2021年度介護報酬改定、改定の要点を解説!(前編)-ポイントは感染症&災害への備え

今年4月からの介護報酬について、気になるポイントを2回に渡って解説します。21年度介護報酬改定では、これまで取り組まれてきた地域包括ケアや自立支援、人材確保などの課題に加え、感染症や災害発生時などの有事に備えた取り組みが義務付けられることとなりました。それぞれの詳細を見ていきましょう!

2021年度介護報酬改定のポイント

まずは、今年4月からの介護報酬について、概要を見てみましょう。
まず、全体では0.7%のプラス改定となり、原則として全てのサービスの基本報酬が引き上げられることとなりました
このうちの0.1%は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、9月末まで上乗せされる分となります。

今回の改定で提示されたのは次の5つの柱です。

1.感染症や災害への対応力強化

2.地域包括ケアシステムの推進

3.自立支援・重度化防止の取組の推進

4.介護人材の確保・介護現場の革新

5.制度の安定性・持続可能性の確保

これらの柱のうち、今回は「1.感染症や災害への対応力強化」と「2.地域包括ケアシステムの推進」について、ココメディカマガジン編集部が気になったポイントを解説していきます。

なお、本記事は厚生労働省が118日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示し、改正を了承された改定案に基づき、作成しています。

<参照>
厚生労働省:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16033.html
※21年度改定で新設、変更となる箇所をそれぞれ下線で示しています。

1.感染症や災害への対応力強化

一つ目は「感染症や災害への対応力強化」です。感染症や災害などの発生時にも安定的にサービスを継続できるように、日頃から非常時の対応に備えた取り組みや、体制構築が義務付けられることとなりました。

1)【全サービス】感染症発生時に備えた取り組みを義務付け

感染症の発生、まん延などに備えた委員会の開催や研修の実施などの取り組みが、既に対象となっている施設系サービスに加え、訪問系サービスなど全てのサービスに義務付けられることとなりました。
3年の経過措置期間が設けられています。

義務付けられることとなる取り組みは、以下の通りとなります。

①施設系サービス:現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施

②その他のサービス(訪問系サービス、通所系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援、居住系サービス):委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等

2)【全サービス】有事の業務継続に向けた取り組みを義務付け

感染症や災害などが発生した場合にも、介護サービスを中断せずに、継続的に提供できるよう、有事に備えた取り組みが全サービスを対象に義務付けられます。
具体的には、業務継続計画(BCP)の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施などが求められます。

BCPについては、新型コロナウイルス感染症発生時を想定したBCP策定ガイドラインが厚労省HPで公開されているほか、介護事業者向けの研修動画も公開されています。
ガイドラインでは作成のポイントのほか、サービスごとのひな形がまとめられています。

参考:介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドラインhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000704782.pdf

参考:介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html

2.地域包括ケアシステムの推進

続いては「地域包括ケアシステムの推進」です。
過去の改定でも重点的に取り組まれてきましたが、21年度改定では居宅療養管理指導の際に、社会生活面での課題についても医師からケアマネへの情報提供が必要となるほか、老健でのポリファーマシー解消へ向けたかかりつけ医との連携が見直されるなど、多職種連携への取り組みがさらに重視されることとなりました。

また、訪問看護については、看護体制強化加算の加算要件として、「訪問看護を提供する者のうち看護師の割合を6割以上とする」ことが必要となりました。それでは気になるポイントを詳しく見ていきましょう。

1)居宅療養管理指導:医師・歯科医師とケアマネジャーの連携強化

医師、歯科医師などが居宅療養管理指導を行う際の条件として、利用者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会での支援につなげられるよう、必要に応じて、関連する情報をケアマネジャーに提供することが必要になります。

また、薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士が居宅療養管理指導を行う際には、同様の情報を医師・歯科医師に提供することが必要です。

2)【介護老人保健施設】かかりつけ医連携薬剤調整加算の見直し

かかりつけ医と連携し減薬に至った場合に加算可能な、かかりつけ医連携薬剤調整加算が1区分から3区分に細分化され、入所時と退所時のかかりつけ医との連携を前提としつつ、減薬に至るまでの取り組みと、減薬の結果を分けて評価されるよう、見直されました。

減薬に至らなかった場合でも、かかりつけ医との取り組み自体が評価されるよう見直され、取り組みの結果、減薬に至った場合は評価が上乗せされる仕組みに変更されました。

具体的には、入所時・退所時のかかりつけ医との連携については区分()で評価し、(Ⅰ)に加えて、CHASEにデータを提出し、フィードバックを活用した場合は区分()を、(Ⅱ)に加えて、減薬に至り退所した場合は区分()を上乗せしていきます。

〇かかりつけ医連携薬剤調整加算

かかりつけ医連携薬剤調整加算( 100単位(新設)

(入所時・退所時におけるかかりつけ医との連携への評価)

かかりつけ医連携薬剤調整加算( 240単位(新設)

に加えて、CHASEを活用したPDCAサイクルの推進への上乗せの評価)

かかりつけ医連携薬剤調整加算( 100単位(新設)

に加えて、減薬に至った場合の上乗せの評価)

(3)【訪問看護】退院当日の訪問看護を評価

医療機関などから退院・退所した当日の訪問看護について、現行の特別管理加算の対象となる利用者に加えて、主治医が必要と認める場合は特別管理加算が算定可能になります。

(4)【訪問看護、介護予防訪問看護】看護体制強化加算の見直し

看護体制強化加算の算定要件のうち、算定月の前6か月間で特別管理加算を算定した利用者の割合についての要件が、「100分の30」から「100分の20」に緩和されました。
一方、単位数は引き下げとなっています。

また、算定要件の一つに、訪問看護を提供する従業者の総数のうち、看護職員を6割以上とする人員要件が新設されました。こちらについては2年間の経過措置期間が設けられています。
23331日時点で看護体制強化加算を算定している事業所で、急な看護職員の退職等により看護職員6割以上の要件を満たせなくなった場合、指定権者に定期的に採用計画を提出することで、採用されるまでの間は同要件の適用を猶予するとしています。

〇 看護体制強化加算

【訪問看護】

・ 看護体制強化加算() 550単位/

・ 看護体制強化加算() 200単位/

【介護予防訪問看護】

看護体制強化加算 100単位/

[算定要件]

・ 算定日が属する月の前6月間において、指定訪問看護事業所における利用者の総数のうち、特別管理加算を算定した利用者の占める割合が100分の20以上であること。

訪問看護(介護予防訪問介護)の提供に当たる従業者の総数に占める看護職員の割合が6割以上であること(新設)

<参照>

厚生労働省:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16033.html

まとめ

今回は、21年度介護報酬改定のうち、「1.感染症や災害への対応力強化」と「2.地域包括ケアシステムの推進」について解説しました。後半は、自立支援や、リハ職による訪問看護サービス提供の評価見直しについてご紹介していきたいと思います。

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