訪問介護を行う上で、重要な書類の1つである訪問介護計画書。
ケアマネの作る居宅サービス計画書に基づき、利用者様に最適な目標、プランを考え作成していきます。短時間で作成するポイントをお伝えします。
(2017年6月更新)
目次
訪問介護計画書とは
訪問介護計画書とは、利用者様とヘルパー事業所が必要なサービス内容をあらかじめ契約し、そのサービス内容、提供方法などを確定させるものです。
決められた時間内で何を行うのかを明確にすることで、いつも同じ援助を行うことができ、サービスの質を確保できるという役割もあります。
目標の設定
計画書の作成において一番悩む部分は目標の設定だと思います。
まずは、ケアマネの設定した目標の中で、訪問介護に関する部分を抽出します。
その上で、なぜその部分の援助が必要なのかを考えます。
例えば、腰痛、膝痛がある為、掃除の援助が必要だ、認知症がある為、デイサービスの送り出しの援助が必要だなど、ヘルパーが何の為に訪問しているのかを意識できるよう記載します。
例2)デイサービスへ送り出しの支援を受けることによって、定期的に外出の機会を設けることができる。
本人及び家族の意向、希望
居宅サービス計画書に記載されている文言を落とし込む他に、カンファレンスにてご希望をしっかりと聞いておきましょう。
何がご自分でできて、何の支援が必要なのかの聞き取りをしておき落とし込みましょう。
具体的な援助内容
利用者様のADL、IADLをきちんと把握し、できることできないことを見極めます。何でも支援するのが良い介護ではありません。
居宅サービス計画書に記載してある援助内容の詳細と時間配分を記載していきます。
掃除の場合、どの部分の掃除をどのように行うのか、洗濯の場合はどこまでヘルパーが行うのかなどを記載します。
例1) 居室、台所の掃除機掛け、水拭きを行います。浴室、トイレ掃除を行います。
例2) 洗濯機を回しておいて下さるので2階に干します。雨天の場合は1階寝室に干します。
特別調理などの場合は、指示された数値も落とし込みます。
また、援助時の留意点、雨天時の対応も記載しておきます。
例2) 雨天時は買物同行(身体2)ではなく買物代行(生活3)になります。
そして指定された時間内で、具体的な予想所要時間を記載します。体調確認、記録の記載は5分と記載します。
なお、具体的な援助それぞれの手順は計画書には必要ありません。手順書に詳しく記載しましょう。
サービス提供日、プラン、訪問介護者氏名
標準的な訪問曜日を記載します。
祝日には振り替えを利用する場合など、例外がある場合も忘れず記載します。
また訪問予定のヘルパー名も漏れなく記載します。
当事務所では可能性のあるヘルパー名は全員記載しています。
以前、区から例外の記載がない場合は報酬の返還の可能性もあると指導があったからです。
訪問介護計画書は多職種連携でも重要な役割
訪問介護計画書は、各職種とケアマネージャーとが連携をする上でも、大切な書類です。
利用者にとってよりよいサービス、効果的なサービス提供を行うためには、ケアマネージャーと訪問介護のサービス提供責任者、またはサービス提供責任者とサービス提供をしている現場のヘルパーとの連携が何より必要。
そのためにケアマネージャーや現場のヘルパーは訪問介護計画書を見て、サービス内容や目標などを理解します。
訪問介護計画書がいい加減なものですと、サービス提供内容も統一性の無いいい加減なものになってしまう可能性があります。
<最後に>訪問介護計画書は基本を押さえれば難しくない!
作成手順まとめ
Ⅰ ヘルパーの訪問目的を明確にする
Ⅱ カンファレンスで必要な支援を明らかにする
Ⅲ 具体的な援助計画を作成する
Ⅳ 訪問予定の詳細を決定する
訪問介護計画書に書いていない援助はできません。
なので、援助内容は漏れなく落とし込まなくてはなりません。
逆に計画書に記載してある援助を行っていない場合は報酬の返還になるケースもあります。
基本的には3ヶ月、6ヶ月という区切りで見直すことを求められていますが、変更があった場合は遅滞なく修正し、利用者様のサインを頂き、ケアマネに送付が必要です。
利用者様のアセスメント、モニタリングを行い、居宅サービス計画書と照らし合わせれば、訪問介護計画書の作成は難しくないはずです。

商社OLから訪問介護の世界に転職。ヘルパーステーションにてサービス提供責任者として勤務し、介護福祉士、ケアマネ、福祉用具専門相談員の資格を取得。