認知症の中核症状とBPSD(行動・心理症状)を理解する|訪問看護の基礎知識

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認知症の症状といえば、「もの忘れ」とか「徘徊」、さらには「暴言・暴力」など、いわゆる周辺症状ともいわれたBPSD(行動心理症状)のイメージが強いのではないでしょうか?

しかし、実は「認知症」によって引き起こされる本来の症状(=中核症状)はそれではありません。

今回は、ごく基本的でありながらも意外と誤解しがちな認知症の症状について簡単にまとめてみます!

 

認知症の中核(メイン)症状とは?|訪問看護の基礎知識

認知症の主症状であり、何らかの脳の障害が原因で起こる症状をいいます。

認知症において必ず現れるのがこの中核症状です。

 

徘徊や暴力などのように、周囲の方からも一見して「あの人はもしかして認知症だろうか?」と気づかれるようなものではありませんが、そういったBPSD(行動心理症状/周辺症状)を引き起こす大きな要因がこの中核症状にあります。

 

認知症の代表的な中核症状

代表的な中核症状は以下の通りです。

 

① 記憶障害
… 直前の出来事を忘れる
⇒ 同じことを何度も尋ねる、約束事や予定を忘れる、同じものを買い込む

② 見当識障害
… 時間・場所・人物がわからなくなる
⇒ 夜に出かける(起きた時間を朝だと思い込む)、外出先で迷う、家族が誰かわからなくなる

③ 失語
… ものの名前が出にくくなる
⇒「あれ」「あの」など代名詞が増え複雑な会話が難しい

④ 失行
… 視覚に異常はないのに運動機能に異常はないのに以前できていたことができなくなる
⇒ 着衣失行(上着の袖に足を通してしまうなど、正しく衣服が着れない)、構成失行(模写やパズルなど、物をうまく形作ることができない)など

⑤ 失認
… 聴力に異常が無いのに対象となるものの認識・区別ができなくなる
⇒ 家族の顔がわからない、鏡に映る自分の顔を泥棒などと間違える

⑥ 遂行機能障害
… 物事を順序だてて行うことができなくなる
⇒ 料理など計画を立てて実行する作業が難しくなる

 

BPSD(行動・心理症状)とは?

BPSD(行動・心理症状)とは、中核症状に、身体的要因・心理的要因・環境要因などの二次要因が重なり、相互作用によって生じる症状をいいます。
昔は「周辺症状」とも言われ、問題行動として捉えられてもいました。

しかし、このBPSD(行動・心理症状)を理解するポイントは、「この症状は認知症の方すべてに生じるわけではない」という点を理解することです。
行動や精神機能の障害ではなく、あくまで認知機能障害が原因で生じるものであり、周囲の適切な対応によっては全くこれらの症状を呈さないケースもあります。

また、もし症状が現れたとしても、原因やその人をとりまく様々な要因の違いにより、個人によってその現れ方や程度は実に様々です。一時的なせん妄や、鬱からも似たような症状を呈することがあるので、慎重に鑑別を行う必要があることも念頭に置いておくべきでしょう。

 

BPSD(行動・心理症状)の代表的な症状

では、BPSD(行動・心理症状)にはどんな症状があるのか?

行動面と心理面の2つの側面に分けて挙げてみましょう。

 

<行動症状>
① 徘徊
② 攻撃性(暴言・暴力)
③ 不穏・焦燥
④ 多動
⑤ 性的脱抑制・不適切な行為(不潔行為など)
など

<心理症状>
① 妄想・幻覚
② 抑うつ
③ 不眠
④ 不安・誤認
⑤ 無気力・情緒不安定
など

 

実際に、自宅で生活されている認知症の方ではこうした症状のうち、抑うつや不眠・情緒の不安定さなどの心理症状を呈す方がよく見かけられます。

家庭内でのトラブルや身内・友人の不幸など、健康な方にはちょっとしたことでも、認知症の方によっては大きなストレスとなってBPSD(行動・心理症状)を引き起こすことがあるのです。

行動面だけでなく、普段からの言動や表情なども注意深く観ておく必要があります。
予防することはできなくても、些細な変化をキャッチし早期に介入することで悪化を防ぐことに繋がります。

 

中核症状が認知症患者の心理面に与える影響とは?

これまでにあげた中核症状とBPSD(行動・心理症状)が、認知症の主な症状と言われていますが、その他にも中核症状そのものも認知症患者さんの心理に大きく影響を及ぼします。

 

① 不安感
…体験全体の物忘れや、場所や人がわからなくなってしまう不安

② 不快感
…思い出せそうなのに思い出せない不快感

③ 焦燥感
…思い通りに事が運ばないことによる焦燥感

④ 怒りの感情
…身に覚えのないことを指摘されたり、責められたりすることによる怒りの感情

⑤ 被害感
…自分のものがなくなってしまったり、周囲の人が自分の言い分をきいてくれないことなどに対する被害的な感情

 

こうした、目に見えない精神的な揺らぎがあると知らず周囲が適切ではない対応をしてしまったり、不適切な環境などの要因が重なったとき、 それらもBPSDを引き起こす要因になります。
中核症状とBPSDは全くの別物ではなく、相互に影響しあうものです。

個々の症状にとらわれず、患者の全体像を把握することが、その方に現れている症状を理解し必要なケアを考える一番の近道となるでしょう。

 

まとめ

相手の方が認知症を患っているとはわかっていても、いざ目の前にするとどうしても「どうしたらいいの?!」とこちらも不安になってしまう、これら認知症の症状…。

ですが、認知症で不安なのは相手の方も同じなのです。
こうした症状があるかもしれないということを理解して、少しずつでもその方が安心できるように、余計なBPSD(行動・心理症状)を招かず穏やかに過ごしていただけるよう、最善のケアができるといいですね♫

 

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

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