私が介護の仕事を始めたきっかけ|心理学志望から始まった福祉の道

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何かと話題に上ることの多い介護の仕事。ニュースや新聞では待遇の低さや過酷な労働環境に焦点が当てられており、介護の専門学校では入学希望者が集まらないという悩みも聞かれます。

それでも、この仕事をやってみようと門を叩く人もいます。そのきっかけは人それぞれ。身内を介護した経験もなかった私が、この仕事を始めた理由についてお伝えします。

介護の仕事に興味を持つようになった、最初のきっかけ

十数年前、私は大学の福祉学部に入学しました。英語の勉強が好きで英語科クラスの高校に入った私が、大学は福祉学部に進みたいと思った最初のきっかけは、介護ではなく、心理学でした。

友人の相談に乗った時「あなたの優しさは強さがあり、励みになる」という手紙をもらったことがありました。別の友人と将来について話していた時にも「その優しさを活かしたらいい」と言われ、とても嬉しかったことを覚えています。

それがきっかけになり、漠然と「接した相手が幸せに感じたり、元気になれるようなことを仕事にできたら素敵だな」と思ったのです。そこで頭の中に浮かんだのが、心理カウンセラーという職業でした。

人を支援する仕事は、人に幸せや元気をあげられる?

そこで、心理学部のある大学を調べてみることにしました。この時点ではほとんど知識がなかったのですが、私のイメージしていた心理学は臨床心理学(精神的に不安定な状態のある人に対してケアを行う)という分野でした。基礎から学べたらとても興味深いな、と感じました。

けれど、大人として、職業として他人を支援するということは、結果を出さなくてはいけない。話をすることで、相手が元気になる、幸せになるという職業能力(当時の私のイメージ)は、なんだか漠然としていて、高校生の私にはとても難しく思えました。

そんな時、ふと目に止まったのが、2つ目のきっかけとなった、大学の学部案内の「福祉学部」という文字でした。

福祉の道に進むと決めたはいいものの、選択肢がたくさん…

心理的なアプローチとは違い、制度やサービスを使って、金銭的・物理的な面から困っている人を支援する。心理学よりも私には分かりやすく、実際の仕事もイメージしやすいように思えました。そこで、福祉の道へと進路を決めました。

福祉といっても分野はいくつも分かれています。高齢者、障害者、児童、女性、貧困問題など。どの分野に携わりたいのか、すぐには決断できませんでした。
3年生になると実習があり、市の福祉事務所と、社会福祉協議会にそれぞれ2週間通いました。

初めて出会う福祉サービスの利用者の方々。各々に複雑な事情を抱えており、話を聞いてショックを受けることもありました。
そんな中で、気づいたことがありました。

『利用者』って、どんな方たち?

それは、利用者さんの多くは、自分が何に困っているのか・どうすれば解決するのかについて、自覚していないということです。
困っているけれど、それが何なのか分からないという人や、客観的に見たら福祉サービスの介入が絶対必要なのに、本人は何も不便を感じていない、というケースもありました。

実習先の職員の方々は、そのことを理解したうえで、利用者さんに関わっていました。
何が問題かを明らかにし、解決に向けてこのように動いていきましょう、という説明をされていたのが印象的でした。

介護の現場をもっと知りたい!

生活保護を受けながら、訪問介護サービスを利用されている利用者さんの自宅を訪問した時のことです。若い頃からの精神疾患と、高齢になって軽度の認知症を発症されている男性でした。
新聞が山積みになっており、埃だらけの扇風機を使っていたせいで部屋中に埃が舞っていました。

そんな部屋に住む彼が、ケースワーカーさんに向かってこう漏らしたのです。「毎日掃除をしているんだけど、ゴミがなくならない。新聞も溜まっていくばっかりだし」
彼の言う掃除は、ほうきを使ってゴミを集めることでした。
ただ、その後の「塵取りでゴミを取り、捨てる」「ゴミの日にまとめて出す」というゴールが分からず、部屋は一向にきれいにならなかったのです。

利用者の抱える本質的な問題にたどり着けないと、支援はできない

この利用者さんのサービスに入っている訪問介護事業所の職員さんからも話を聞くことができました。本人の行っている「掃除」は否定せずに、本人の行動を補うかたちで少しずつ、新聞の処分などを進めているとのことでした。

「問題を抱えている人を支援する仕事をしたい」と考えていた私が、まず身に付けなければいけないのは「何が問題かを見抜く能力」だと思いました。彼に関していえば、掃除をする意欲や体力はあり、「やり方が分からない」ことが問題だったのです。

実際の支援の現場を知らなければ、問題を見抜く力は身につかない。色々な利用者さんに会うことで、その力をつけていこうと思い、就職活動は介護の現場に絞ることにしました。

介護の仕事を始めた決め手は利用者さんとの出会い

介護の仕事を始めるに至るまでいくつかのきっかけがありましたが、決め手になったのは利用者さんとの出会いでした。
私の場合は、訪問介護事業所の職員さんに話を聞く機会がなかったら、福祉の別の分野に進んでいたかもしれません。

介護業界が良くも悪くも注目されている今、介護の仕事を選ぶ人の理由は様々、やりがいや魅力を感じるポイントも人それぞれです。
あなたなりの目的を持って、仕事の楽しさを見つけてほしいと思います。

<ライタープロフィール>
中上 英梨
特別養護老人ホーム、認知症グループホーム、訪問介護での経験を経て、現在は介護系の研修・セミナー講師として活動しています。
保有資格:訪問介護員2級、介護福祉士、社会福祉任用主事、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター。

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