褥瘡(床ずれ)ケア|訪問看護の症状別処置スキル

無料メルマガ登録

「褥瘡は看護の恥!」
看護師なら一度は聞いたことがあるこの言葉。
この言葉のとおり、適切なケアと知識の普及により、「院内発生の褥瘡なんて絶滅したよね?」とさえ思うほど、褥瘡を見かけることが少なくなった昨今

ですが、看護の手が入っていない在宅療養者の方たちには、「褥瘡」を持ちながら生活されている方が意外なほどたくさんおられるのです。
今回は、そんな在宅で行われている訪問看護における褥瘡ケアの実態と、特に在宅で注意すべきポイントをお伝えします!

訪問看護での褥瘡ケアの特徴:二つの発生原因

在宅でよく見られる褥瘡には、急な体調の悪化に伴って発生したケースと、寝たきりで、何度も治癒と再発とを繰り返しているケースの大きく2つに分かれます。

急な体調の悪化、例えば「感染症による発熱から食事が取れず栄養状態が悪化した」「骨折後の安静で臥床時間が極端に増えた」などが原因の場合は、栄養確保や褥瘡予防マットの使用など適切な処置ができれば比較的改善は早く見込めます。

一方の、治癒と再発を繰り返すケースでは、車椅子乗車時間が長かったり、座り方に問題があるなど(クッションの重ね置きや仙骨座りなど)日常生活動作に原因があり、習慣自体を見直す必要があるケースが多く見られます。
こうした場合には、生活習慣を少しずつ変えていけるよう粘り強く関わり続けることと、日頃からこまめなスキンケアと環境調整で予防を図り、全身状態を良好に維持することで、長期的に悪化を防ぎながら改善を図っていくことが求められます。

訪問看護での褥瘡ケアの特徴:本人が訴えないと発見が困難

もうひとつの特徴として、定期的に医療者によって全身観察がされていない場合、褥瘡発生初期に発見できるのは本人が痛みを訴えられる場合にほぼ限られます。
(※定期受診をしている場合でも問診時に訴えなければ見過ごされている場合が少なからずあります)

言語障害や感覚障害、認知症などによって、自身で疼痛や不快を訴えることが困難な方の場合は発見が遅れるケースが多く、ケアマネージャーや在宅医を通して訪問看護に相談を寄せられます。(入浴・オムツ交換や更衣の介助時に出血やびらんなどを発見され、そこで初めて家族や訪問介護・デイサービスのスタッフに気づかれた、という方がほとんどです)

その場合、すでに傷害が真皮まで達し、部位によっては便などによる汚染から感染を起こしていたり、組織の壊死を起こしている例も少なくありません。

ちなみに、そうした真皮を超える褥瘡の場合は、ひと月に2回まで(各回14日間-つまり最大28日間)かかりつけ医に特別訪問看護指示書を交付してもらい、指示期間中は毎日、また1日に複数回訪問することができます。こうして、医療保険を活用し利用者の経済的な負担も考慮しながら褥瘡ケアを行っていきます。
(※月が変わればまた新たに特別訪問看護指示書を書いてもらうことができます)

在宅における褥瘡ケア①:細かな生活状況の観察(褥瘡ケアの第一歩)

病院と在宅において、褥瘡処置の進め方自体には基本的に大きな違いはありません。
基本として、まずは適切に褥瘡の重症度(深さや感染の有無、大きさ、壊死・不良肉芽やポケットの有無など)を評価し、褥瘡発生の要因となるものを排除して治癒を促進するための薬剤や処置方法を選択していきます。

しかし、このとき在宅で特に注意しなければならないのは「利用者が24時間どんな環境でどんな生活をしているか」を十分把握することです。

例えば…

<デイサービスを週3回利用されている方の場合>
・そこで日中どのような活動をしているのか
・運動は局所の圧迫や摩擦を誘発するようなものになっていないか
・車椅子に座りっぱなしになっていないか
・入浴はどのようにされているか(自分で?介助で?こすり洗いしていない?など…)
・デイサービスには看護師は常駐しているのか
・皮膚・全身状態の観察やスキンケアはどの程度されているのか
・オムツ交換の時間、頻度
・車椅子・ベッドへの移乗方法
・デイサービスへ着ていく衣服や靴はどんな素材?(摩擦や圧迫を招かないか)…etc.

