夜間頻尿とは?高齢者の排尿について知っておこう|在宅医療の基礎知識

夜間頻尿に困っている人は大勢いるものの、実はそのまま放っておくと寝たきりになってしまうかも?原因の多くは夜間の多尿。

まずはご利用者さんに自身の排尿スタイルを理解していただくことが改善の第一歩です。

(2016年10月時点)

「夜間頻尿」って何?|在宅医療の基礎知識

夜間頻尿とは就寝後に排尿のために1回以上起きなければならない状態のことを言います。夜間頻尿の患者数は歳をとるにしたがい増加し、50歳で50%、80歳で90%もの人が夜間頻尿で困っているというデータがあります。

一般的に頻尿というと、男性であれば前立腺肥大が原因と考えている人も多いと思いますが、実はそれは原因のひとつに過ぎません。もともと前立腺が無い女性においても、夜間頻尿の患者さんは男性と同じくらいおり、前立腺以外に膀胱の病気・高血圧・糖尿病・心不全・腎不全・むくみ・生活習慣・心因性など、さまざまな原因が複雑に関係していることが分かっています。

夜間頻尿だと寿命も短くなる?

夜に排尿のためにトイレに起きる回数が増えるにしたがって、寿命が短くなるというデータがあります。もちろん、排尿する行為自体は生理現象ですので、体に悪いわけではありません。そもそも夜にトイレに行かなければならなくなる原因に、寿命と大きく関わるものが多いのです。

それに加えて、高齢になると歩くのも次第に困難になってきます。夜何度も起きて、十分な睡眠もとれずにふらふらとした状態でトイレまで移動し、排尿して布団に戻る。夜眠れないために日中の活動性が下がり、筋力が低下するとともにますます夜眠れなくなる。
ついには睡眠薬にも頼るようになり、ある夜何かの拍子に転倒し、脚の骨を折ってしまいそのまま寝たきりになってしまう。

病院や介護施設にはそのような高齢者が大勢います。その初めのきっかけになっているのが夜間頻尿である場合が意外と多いのです。

どうして夜間頻尿になるの?<夜間頻尿の原因>

夜間頻尿の原因は大きくわけて3つあります。

<1> 多尿(尿量自体が多い)
<2> 膀胱容量の減少(尿をためておけない)
<3> 睡眠障害(眠れないためにトイレが近い)

このうち最も多いのが、<1>多尿です。
その中でも特に多い、夜間多尿という状態に注目してみましょう。

そもそも通常、膀胱の容量はどれくらいあるのでしょうか。膀胱は伸び縮みする臓器ですが、普通は200-300mlもたまればトイレに行きたくなるものです。
おおよそ500mlもたまった状態というのは、今にも漏れそうでどうしようもない、といった状態だとお考え下さい。

次に、一日の尿量というのはどれくらいでしょうか。一般的には1000ml~1500ml程度におさまることが多いようです。尿というのは1日中作られますが、そのうち夜間に作られる尿量が3分の1をこえると、夜間多尿といいます。

全体の尿量が1500mlだとして、そのうち3分の1が夜間に作られるとすれば、450mlとなります。これは自覚的にはかなりたまっている量であり、これ以上増えるとなると夜起きて排尿しなければならなくなってくるわけです。
すなわち、水を飲み過ぎれば当然、尿は作られますのでトイレに行きたくなるのは必然なのです。

とはいえ、こうした話を外来でしていると、「そんなに飲んでないけどなぁ」とおっしゃる患者さんが大勢います。しかしここに大きな落とし穴があります。尿として排泄される水分というのは、実はコップから飲んだ水の量だけではないのです。

食事そのものにも水分が含まれているのは当然ですが、それだけではなく、実は摂取した塩分も大きく関係していることが分かっています。
人間の体は血管によって水分が巡っています。水分は、血管の中だけではなく、組織の中にも行きわたります。どれくらいの水分量が血管内にあるか、組織中にあるかについては、実は塩分によって調整されている面が大きいのです。

ですから例えば、食事で塩分をとりすぎた場合には、過剰な塩分を排泄されるために水も排泄されることになります。高血圧の人に塩分を控えるように指導するのも、そういったわけなのです。
そうしたことから、多尿が原因であると考えられる場合には、夕飯のお味噌汁を無くしてみましょう、といった指導も有効である場合があるのです。

その他多尿になる原因としては、下肢のむくみ、夜間高血圧(寝ているときだけ血圧が高く、尿が作られやすい)、睡眠時無呼吸症候群(寝ているときに呼吸が一時的にとまってしまう病気)なども考えなければなりませんが、それらは病院に行かないと判断しづらい面もあるので医療機関への相談が必要になってきます。

まずは排尿日誌をつけてみましょう

以上のように、夜間頻尿にはさまざまな原因が影響しているのですが、まず自宅で改善できることを考えるには、排尿日誌をつけていただくことです。
「12時に昼食としてうどんを食べて、水を300ml飲んだ」「13時に200ml排尿」といった具合に、できれば24時間通して、1-2回つけてもらいましょう。

食べたもの、飲んだもの、出た尿の量、1回排尿量、昼間の尿の回数と量、夜の尿の回数と量、そうしたことからまずご利用者さんに自身の排尿スタイルを知ってもらうことが夜間頻尿改善の第一歩です。

夜間頻尿の改善には、まず水分・塩分チェック

テレビや雑誌でよく、健康のために水を飲みましょう。という特集をみることがあります。しかし、まさに過ぎたるは猶及ばざるが如しであり、多過ぎても体によくないのです。
人間が尿を出すのは体に不要なものを排出するためですが、それに必要な尿量というのは1日500mlと言われています。

もちろん、夏場や運動時には脱水になりやすいので多めに水分をとることはいいことですが、何事もほどほどが大切、ということです。

writer
しゅうぴん先生

普段は急性期病院で医師として勤務しながら、定期的に訪問診療も行い、最後まで患者さんに寄りそう医療を行っています。
また、正しい医療情報の普及を行う活動をライフワークとし、昼夜問わず精力的に活動しています。

知っておくべき高齢者の排尿に関する症状まとめ その1|在宅医療の基礎知識

2017.05.17

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