2021年度介護報酬改定、改定の要点を解説!(後編)-自立支援と科学的介護

前回に引き続き、今年4月からの介護報酬について、気になるポイントを解説します!後編は、自立支援・重度化防止の取り組みについての評価のほか、今回重点的に整備されたCHASEVISITを活用した「科学的介護」などを中心に解説します。それでは詳細を見ていきましょう。

2021年度介護報酬改定、改定の要点を解説!(前編)-ポイントは感染症&災害への備え

2021年3月9日

2021年度介護報酬改定の概要

21年度介護報酬改定では、次の5つの柱が重点課題として示されました。

1.感染症や災害への対応力強化

2.地域包括ケアシステムの推進

3.自立支援・重度化防止の取組の推進

4.介護人材の確保・介護現場の革新

5.制度の安定性・持続可能性の確保

今回は「3.自立支援・重度化防止の取組の推進」、「4.介護人材の確保・介護現場の革新」、「5.制度の安定性・持続可能性の確保」について解説します。

なお、本記事は厚生労働省が118日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示し、改正を了承された改定案に基づき、作成しています。

<参照>

厚生労働省:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16033.html

※21年度改定で新設、変更となる箇所をそれぞれ下線で示しています。

3.自立支援・重度化防止の取組の推進

3つ目の柱は「自立支援・重度化防止の取組の推進」です。
今回の改定では自立支援についての評価が重点的に見直されており、口腔ケア、栄養、リハビリについてが特に評価される仕組みとなっています。

もう一つ重要なポイントとなるのが「科学的介護」で、介護データベースの「CHASE」と、通所・訪問リハビリテーションについてのデータベース「VISIT」を活用し、ケアの質向上を図る取り組みが様々な評価項目において重視されることになります。
科学的介護推進体制加算が新設されるほか、既存の加算区分においても「CHASE」、「VISIT」を活用することで評価が上乗せされることとなるため、要注目の改正点といえるでしょう。

CHASE」と「VISIT」は、2141日に統合され、「LIFE(科学的介護情報システム)」として運用される予定となっています。

(1)【訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション】リハビリテーションマネジメントの強化

自立支援・重度化防止の観点から、訪問リハビリテーションの基本報酬(訪問リハビリテーション費)が、1回あたり307単位(現行は292単位)に引き上げとなったことに加え、リハビリテーションマネジメント加算についても今回見直されました。

リハビリテーションマネジメント加算については、従来の加算()が廃止となり、CHASEVISITへのデータ提出と、フィードバックを活用した場合の新区分が設けられました。
リハビリテーション計画を医師が説明することが必要となる加算(B)(従来の加算()と算定要件は同じ)については、単位数が引き上げとなっています。

また、厚労省は、CHASEVISITへの入力にかかる負担を軽減し、データ収集を優先するために、リハビリテーション計画書の中で、データ提供時の必須項目とそれ以外とを区別するなどの配慮をするとしています。

〇訪問リハビリテーション費

訪問リハビリテーション費: 307単位/

〇リハビリテーションマネジメント加算

リハビリテーションマネジメント加算(A): 180単位/

リハビリテーションマネジメント加算(A): 213単位/月(新設)

リハビリテーションマネジメント加算(B): 450単位/

リハビリテーションマネジメント加算(B): 483単位/

 

[算定要件]

・ リハビリテーションマネジメント加算(A)イ:

現行のリハビリテーションマネジメント加算()と同じ。

・ リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ:

加算(A)イの要件に適合した上で、利用者ごとの訪問リハビリテーション計画書等の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。 (CHASEVISITへのデータ提出とフィードバックの活用)

・ リハビリテーションマネジメント加算(B)イ:

現行のリハビリテーションマネジメント加算()と同じ。

・ リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ:

現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)と同じ。加算(B)イの要件に適合した上で、利用者毎の訪問リハビリテーション計画書等の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。 (CHASEVISITへのデータ提出とフィードバックの活用)

2)【通所系、多機能系、居住系サービス】口腔栄養管理や栄養ケア・マネジメントの強化

通所介護や通所リハビリなど通所系サービス、小規模多機能型居宅介護などの多機能系サービスや居住系サービスで、介護職員などが口腔スクリーニングを実施した場合の評価が新設されます。

〇口腔・栄養スクリーニング加算

口腔・栄養スクリーニング加算(: 20単位/回(新設)

口腔・栄養スクリーニング加算(: 5単位/回(新設)

[算定要件]

口腔・栄養スクリーニング加算()については、次の①、②の両方を、加算()については次の①、②のいずれかを満たす場合、算定可能。

①利用開始時及び利用中6月ごとに、利用者の口腔の健康状態について、事業所の従業者が確認を行い、当該利用者の口腔の状態に関する情報を担当する介護支援専門員に提供していること。

②利用開始時及び利用中6月ごとに、利用者の栄養状態について、事業所の従業者が確認を行い、当該利用者の栄養状態に関する情報を担当する介護支援専門員に提供していること。

