在宅ターミナルケアで必要な利用者様の精神ケア|在宅医療の基礎知識

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私の勤務している訪問介護事業所の母体は緩和ケア病棟がある病院なので、ターミナルの利用者様のお宅に訪問させて頂くことが非常に多いです。長くない方の最期に何ができるのか、どうすれば精神的に落ち着いて過ごして頂けるのか、介護職としてできる看取りのケアを考えてみました。

在宅ターミナルケアとは

利用者様の住み慣れた自宅で、末期癌患者など死が避けられない終末期の死を目前にしたご利用者様とそのご家族に「より良い最後の時間」を過ごしていただく在宅ケアのことを指します。
残された時間が穏やかでかつ意味のあるものに出来るよう、疼痛の管理、症状緩和、心のケア(家族の精神的なケアやスピリチュアルケアも含む)などを医療スタッフ、介護スタッフが協力して行います。

訪問看護におけるターミナルケア(終末期看護)の概要|訪問看護の基礎知識

2016.10.04

利用者様について

肺ガン、腎臓ガン、肝臓ガン、前立腺ガンの末期、70代男性。ご自宅での看取りをご希望で、在宅酸素を利用し、トイレへの移動も電動車椅子が必要な程、病状が悪化しており数時間おきに麻薬で痛みのコントロールをしていました。

ご利用者には、最期に会いたい人がいることも

この男性が在宅に拘るのには大きな理由がありました。

「生き別れた娘がもしかしたら訪ねてくるかも。入院してしまったらその機会を逃してしまう」その男性の言い分です。身体中浮腫が酷く、起き上がれなくなっても男性は入院を激しく拒んでいました。「どうしても会いたい。」と何度も呟いていました。余命を宣告されてから、ケアマネと一緒に片っ端から友人関係に電話をし、娘さんの消息を辿り、ついに連絡を取ることができ、やっと男性は入院することを承諾されました。

入院した次の日、駆け付けた娘さんと写真を笑顔で撮った男性は、2日後に亡くなりました。私達が探し続けてくれたことが励みになって頑張れたと、娘さんに話されたそうです。

最期は自宅で迎えたいという方も多い

「家の畳の上で死にたい」「最後に家に帰りたい」緩和ケア病棟に入院されている利用者様は、こう話されることが多いです。しかし自宅での万全な体制が整っていない限り、医師は退院の許可を出してくれません。
どうしても希望を叶えてあげたい、その場合、介護スタッフである私達は、ケアマネ、往診、訪問看護、福祉用具とチームを組み利用者様をご自宅で看取ることができる環境を迅速に整えます。

念願叶い、ご自宅に戻られた利用者様は病院にいる時と違いとてもリラックスされた表情をされます。愛犬、愛猫と会え涙を流す方、ヘルパーに依頼し身の回りの整理をされる方と、過ごされ方は様々ですが死へと向かう中、安らいだ表情が誰にも見られます。

ご利用者様の最後の選択を尊重しましょう

近頃は余命を本人に宣告することが普通になってきました。その為、どのような最期を迎えたいか、延命医療は必要かなど、ターミナルケアの利用者様と話すことのできる機会が増えました。
私達が接するターミナルの方は高齢の方が多いのでご自分の死を受容されている方が殆どです。その為、死を怖がっている方は少ないですが、痛み、苦しみには誰もが怯えています。その対処をしっかりと理解して頂き安心に繋げます。

ご本人の選択を支援者側できちんと理解する為にも、事前に話し合って詳細を決めておくことが重要です。また他職種との連携も必須です。緊急時の対応、連絡先等しっかり決めておきます。

在宅で最期を看取るときに、最も大切なこととは

徐脈になる、肩で呼吸をするなど始めたらご家族、医療職に連絡をします。人間の聴覚や皮膚感覚は最後まで保たれるそうです。意識が薄くなっていても耳元で励ましたり声を掛けること、手の平で背中や腕をさすることは有効です。医療職が到着する前に最期の時が来たら脈を取り、止まった時間を確認し記録します。

ターミナルの利用者様に最期の時まで尊厳を持って生きて頂く、その為に介護職ができること、それはご希望や選択を尊重し接することだと思います。
そして、看取りのケアに関われたことに感謝をすること、それを伝えること。「こんな何もできなくなった身なのに、感謝をしてくれてありがとう」と、微笑みながら亡くなった利用者様の言葉をいつまでも忘れられません。

writer
kaori

商社OLから訪問介護の世界に転職。ヘルパーステーションにてサービス提供責任者として勤務し、介護福祉士、ケアマネ、福祉用具専門相談員の資格を取得。

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