緩和され、専門性が低い職員でも従事できるようになります。こちらについては、後ほど詳しく説明します。

 

通所介護:【新設】ADL維持等加算

先ほど訪問リハビリテーションのアウトカム評価についてご紹介しましたが、通所介護についても報酬が新設されました。食事、トイレ動作、歩行などの10項目を5点刻みで点数化し、その合計点で評価するBarthel Indexを測定し、ADL(日常生活動作)の維持・改善の度合いが一定の水準を超えた場合、評価される仕組みとなっています。

ADL維持等加算() (新設)

3単位/月

ADL維持等加算() (新設)

6単位/月

 

【その3】多様な人材の確保と生産性の向上 介護ロボット活用も評価

3つ目は、「多様な人材の確保と生産性の向上」。介護にあたる人材の不足が問題となっている中で、人材の有効活用・機能分化、ロボット技術等を用いた負担軽減、各種基準の緩和等を通じた効率化を推進することが掲げられました。一部をご紹介します。

訪問介護:生活援助中心型の担い手の拡大

前章で少し触れましたが、訪問介護での生活援助中心型サービスの人的要件が緩和されました。自立支援の機能を持つ身体介護については、専門性の高い介護福祉士などが担い、生活援助中心型については、サービスに必要な知識等に対応した、短時間の研修を修了した担当者でも提供することができます。

生活援助中心型のサービスに従事する担当者が受けなければならない研修課程については、今年度中に策定される見込みとなっています。

介護老人福祉施設、短期入所生活介護:介護ロボットの活用の促進

夜間の人員基準より多く配置した場合に加算される「夜勤職員配置加算」について、介護ロボットなどの見守り機器の導入した場合については、加算要件が緩和されます。従来算定するためには、夜勤職員の最低基準+1名分の人員を多く配置する必要がありましたが、ロボットを導入した場合+0.9名分で加算することができます。

夜勤職員配置加算

夜勤時間帯の夜勤職員数:

夜勤職員の最低基準+0.9名分の人員を多く配置していること。

入所者の動向を検知できる見守り機器を入所者数の15%以上に設置していること。

施設内に見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、必要な検討等が行われていること。

 

【その4】介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保 同一建物等居住者への訪問介護の減算、対象拡大

最後は「介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保」です。介護サービスの適正化・重点化により、制度の安定性・持続可能性を確保するため、複数の算定項目が見直されました。ここでは、同一建物居住者へのサービス提供を行った場合の減算ついてご説明します。

同一建物等居住者にサービスを提供する場合の報酬

現在、有料老人ホームなどに適用される「集合住宅居住者に関する訪問介護等の減算」。今回の改定で、それ以外の建物にも対象が拡大されました。減算幅についても見直されており、同一建物に居住する利用者が一定数以上の場合については減額幅が大きくなります。

<訪問介護、夜間対応型訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション>

減算等の内容

算定要件

①・③  10%減算 

15% 減算

①事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者(②に該当する場合を除く。)

②上記の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合

③上記①以外の範囲に所在する建物に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合)

<定期巡回・随時対応型訪問介護看護>

減算等の内容

算定要件

600単位/月 減算

900単位/月 減算

①事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者

②事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合

 

厚生労働省:第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192309.html

 

まとめ

団塊世代が75歳を迎える2025年を前に、最後の同時改定となった診療報酬・介護報酬。看取りや、自立支援を評価する一方で、生活援助中心の訪問介護サービスや、集合住宅減算など抑えるべき部分は抑える、メリハリのついた改定となりました。今回解説したのは一部のみとなりましたが、これらの点以外にも多くの報酬が見直されています。

実際に運用される4月から、介護の現場がどのように変わるのか。これからも注視する必要がありますね。

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