認知症患者さんの対応で初回訪問時に気をつけるべき4つのポイント|訪問看護の基礎知識

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訪問看護で訪問させていただいている方の中には、カルテに「認知症」と書かれた方が大勢いらっしゃいます。

しかし、何か特別な指示や治療などを必要としているか?というと、そうではない方がほとんど。入院中ならば認知症とカルテにあれば、もちろん、せん妄予防早期退院などをイメージできるとは思いますが、ご自宅にいらっしゃる方に早期退院”は関係ありません

では、在宅医療の現場でお会いする認知症の方に対しては何を気をつければよいのか

今回は、特に初回訪問時のこともふまえ、認知症をもつ方に対してどういった対応を意識しているかを説明していきます。

初回訪問時の先走ったケアで恐怖心を与えないように注意しましょう

認知症をお持ちの方と関わる際、誰もが乗り越えなければならない、最初の、そして最難関とも言える課題こそがこの”信頼関係の構築”ではないでしょうか?

特に、看護師がついやってしまいがちなのですが、しっかりとした信頼関係ができる前に、こちらがケアをしたり何か援助することを焦って無理に介入しようとすることがあります。

たとえば、長い間入浴できていない方に、入浴や洗髪などの保清をしようとしてしまったり…。

入院中の方では、嫌がられてでもなんとかして浴室に連れて行って、看護師2人がかりで有無をいわさず…なんてことも昔はあったかもしれません。
しかし、そんなことをすれば間違いなく、たちまち認知症を患う方に「何するの?!なんでそんなことしないといけないの?!」と、”自分を傷つけようとする人”だという誤解を与えてしまいます。

たとえその方にとって必要なケアだとしても、その方が受け入れ難いやり方での介入は一方的なケアの押し付けであり、自分の存在が脅かされる不安を与え、警戒心や恐怖心を与えてしまいかねません。
そうなっては、余計に良いコミュニケーションも良いケアを提供することも難しくなってしまいます。

認知症患者さんが安心できる関係づくりから

認知症を患う方にとって、新たな環境や状況・馴染みのない人を受け入れるということは私たちには計り知れない大きなストレスとなることを理解し、まずは安心できる関係づくりから始めることを肝に銘じましょう。

ケアすることを焦って、”認知症だから”とその方の意思を軽んじたり、その方の感じている世界を否定することは絶対にNGです。
その方が気持ち良く、何でも話したり任せたりしてくれるようになるまで、心を込めてその言葉に耳を傾け、一緒に笑ったり、共感する体験を重ねることが大切です。

認知症の方にとっては、その関わりこそがケアになります。たとえ一度でも嘘をついたり、それをごまかしたりすれば、心を開いてくれることはなくなってしまうのです。

クスリはリスク…安易に”薬”に頼ろうとしないこと!

認知症に対する薬物療法は様々ありますが、私たち看護師の役割はその認知症そのものの治療だけでなく、その”生活のしづらさ”を軽減することでもあります。

そのためにできることの一つが、先述の”信頼関係の構築”であり、認知症を抱えて不安定な心理状態にある方に対し”安心”を与えることです。そして、中核症状により障害される記憶、見当識、実行機能の障害に対し、ひとつひとつ根気よく対応することです。

たとえば記憶障害や見当識障害に対しては日付や予定がわかりやすいよう、その方にあったカレンダーやメモ(張り紙)を工夫したり、生活リズムを整えられるよう(日中眠っていたり、深夜にごそごそされる方などに)日中に畑や散歩に行ったり活動を一緒に行うなど。

その方がなぜそういう行動をとるのか理解し、それに応じて基本的な対応をとることができれば、認知症からくる日常生活の困難は少なからず改善できます。

興奮が収まらないからといって鎮静剤や安定剤を、夜間寝てくれないからといって睡眠剤を…と、家族の方から「なんとかして!」とお願いされて薬剤に頼ることを考えるケースもあるかと思いますが、薬剤を追加することで副作用を招いたり、新たな症状の出現をみることもあります。
認知症の方はたとえ不快な症状が起こったとしても正確に訴えることが難しいため、それが思わぬ事故や重篤な状態につながる恐れも…。

周りの適切な対応だけで十分対処できることも少なくない認知症による生活のしづらさやBPSD。可能な限り、必要以上に薬剤に頼ることのないよう心がけましょう。

プライバシーに配慮しつつ、要時に備えて地域を巻き込む!

入院中ももちろんですが、在宅での認知症の方への関わりの中で、みんなが頭をひねるのが”安全の確保=危険防止”だと思います。

特に日中家族が仕事に行かれていたり、高齢のご夫婦だけで自宅で過ごされている場合などは、まわりが気づかない間にひとりで火を使って火傷をしてしまったり、ひとりで外へ出て行ってしまったり、と怪我や不慮の事故に遭われることがあります。
しかし、だからといってそうならないよう誰かがそばでずっと見ていることは、現実的に難しい…。

うまく対応できない、というだけで、その方がやりたいと思っていることを止めるのはなかなかできません。
その方の意欲を支え、毎日を楽しく落ち着いて過ごして頂くためにも、ストレスになるような活動の制限、自由の制限は最小限にとどめ、何かあったときに備えて対策を講じておくことが大切です。

人によっては「認知症だとまわりのひとに知られたくない」という方もおられるので、一概にすすめることはできませんが、状況が許すならば近所の方にも「うちのおばあちゃんがひとりで出歩いていたら、家に戻るよう声をかけてあげてください。もしくは◯◯へ連絡ください。」などお願いすることも有効です。

また、最近では認知症の方の徘徊を予防するためのセンサーやGPS、監視カメラなども自治体から補助がでたり、介護保険の適応でレンタルできるものがあります。
そうしたものも上手に活用しながら、住み慣れた場所で、できるかぎりその方が送りたい生活をのびのび送れるようサポートすることも重要です。

<まとめ> 基本的な対応を「安定」して「継続」することが認知症患者さんの対応には必要です

いかがでしょうか?
こうしてみると、一見”あたりまえ”に思われるかもしれませんが、このような基本的な対応をどんな状況下でも安定して継続していくことが、認知症の方にとってとても大事なことなのだと思います。

時には思わぬ行動や発言を目の当たりにして、もしかしたらケアする側も傷つくことがあるかもしれませんが、どんな時でも認知症の方を責めたりせずに、深い理解と愛情をもって適切に対応できるように気をつけましょう。

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

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