あなたの介護施設では「ICT」を活用できてますか?~地域包括ケアシステム実現の鍵になる!~|訪問介護の基礎知識

近年、よく耳にするようになったICTという言葉。 みなさん正しく理解できていますか?
「言葉はなんとなく分かるけど、実際何ができるの・・・?」「うちの作業がどう変化するのかイメージできない・・・」そんな風に感じてる介護事業者様も多いのではないでしょうか?介護業界には未だFAXを使用する場面も多く、事務作業もとても煩雑です。

今回は、そんな問題を解決しペーパーレス化をも促進する「ICT」に注目します。そもそも「ICT」とは何なのか、みなさんの事業に役立つこと、そして導入における課題を紹介します。

医療介護経営オンラインより転載

1.「ICT」って何のこと?|訪問介護の基礎知識

「ICT」とはInformation Communication Technologyの略語で、直訳すると「情報伝達技術」という意味になります。似た言葉のIT(Information Technology)は「情報技術」と訳され、コンピュータの仕組に関する技術を意味しています。
一方、「ICT」はコミュニケーションがより重視され、コンピュータを利用して、物事を前進させる技術という意味を指しています。つまりITはつくる技術であるのに対し、「ICT」はそれらを使う(伝える)技術のことを言います。

そもそもなぜ「ICT」という言葉が生まれたのでしょうか?「ICT」の言葉の誕生の背景にはインターネットの普及があります。2000年代後半から、パソコン以外にスマートフォンやタブレット端末が普及し始め、それらを利用してコミュニケーションをとる機会が増えたことにより「ICT」という言葉が使われるようになりました。

2. 介護業界における「ICT」活用の必要性は?

介護事業では人員不足が慢性的に嘆かれています。人員確保のために業界全体で改善するべきことの一つに業務負担の軽減が挙げられます。現状、利用者さんの介護業務以外にも事務作業にかなりの労力がかかっています。

介護事業では様々な業務場面で介護記録や保険請求書といった書類の作成を求められます。また書類の数も利用者ごと、ケアマネごとであったりと膨大になり、作成するにはかなりの手間と時間がかかっていることが残業の原因にもなっています。
これらの業務の負担を減らし残業をなくすことが、離職防止の対策にも繋がるのではないでしょうか。

とはいえ、事務作業自体を減らすことができないのが事実です。介護の記録は良いサービスを提供する上で非常に重要なものであるため正確なものを作成し、共有されなければいけません。数人のチームで行われる介護において、新人やベテラン関係なく適切な対応をしていくには口頭だけではなく書面での情報の引継ぎが重要になります。
そこで役に立つのが「ICT」の活用です。どのような場面で使用でき、何が改善されるのかみていきましょう。

3.「ICT」活用が役に立つ場面

「ICT」と言ってもその活用範囲はとても広いです。利用者や職員の基本情報やスケジュールを管理する基幹システムから介護ロボットや排泄予知システム、状態変化をリアルタイムに記録するシステムなどの高齢者の見守りに役立つものまで多岐に渡ります。
今回はポイントを絞って「ICT」を活用できる場面を紹介します。

① 多職種との情報共有
介護事業はケアマネ、医師、看護師、リハビリ職(PT/OT/ST)など様ざまな職種の方が連携しています。また地域全体で包括的に介護を支えていく「地域包括ケアシステム」の推進において非常に重要になるのが多職種間の利用者に関する情報共有とそれにともなう迅速な医療・介護サービスです。その情報共有で注目されるのが「ICT」の活用です。

たとえば、クラウド型(※インターネット上のサービス)の「ICT」を活用すれば、利用者に関する情報をひとつの場所にリアルタイムで記録していくことができます。各々が記録した内容をチェックし、利用者の状態を随時把握することでFAX等を使用しないスムーズな情報共有を実現します。

② 介護記録
訪問介護の場合、利用者さんのお宅でサービスを提供したあとに事業所に戻って、介護記録を記入している方もいるかと思います。しかし、「ICT」を活用すれば外出先から、いつでもどこからでもシステム上に記録を残すことが出来ます。またその際にスマートフォンやタブレットという直感的に操作できるデバイスを使用することによって簡単に記録することも可能です。
移動時間や空き時間を有効に活用することもでき、ヘルパーの負担をかなり軽減することになります。また利用者の介護記録をインターネット上に記録することによって、ヘルパーが引継ぎをした場合もさかのぼってこれまでの記録を容易に確認することが出来ます。

4.「ICT」の導入を妨げる様ざまな課題

「ICT」の活用には、業務の効率化による経営の安定化など多くのメリットがありますが、もちろんデメリットも多くあります。「ICT」の導入を断念してしまう主な課題はこちらです。

① システム導入のコスト負担
「ICT」の導入にはシステムによって多大なコストがかかる場合があります。「ICT」の導入によって業務効率化が進み、残業代などが削減できても、小規模の事業所だと導入と維持(年間の保守費用など)にかかる費用の方が大きくなってしまいます。

② 使いこなせない職員がいる
介護業界に従事している方は年齢も様々で、職員の大半を年配の方が占めている事業所もあります。そのような事業所でよく起こる問題がICTリテラシーの不足です。つまり、パソコンなどのデバイスの操作スキルが低く、満足に使いこなせないということです。「手書きの方が早いし、楽だから・・・」なんていう声もよく耳にします。

そのような職員がいる場合は、社内での講習会等を実施し、全ての職員が安心してパソコン等のデバイスを使用して業務を効率よく行えるよう配慮することが非常に重要になります。

③ 導入に反対する職員がいる
介護業界は「人と人とのふれあい」をとても大切にしています。メールではなく電話をすることや直接会って会話をすることに重きをおく考えもあります。そのため、このようなパソコン等のデバイスを介して、情報を共有したり、コミュニケーションをとることに抵抗をみせる職員もいるのです。

④ 個人情報漏洩のリスクがある
訪問介護は一部医療行為が発生することもあります。また多職種連携において訪問看護や診療の情報を多く管理することになります。医療保険や介護保険の対象となることで問題になるのが個人情報保護です。

個人情報については省庁によって多くのガイドラインが定められています。それらのガイドラインを全て遵守し情報を管理できるのか、という点がICT化が進まない大きな課題にもなっています。

<ガイドライン例>
経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」

<まとめ>2025年問題に向けて「ICT」の活用に踏み出そう

いかがでしたか?
ICT化を推進することは若い世代にむけたアピールにもなり、事業のブランディング・採用力の強化にもつながります。。若い人が慣れ親しんでいるタブレット等のスマートデバイスを活用している事業者は業界の最先端を走るイメージをもち、求職者にとって事業所を選ぶ際に、プラスポイントになる可能性があるのです。

「ICT」を活用するまでは多くの苦労や課題があることは確かです。しかし、2025年問題でも注目されている「地域包括ケアシステム」を推進するためには、効率良く情報を共有することが鍵になります。情報共有をきちんと行うことや職員の介護以外の負担を減らすことは利用者やご家族からのクレーム対策にもなります。
この機会に一度「ICT」の活用を考えてみてはいかがでしょうか?

※11月16日公開の姉妹サイト「医療介護経営経営オンライン」より転載

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