3)【施設系、通所系、多機能系、居住系サービス】CHASEVISIT情報の収集とフィードバック活用の推進

今回の改定のポイントとなる「科学的介護」ですが、介護データベース「CHASE」と「VISIT」へのデータ提出と、フィードバックを利用したケアの質向上に向けた取り組みを評価する「科学的介護推進体制加算」が新設されます。
加算要件として、利用者の心身の状態など、必要なデータを厚労省に提出した上で、フィードバックを踏まえてサービス計画の見直しを行うなど、PDCAサイクルに沿ってデータ活用することが必要になります。

区分については、施設系サービスと、通所系・多機能系・居住系サービスとで分けられています。

〇科学的介護推進体制加算

【施設系サービス】

科学的介護推進体制加算(Ⅰ) 40単位/月(新設)

科学的介護推進体制加算(Ⅱ) 60単位/月(新設)

 

[算定要件]

科学的介護推進体制加算(Ⅰ)については、次の①と②を、加算()については、次の①と②に加え、入所者ごとの疾病の状況等の情報を厚生労働省に提出している場合に加算可能。

①入所者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること。

②サービスの提供に当たって、必要に応じて施設サービス計画を見直すなど、①に規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること

【通所系・多機能系・居住系サービス】

科学的介護推進体制加算: 40単位/月(新設)

[算定要件]

①入所者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること。

②サービスの提供に当たって、必要に応じて施設サービス計画を見直すなど、①に規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること

4)【施設系サービス(介護療養型医療施設を除く)】寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進

介護療養型医療施設を除く、全ての施設系サービスに「自立支援促進加算」が新設されます。利用者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止などの観点から、全ての利用者に対して、医学的評価に基づく日々の過ごし方等へのアセスメントを医師が定期的に実施することが必要となるほか、自立支援をサポートする支援計画を医師、看護師、介護職員などが連携して策定し、これに基づくケアを実施することが求められます。

〇自立支援促進加算

【介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院】

自立支援促進加算: 300単位/月(新設)

[算定要件]

①医師が入所者ごとに、自立支援に係る医学的評価を施設入所時に行うとともに、少なくとも6月に一回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること。

② ①の医学的評価の結果、自立支援促進の対応が必要であるとされた入所者ごとに、医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して、自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること

③ ①の医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。

④ ①の医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、自立支援促進の実施に当たって、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバック活用)。

4.介護人材の確保・介護現場の革新

4つ目は「介護人材の確保・介護現場の革新」で、人材確保の観点から処遇改善加算が見直されたほか、ハラスメント対策を求める旨が運営基準に盛り込まれることになりました。

また、見守り機器を導入した場合に夜間の人員配置基準が緩和されるほか、他職種との会議においてテレビ電話の活用を認めるなど、ICTを利用し、業務を効率化することが重視されます。

1)【全サービス】ハラスメント対策の強化

全ての介護事業者を対象に、適切なハラスメント対策を講じることが必要になります。施設の運営基準に盛り込まれる予定で、事業者はハラスメント防止を従業員に周知、啓発することのほか、ハラスメント発生時の相談体制を整備することなどが求められます。

2)【全サービス】会議や他職種連携でのICT活用

全ての介護事業者を対象に、施設基準や加算要件となる会議を、テレビ電話などで実施することが認められました。

利用者が参加せず、医療、介護の関係者のみが参加する会議の場合は、基本的に対象となる全ての会議で、ICTを活用することが可能です。
利用者が参加する場合については、利用者の同意が必要となります。

3)署名・押印の見直し、電磁的記録による保存

ケアプランなど、利用者などへの説明・同意が必要な場面で、署名、押印が不要であることが明確になりました。
また、記録の保存や交付についても、原則として紙以外の電子データでの対応が可能です。

5.制度の安定性・持続可能性の確保

介護保険制度の安定性確保のため、サービスの適正化・重点化に向けた改正が行われました。過去に何度かご紹介した、リハ職が多くを占める訪問看護ステーションの評価の適正化も実施されました。

1)【訪問看護、介護予防訪問看護】訪問看護のリハの評価、提供回数の見直し

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション職が、訪問看護サービスを提供する場合、現行と比較して報酬が減算されることになりました。

〇訪問看護費

理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問の場合:293単位/回(現行:297単位/回)

〇介護予防訪問看護費

  • 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問の場合:283単位/回(現行:287単位/回)
  • 理学療法士等が1日に2回を超えて指定介護予防訪問看護を行った場合:1回につき100分の50に相当する単位数を算定(現行:1回につき100分の90に相当する単位数を算定)
  • 利用者に対して、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による介護予防訪問看護の利用を開始した日の属する月から起算して12月を超えて理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が指定介護予防訪問看護を行う場合は、1回につき5単位を所定単位数から減算する。(新設)

まとめ

今回は、介護報酬改定特集として、「3.自立支援・重度化防止の取組の推進」、「4.介護人材の確保・介護現場の革新」、「5.制度の安定性・持続可能性の確保」を解説しました。今回ご紹介した改定箇所は全体の一部のみとなりますが、実際はこれら以外にも多くの点が見直されています。特にCHASEVISITの活用については、既存の加算にも多く関わるため、注意が必要です。

さて、間もなく新年度を迎えますが、皆さまの準備は順調でしょうか。年度末で忙しいことかと思いますが、しっかり備えて新年度をお迎えくださいね。

 

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