【わたしが介護を始めたキッカケ】原体験は小学生時代の独居老人慰問

米国で認知心理学を学んだわたしが帰国後介護の仕事を選んだいきさつは病院でのボランティアの仕事を通し「もっと患者さんの心に寄り添いたい」と強く思ったからです。

そして今も心の奥にあるのは幼い頃に見た独り暮らしの女性の涙でした。

介護の仕事に就く前にしたボランティア

私は米国で記憶に関わる脳細胞の働きを調べる認知神経科学の研究所で研究助手として仕事を経験したのち日本に帰国しました。
心理学専攻だったこともあり帰国してからは相談業務関連の資格を取りましたが、資格を取っただけでは仕事に結びつきません。

ちょうどその頃、市の取り組みとしていろいろな分野のボランティアが募集されていました。まずはここからとの思いで近くの総合病院に入院患者さんの相談相手として経験を積むことにしました。
看護部長さんとの話し合いで、わたしは家族のいないある高齢女性に話し相手と簡単な身の回りのお世話担当として週に3日つくこととなりました。そして初日から相談業務とは全く別の問題にぶつかることになるのです。

介護の仕事を経験してみようと決意する

わたしの担当する女性の手を見ると指先と爪の中に茶色いものが付着していることに気が付きました。担当の看護師さんに「手を洗うのを手伝ってあげて」と言われたのですが、その時わたしの頭にはふたつの疑問が湧きました。

ひとつは、この茶色いものは便であることは分かるのですが、この患者様は感染性の病気は持っていないのだろうかということ。もうひとつは、便を洗うのは素手で行って良いものなのだろうか、現場の常識が分からない、というものでした。
患者さんの身の回りのお世話と、お話し相手として始まったボランティアでしたが、介護の知識も無かったわたしは戸惑いました。手は結局、わたしが水道のところまで連れて行ってご自身で洗ってもらいました。

一緒に院内を散歩してみたり、その女性の中年期のお話しやその病院に入院した経緯など個人的なお話しも聞いたりし、わたしの訪問を心待ちにしてくれているのも言葉の端々から分かりました。
でもなんだか距離を感じるのです。それは当然のことで心を開いていただくのは簡単なことではありません。

わたしは、心理的にもっと近くに行きたい、と感じるようになりました。介護を必要としている人々の気持ちにもっと寄り添いたい。
介護を知らなくては介護を必要としている人びとの気持ちは分からないのではないかと決意し、看護部長さんに電話をかけてみたのです。「病院で募集されている介護の助手の仕事をしたいのです」と。

介護の仕事はあなたのする仕事ではない、と言われる

介護の仕事をするんだ、と決心し電話をしたのに看護部長さんの言葉はとても厳しいものでした。スタッフを募集しているにもかかわらず「あなたのするような仕事ではない。お給料もそんなに出せない」と止められてしまったのです。

わたしは人格を否定されたようでとてもがっかりし、悔しくも思いました。今思うと、米国の大病院付属の研究所で仕事をしていたわたしにそんな仕事は出来ない、甘いものじゃない、との思いからの言葉だったのでしょう。
わたしの父は医師でかつては看護部長さんの上司でもありましたので「お嬢さん芸では出来ない仕事なのよ」と思ったのかも知れません。
とても落ち込みましたが、すぐにわたしはホームヘルパー2級の養成講座を見つけ受講開始したのです。

介護の仕事を学び始める

人は介護をすることに対して、はっきり2種類に分かれると思います、介護することに抵抗ない人と介護は絶対したくない人、と。
わたしは「自分がどちらに属するのだろう?」「頭で思っているのと実際とは違うかも知れないからやってみよう。」
そんな気持ちで始めました。

実のところ、看護部長さんに言われたようにわたしは、介護は出来ないタイプかも知れない…けれどやってみなければ分かりません。
研修中は、きっと自分が最も苦手で、でも介護する中では最も大切なものではないかとの思いから、排泄介助を特に意識して学びました。

介護の仕事への原体験は小学生の時の独居老人慰問

わたしの介護の勉強と仕事はそうやって始まり、後に介護福祉士の資格も取得しました。
介護の仕事はイヤではなく、むしろ好きだと分かりました。(身体はとてもキツイですが、得られるものが大きいのです)
介護の仕事をするわたしの心の奥にずっとある風景が蘇ります。

小学4年生の頃、同級生のお父さんが牧師さんをする日曜学校で、独居老人の慰問に行ったのです。
小さな部屋の小さなベッドで横になっていた高齢の女性が、わたしたち小学生が訪問しお花や折り紙作品を渡すと、微笑みながら涙を流したのです。
もう明日もこれから先も、多分一年先までこうやって子どもたちが会いに行くことなんてないのに、こんなに喜んでもらってわたしは一体どうしたらいいのだろう?
それ以上、何も出来ない罪悪感のようなものが子ども心の深いところに残りました。
わたしの介護の仕事はいつも、「これで良いのだろうか。何か間違ってはいないだろうか。どうすればこの目の前の人の心に届くケアができるのだろうか」そう問い続けています。

 

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