在宅がん化学療法|訪問看護の処置別スキル

現状の生活をなるべく維持し、本人と家族が望む生活を送るためにも、在宅でのがん化学療法というのが多くなってきています。在宅での化学療法には外来で点滴をする方法と自宅で点滴や内服をする方法などがあります。

在宅では常に医療従事者がいないという環境で、患者さん本人とご家族が不安や負担を軽減できるようなケアが必要となります。

在宅がん化学療法の目的と概要|訪問看護の処置別スキル

がんの化学療法の主流は、入院ではなく外来や在宅へと移行しています。それにより、仕事やご家族との時間などその人らしい生活を送ることができます。

主なケアとしては、副作用対策・異常の早期発見・セルフケアです。
そして医療従事者が常にいるのではないため、本人や介護者への教育や不安・負担を軽減し、安心で安全な生活を送ることができるようなケアをする必要があります。

がん化学療法の主な副作用

■ 悪心・嘔吐
がん化学療法後の24時間以内に発生する急性のものと、24時間以降に抗がん薬の代謝産物や精神的因子が関連した発生遅延性のものがあります。

■ 倦怠感
倦怠感を悪化させる要因として、感染症、高カルシウム血症などがあげられます。

■ 下痢
抗がん薬の種類にもよりますが、投与から約1週間程度で出現する場合が多いです。

■ 便秘
化学療法の副作用だけでなく、制吐薬、がん性疼痛緩和のためのオピオイドの副作用としても便秘が発症します。

■ 口腔粘膜炎
痛みや歯肉の腫脹、びらん、出血、舌の異常などがあります。
手足症候群などのスキントラブル:紅斑・腫脹・びらん・潰瘍・色素沈着・爪の変化・水泡形成や出血などです。

■ 脱毛
抗がん剤投与開始から2~3週間で起こります。

■ 末しょう神経障害
手や足、口周囲の痺れや痛み、深部腱反射消失などがあります。

■ 目の症状
見えにくい、涙が止まらないといった症状があります。

在宅時の緊急対応

■ 出血
主要周辺の出血や穿孔などがあります。出血時には、すみやかに、治療している医療機関への搬送をします。その際には、がん化学療法中であること、出血・穿孔の危険性があることを伝える必要があります。

■ 腫瘍崩壊症候群
腫瘍が崩壊することで大量のカリウムやリンが放出されて代謝異常をきたし、代謝物が腎へ付着することで、腎障害を二次的に引き起こす可能性があります。腎障害と類似した症状を発見した場合は、すみやかに血液透析を含めた救急対応が必要です。

■ 呼吸障害
間質性肺炎や感染による肺炎などに留意が必要です。安静時でも呼吸困難がある場合は早めの受診が必要です。

在宅がん化学療法に関わる本人・介護者への教育と負担の軽減

副作用を目の当たりにしながらそばで介護をするのは主にご家族です。副作用が出現したときの対応方法や緊急時の対応などご家族に知っておいていただきたいことはたくさんあります。

しかし、無理をせず、安心して相談できるような関係づくりをすることが大切です。そして、医療従事者が常に側にいない不安はとてもストレスが大きいと思います。それを少しでも軽減するためには、多職種がチームになって本人・ご家族と伴走できるとような関わりをしていくことが必要です。

安心・安全な在宅生活のために

副作用や緊急な状態が出現する可能性が高いことから、本人やご家族の不安や負担を軽減が必要です。
そして高額医療費や医療費控除など金銭的な負担の軽減できる制度の紹介も必要になります。

本人とご家族が少しでも安心・安全な在宅生活を送ることができるようにケアすることが求められます。

writer
himawari

救命救急センターで働いたあと、急性期病棟、訪問看護ステーションで働いてきました。
ひまわりのように1本の茎で立ち、大きな花を咲かせるような、元気な看護師を目指しています。

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