在宅では利用者の方もご自分のしたいように過ごされており、その生活状況の中に褥瘡発生・悪化の要因が潜んでいます。

必然的に、褥瘡を悪化させるような活動を管理・制限しやすい病院(入院中)とは違い、在宅ではこうした状況を把握できていないと”あっ”という間に悪化してしまいます。
それだけに、安静時だけでなく普段の活動時の状況についても細かな情報収集と観察が必要になります。

在宅における褥瘡ケア②:訪問看護がつなぐ多職種連携

在宅で「褥瘡処置」というと、”これぞ訪問看護の出番!”と思われがちなのですが、実際はすべてのケースに対して訪問看護師だけで対処しているわけではありません。
医師の診察・指示が必要なのはもちろんのことながら、重症例や悪化が早そうな例では早期に専門の形成外科の医師や皮膚排泄ケア認定(WOC)看護師に相談し、処置方法や今後の対策を一緒に考えてもらうこともあります。

特に最近では、褥瘡処置に用いる創傷被覆材や薬剤も在宅医から処方してもらえるようになったことに加え、「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」という新たな診療報酬も新設されたこともあり、病院の専門科の医師やWOC看護師、特定看護師が在宅へ直接訪問して処置や創傷処置・管理法の指導をしやすい環境が整ってきました。

これによって自宅でも病院とほぼ同様の外科的処置や管理ができるようになったのですが、実際のところはまだ課題は多く…。
病院医師と在宅医との連携(互いの役割分担も)や、訪問看護師と病院看護師の看-看連携について長期的に円滑に進めるためのしくみ作りが、今まさに模索されているところです。

また、褥瘡ケアにはそうした地域の医療職同士の連携だけでなく、家族・介護職との連携も必須です。

ケア方法に関する注意点を指導するときは、普段から家族や利用者の生活の状況をよく知る訪問看護師が率先して、写真や動画などを用いて関わるスタッフ全員で共有し、安心して誰もが同じケアをできるように配慮することが重要です。

ただし、できる限り家族や介護職にお願いすることは簡潔かつ負担を最小限にとどめられるように医療職で積極的にサポートしていきましょう。
(※どうしても必要な体位変換やオムツ交換はお願いしても、複雑な処置や大きなストレスをかけるようなことはどこかで利用者に悪影響を及ぼします。継続できそうにないことは安易に依頼しないように!)

<まとめ> 在宅での褥瘡ケアは”看護師の観察眼”が頼りです!

今回は「褥瘡ケア」の具体的な方法、というよりは在宅ならではの意識してほしいポイントを中心にお伝えしましたが…在宅での褥瘡ケア、どんな感じか掴んでいただけましたか?

基本的に、褥瘡ケアにおいては適切な観察→悪化要因の排除と適切な処置(治癒促進)→悪化・再発予防をしていれば、褥瘡は必ず良くなります
病院と在宅、それぞれの看護に必要なことに違いはありませんが、医師の常駐していない在宅においては訪問看護の「目(観察)」だけが頼り。ケアのどの過程においても一時も気を緩められません。

それだけに、訪問看護師の果たすシゴトが利用者さんのその後の経過に直接大きく影響するということだけは覚えておいてくださいね!(脅すわけではありませんが笑)

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

体位変換の基礎知識と実践|訪問介護技術の基礎知識

2016.09.13

骨折後の安静中に褥瘡を形成した99歳の患者/私の訪問看護事例

2016.05.12

 

無料メルマガ登録

【無料公開中】人気記事を資料にまとめました!

資料ダウンロード「感染予防」