月50万円のプランに在宅介護を諦めていたご家族の相談|在宅医療の相談事例 case1

月50万のプランに在宅介護を諦めていたご家族。自宅にご本人を帰してあげたいと希望しながらも、高額な費用を支払うことができず、諦めていたご家族。最終的にどのようなサービスプランで在宅介護を決めたのか、そこには、様々な人のサポート体制・在宅介護で培われた介護技術があった。

■筆者プロフィール
保有資格:社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員
福祉系学校を卒業し、11年間、医療ソーシャルワーカーとして医療機関に務めたのち、支援専門員へ転身。現勤務。その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護在、34歳。
東京都渋谷区の居宅介護支援事業所で、管理者として在宅介護の相談・支援を行っている。

<相談事例の基本情報>
利用者様:70代女性。要介護5。買い物中に転倒し、クモ膜下出血で救急搬送される。この転倒がきっかけで、寝たきりの状態となり病院に入院中。寝返りもできず、意思疎通も困難なため、病院ではオムツ交換、寝返り介助等、看護師2名で介助で行っている。

ご家族:主介護者は、長女。AM8時~PM7時まで、就労している。寝たきりになってしまった、お母様を自宅で過ごさせてあげたいと希望している。

住環境:一戸建ての2階が居室。居室まで階段を上がらないとならない。

<相談内容>
とある日、「他のケアマネージャーにケアプランのお願いをしたら、月額50万のプランが提示されてしまい、在宅介護はできないと涙されて諦めかけているご家族がいて、どうにかならないかと思って・・・」と、病院のソーシャルワーカーより相談の電話。
高額の介護サービスプランを提示されて、諦めていたご家族。ただでさえ、初めての在宅介護で不安な中、高額な金額を提示されて諦めざる終えない状況。

<今回の相談のポイント>
・高額な在宅サービスプランを提示され、在宅介護を諦めざる終えなかった
・初めての在宅介護で全てが不安だった
・主介護者が平日就労しており、介護と仕事の両立ができるか不安があった
・介護量が多く、病院では2名で介助が行われていた

そもそも月額50万のプランって・・・??

私は、月50万もかかるプランに対して疑問を感じ、「とりあえず私の方で仮プランを立ててみます」と病院のソーシャルワーカーへ返答し、月50万のプラン内容を送ってもらいました。

<月50万のプラン内容>
・訪問介護:毎日朝、昼、夕、3回利用。1回2名のヘルパー介助。ケア内容はおむつ交換。
・訪問看護:週1回、排便コントロール
・訪問入浴:週2回
・通所介護:週1回
・福祉用具レンタル:介護ベット、エアマット、車椅子

プランの立て直しを行いました

このプランを見て、訪問系のサービスが週のほとんどを占めていることにひっかかりました。
「確か娘さんは、朝早くに自宅を出て、夜に帰ってくるんだったよな・・・。娘さんも本人一人自宅に残して仕事をすることは、気がかりだろうに・・・」
私は、平日は、デイサービスを利用し、土日は、家族と自宅で過ごすプランをベースに調整をしていくことにしました。
またデイサービスの事業所はショートステイも行っているところにし、娘様の仕事の都合で泊まりも利用できる事業所を選びました。

サービス提供前に難題発生!

デイサービスに行くのには、階段の上り下りをしなければ利用できません。しかもご本人は体重が約60Kg。これは男性がいる訪問介護の事業所でないと厳しいと感じ、事業所を探すことにしました。
なかなか男性ヘルパーが見つからないなか、10数件電話し、諦めかけた時、男性のヘルパーが対応してくれる事業所がやっと見つかりました。

救いの神、男性ヘルパー!!

訪問可能な男性ヘルパーと話をしていると「僕は、山上りが趣味で40Kgある荷物を背負って、山登りをしているので、任せてください!!」と頼もしい言葉が!
そして「今まで訪問してきた利用者の中に、寝たきりの方もたくさんいました。オムツ介助も1人で対応してきましたので、大丈夫ですよ」と。

男性ヘルパーの今まで培われた経験から、1名介助で対応することになりました。

プランはいくらになったのか?

ここまで調整できた段階で、自分の立てたプランの費用を計算してみました。
結果、月額20万・・・。半額になったものの、高いなぁと思いつつ、病院のソーシャルワーカーにこのプランを送り、在宅生活について、再度検討してもらうこととなりました。

ご家族の決断は?

病院のソーシャルワーカーより連絡があり、プランをご家族に提示したところ、「これなら在宅介護できる」とご家族が泣いて喜んでいたと連絡がありました。(病院のソーシャルワーカーも一緒に泣いて、喜んだそうです・・・(笑))
この時、私は気付かされました。私はお金が高額だから在宅生活を諦めたと思っていましたが、そうではなく、自宅で一人ご本人を残して仕事に行くことが心配だったのだと。

結果、私が担当ケアマネージャーとなり、在宅生活をスタートすることになりました。

念願の在宅生活スタート!!

始まってみると、仕事行く前に食事介助、帰ってきたら食事介助と仕事と介護の両立が大変になってきました。そこでデイサービス先に泊まる日を平日3泊4日にし、娘さんの負担を軽減することになりました。

これにより、介護によるストレスが減り、土日に自宅で一緒に過ごすことが出来、娘さんも余裕をもって介護することが出来ています。
男性ヘルパーのおかげで、デイサービスにも通い、ヘルパー一人でおむつ交換もしてくれています。

【まとめ】今回の事例のポイント

当初2名が必要とされていたヘルパーを、1名のヘルパーで介護ができるよう男性ヘルパーを調整できたことが、費用削減のポイントでした。
また、男性ヘルパーを手配できたことで、デイサービスに行くという外出の機会を持つことができ、ご本人の気分転換とご家族の安心につながり、在宅生活を始める決め手となりました。

今回の事例では、在宅のサービスプラン一つで、利用者の人生の選択に大きな影響を与えることを実感しました。また、在宅生活を支える人の技術によって、生活に広がりが出ることを痛感した事例でした。

writer
もりぞう

福祉系学校を卒業し、11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員へ転身。
現在34歳。東京都渋谷区の居宅介護支援事業所の管理者・ケアマネージャーとして在宅介護の相談・支援を行っている。

保有資格:社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

専門職の助言を聞かないご家族の事例|在宅医療の相談事例 case2

2016.07.06

 

【無料公開中】人気記事を資料にまとめました!

資料ダウンロード「感染予防」