在宅介護が困難になった時に考える介護施設への入所。
その介護施設の種類はとても多く、サービス内容や入居条件も複数あり、複雑になっています。その介護施設の種類と概要を要点絞って、解説していきます。
(2016年7月時点)
目次
1. 介護施設とは?どんな介護施設がある?|在宅医療の基礎知識
介護施設とは、自宅での介護が困難になった方が、施設に入居し24時間の介護を受けられる施設です。
その種類は多く、施設によって、サービス内容や目的、費用、対象としている利用者も違いがあります。また入居できる条件も施設によって、様々です。
ですので、利用者がどんな介護を必要とするのか、どんな生活を施設で送りたいか、月々どのくらいの費用なら支払えるかという条件を、利用者・家族の間で相談してもらい、その条件に合う施設を探していくということが必要となります。
<主な介護施設>
・特別養護老人ホーム(略称:特養)
・介護老人保健施設(略称:老健)
・介護療養型医療施設
・グループホーム
・有料老人ホーム
・高齢者向け住宅
2. 介護保険施設の特徴
介護保険施設とは、介護保険制度を利用して入居する公的な施設です。
介護保険施設には、主に重介護の方が利用される「特別養護老人ホーム」、リハビリをして自宅に帰ることを目標とする人が利用される「介護老人保健施設」、長期的に医療的なケアが必要な方(胃ろう、痰の吸引など)が利用される「介護療養型医療施設」の3種類があります。どの施設も24時間、介護を受けられます。
費用面は、入所時に支払う費用はなく、月額の費用も安価になっています。そのため、多くの方が入所申請しており、施設によっては年単位で待つところもあります。
また認知症の方が利用する「グループホーム」というものもあります。
3. 有料老人ホームの特徴
有料老人ホームとは、高齢者が生活しやすいように様々な面で配慮されている施設です。有料老人ホームは、「住まい」という形で入居することを想定とされています。
有料老人ホームには、「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類あります。
「介護付有料老人ホーム」は、介護が必要になれば、介護スタッフが施設にいますので、対応をしてくれます。その名のとおり介護に対応している施設です。
「住宅型有料老人ホーム」は、介護が必要になれば、施設外のサービス事業者と契約をし、介護を受けるという形になります。そのため介護費用が別途かかってきます。
「健康型有料老人ホーム」は、介護が必要になった場合、その施設にいることはできない施設のため、退去しないといけません。介護もしてほしいという方には、対応できない施設です。
費用面については、入居金が100万~1000万単位のため、介護施設の中で最も高額な施設となっています。
4. 高齢者向け住宅の特徴
高齢者向け住宅とは、民間の事業者により運営がされており、都道府県で認可・登録された賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅では断られがちな高齢者の賃貸ですが、高齢者を対象としているため、借りやすく住みやすい住宅になっています。
高齢者向け住宅には、「サービス付き高齢者住宅」「高齢者専用賃貸住宅」「高齢者向け優良賃貸住宅」「シニア向け分譲マンション」などがあります。
どの住宅も一般的な賃貸住宅に比べて家賃が高く設定しています。
また重度の介護状態になった場合には、住むことは難しく、介護については自宅と同じように、地域にある訪問介護を利用するような形となります。
<まとめ> 色々な施設があるため情報提供の時には、細心の注意を
私たちが関わる中で、在宅生活が難しくなってきたときに、ご家族から「施設ってどんなところかしら」というような相談を受けることがあります。
今まで紹介してきた通り施設はありますが、その種類が多く、サービス内容も複雑に異なるため、情報提供が難しいと思います。
このような相談を聞いた場合には、「ケアマネージャー」へ相談するようにし、曖昧なまま自ら情報提供することは避けましょう。

福祉系学校を卒業し、11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員へ転身。
現在34歳。東京都渋谷区の居宅介護支援事業所の管理者・ケアマネージャーとして在宅介護の相談・支援を行っている。
保有資格:社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員