訪問看護に必要なフィジカルアセスメントとは|訪問看護の基礎知識

看護師にとって、対象者へどんなケアが必要かを決めるために欠かせない「フィジカルアセスメント」。
対象者の健康状態を総合的に判断し、治療や処置が必要か、またどのように行うのがよいかを判断するとても重要な技術になります。
特に訪問看護においては、医師が常に近くにいるわけでも、最新の状態を把握しているわけでもないため、訪問看護師が的確にフィジカルアセスメントを行い、必要に応じて迅速に対処することが求められます。

今回はそんな訪問看護において、特に訴えの多く必要度の高い呼吸・循環系のフィジカルアセスメントについて触れてみようと思います。

訪問看護におけるフィジカルアセスメントの重要性と実際

訪問看護の場面では、毎回限られた訪問時間の中で療養者の状態を「正常」か「異常」か、また緊急性がどれほどのものか、ふだんの状態とも比較しながらフィジカルアセスメントを行い、必要に応じて適切に対処しなければなりません。
また、それが的確にできることで、医師や他職種との連携もスムーズにはかることができ、療養者の状態の悪化を最小限にとどめることにもつながります。

実際、緊急受診や搬送をする際、外来の医師や看護師、救命士らにもアセスメントを踏まえて簡潔に、かつ正確に状態・経過説明ができることが望まれます。

フィジカルアセスメントの基本的なやり方や流れは病院看護と同じで、

①問診 ②視診 ③触診 ④打診 ⑤聴診 ⑥測定

の順に(一部は同時に)実施していきます。

呼吸系のフィジカルアセスメント

訪問看護の現場において、最も訴えが多いのが呼吸器症状です。
咳や痰が出る、息苦しい、息をすると胸が痛い…など訴えの内容や表現は人それぞれですが、在宅では容易に「じゃあレントゲンで確認してみましょう」という選択はまずできません。
限られた測定器具と自身の五感をフル活用してアセスメントしていきます。

そのため、当然ながら基本的な解剖生理の知識は必須!

そして、特に注意すべきは入院中〜初回訪問時です。
最も安定している時の状態を「その方にとっての正常」の目安とし、経過を追って今はどんな状態か(維持/悪化/改善しているか)を判断します。

もともと退院時から胸水が溜まっていて肺雑音がある方、COPDで呼吸音に異常がある方も多くおられるので、普段の状態をよく把握し、急性増悪が生じているかどうかを判断します。

また、場合によってはフィジカルアセスメントでは異常を認めず、ストレスや不安などの精神的要因から訴えを生じている方もおられます(特に一人暮らしの高齢者に多いのですが)。

その場合には、同様に十分なフィジカルアセスメント(時間をかけ、問診や聴診などを丁寧に実施)をした上で、その結果を本人にしっかりと伝えながら
「大丈夫、胸の音はきれいですよ。熱も出ていないし、重篤な感染症ではなさそうですね。息を大きく吸って、深呼吸をしてみましょう」
など、ゆっくり呼吸と気持ちを落ち着けるよう、本人が納得するまで寄り添うことも必要です。

循環系のフィジカルアセスメント

呼吸器症状とよく似た訴えが多く、深く関連している循環系。
場合によって緊急対応が必要なケースも多い循環系の異常は、自宅でできる対応には限界があり、呼吸器系と同様に的確な訪問看護師のフィジカルアセスメントと対応が求められます。

循環系の訴えで特に多いのは胸痛、そして動悸です。
胸痛は特に、発症原因によってその痛みの程度や部位、持続時間、随伴症状なども異なります。
フィジカルアセスメントだけで原因を鑑別することは難しいですが、急性心筋梗塞など、命に直結するような緊急性の高いものから意識してアセスメントし、少しでもその疑いのあるものはすぐに医師に報告しましょう。

<まとめ> 訪問看護の必須技術「フィジカルアセスメント」

訪問看護師にとって、フィジカルアセスメントは必須の技術ですが、決してひとりで判断すべきものではありません。自身のアセスメントを過信せず、時には複数の目で見て判断を仰ぐことも必要です。

まして、必ずしも緊急時に自分(担当看護師)が行けるとは限りません。
できるだけ、複数のスタッフで関わり、複数の目で平時の状態を把握しているようにしましょう。

そして、くどいようですが訪問看護において重要となるのは、とにかく療養者の状態がその方にとって「正常」か「異常」かということ。そして緊急性があるか、次の訪問まで療養者が安心して自宅で様子を見られるかの判断です。

フィジカルアセスメントはそのために欠かせない重要な武器。
みなさんも普段からしっかりと磨いて、いざというときのためにぜひ役立てましょう!

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

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