体位変換の基礎知識と実践|訪問介護技術の基礎知識

体位変換は介護の仕事に携わる者にとって基本でもあります。

その基本に立ち返り、高齢者の体の特性、なぜ体位変換が必要なのか、気を付ける点など、わかっているようでわかっていないかもしれないことを再度考えてみました。

基礎:体位変換はケアの基本の一つ|訪問介護技術の基礎知識

私たちが布団やベッドで横になる時、体をゴロゴロと動かして楽な姿勢や居心地のいい場所を決めて眠りにつきます。
高齢になり、思うように体が動かせない、あるいは意識がなく眠った状態のままでいて体を動かせない人などは当然ながら寝返りなどできません。

そして私たちはずっと同じ姿勢でいて体が痛くなると、意識的、あるいは自然に体を動かすことで痛みを逃すことができますが、先に書いた状態の方はそれができません。
そうした方のために、介護側で意識的に体の向きを変えるのが体位変換です。

基礎:体位変換ができないと何が起きるか

私たちは眠っているときでも自然に寝返りをしていると前述しましたが、できないとどうなるでしょうか。同じ場所をずっと圧迫して痛みが生じてきます。
皮膚の弾力がなくなっている高齢者の場合、さらにその傾向が顕著となります。体を思うように動かせない高齢者の場合、長時間皮膚を圧迫し続けることで皮膚に赤みを生じ、骨が突出している部位などの場合それが褥瘡の発症にもつながります。

また、自分で体を動かせる高齢者の場合でも痛みの感覚が鈍っていたりすると、ずっと同じ姿勢で寝ているということもあります。
いずれにせよ自分で体位変換ができないというのは、褥瘡の発症というリスクにつながります。発赤ができると進行するのが早いので注意が必要です。

実践:体位変換用の枕やクッションを活用する

体位変換というのはただ体の向きを変えればいいというものではありません。体はしっかり動くけれども、夜は熟睡してまったく体を動かさない人もいれば、意識のない状態の人、手足に拘縮や麻痺が見られる人など様々な人がいます。
個々の状態に応じて、どのようにすればその人にとっての良肢位、安楽な姿勢が保てるかをしっかりと知っておく必要があります。

仙骨に発赤や褥瘡ができている人であれば、仰向け(仰臥位)は避けなければいけませんし、踵に褥瘡があれば足を浮かせる必要があります。体位変換用の枕やクッションを上手に活用し、安楽な姿勢を保つことが大切です。

実践:褥瘡防止のため、衣服のシワにも気を配る

体位変換を行う際には、衣服のしわもしっかりと伸ばします。衣類のしわが肌に跡となって残ると、それもまた褥瘡の原因となりうるからです。
体位変換は体の向きを変えるだけでなく、その方にとって心地の良い状態に体を整えることなのです。

また向きを変える時は、体を引っ張っらないようにします。引っ張る時に生じる摩擦で皮膚に傷ができ、褥瘡などにつながるからです。
また麻痺や拘縮がある方の場合、腕や足が不自然な方向に曲がっていないか、体の下に巻き込んでいないかなど細かいところまでくまなく気を配ります。

高齢者の体はデリケートになっているので、ケアは丁寧に行うことが大切です。

「褥瘡を作るのは介護の恥」である

これは専門学校時代に講師から言われた言葉です。肌に穴が開き、骨まで見える褥瘡の写真が今でも目に焼き付いています。
褥瘡を作らないためには、栄養状態の管理などいろいろな方法がありますが、適切な体位変換で防げるものです。

もっとも接する機会の多い介護者であるからこそ、状態をよく把握し適切なケア、体位変換を行っていけるのだと思います。

writer
小川 凛

介護の専門学校卒業後、リハビリ助手を経て老健や病棟介護に携わり、学んだことを生かしたいとケアマネージャーになりました。
現在はケアマネ職を離れ、介護職をしていますが、復帰目指して制度その他を勉強しています。

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