グリーフケアとは。遺族のQOLを左右する悲嘆のケア|在宅医療の基礎知識

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「グリーフ(grief)」とは「悲嘆」のこと。
グリーフケアとはスピリチュアルの領域において、さまざまな喪失を体験し、グリーフを抱えた方々に、心を寄せて、寄り添い、ありのままに受け入れて、その方々が立ち直り、自立し、成長し、そして希望を持つことができるように支援することです。

しかし、グリーフケアの必要性が認知されたのはごく最近のこと…。
在宅看取りと共に注目されつつあるグリーフケアについて紹介します。

グリーフケアとは|在宅医療の基礎知識

人は誰しも自分が大切に思っていた誰かー親や配偶者、こどもや孫、友人などを失った時、その喪失の悲しみを乗り越え、少しずつ目の前にある現実を受け容れていきます。

しかしその過程においてうまく対処ができなかった場合、不眠や抑うつ状態などが続いて精神疾患に移行したり、あまりに大きなストレスにPTSDを発症したりと「病的悲嘆」と呼ばれる状態となり長期化する人もいます。(一般に死別後、立ち直るまでには1年かかるといわれています)

そのような悲嘆のプロセス(グリーフワーク)が適切にすすめられるよう、遺族を励ましたり悲嘆を抑制するのではなく、ありのままに感情を表現できるよう促しその悲しみ・辛さに寄り添うことそして遺族が新たな生活に適応していけるように促す、それがグリーフケアの本質です。

グリーフケアのはじまりと発展

日本にグリーフケアの考えが芽生えはじめたのは、欧米に10年遅れて1970年代に入ってからのこと。

医療技術の向上により平均寿命は年々延び、乳幼児の死亡率も低下した日本。
病院で亡くなる方が増え、自宅で家族を看取る機会が減ったために、いざ大切な人を見送るという時にどうしたらいいか、どう支援したらいいかわからないという状況が生じていました。

その後、欧米の影響で終末期医療の在り方や尊厳死についての関心が高まり、日本で最初のホスピスケア病床(淀川キリスト教病院)誕生に続いてホスピスや緩和ケア病棟も各地へ広がっていきました。
そして死にゆく人へのケアが進められるとともに、遺族ら「送る側」に対するグリーフケアの重要性もまた着目されていったのです。そうした中、2005年に起きたJR西日本の福知山線脱線事故をきっかけに、さらにグリーフとグリーフケアが一般的に広く知られることとなったのでした。

グリーフケアの実際:関わる職種と具体的な内容

実際の現場で行われているグリーフケアは心理カウンセラー・看護師・医師といった専門職だけでなく、同じような体験をした遺族、そして時には牧師やチャプレン、僧侶などの宗教家によっても行われています。

具体的な内容として主要なものはこちら。

 

① 弔問(死後〜10日、あるいは1〜3ヶ月後の落ち着いた頃)

故人との思い出を語り合いながら悲しみの表出を助けます。遺族の思いを受け止め、家族の絆やそれまでの頑張りへの賞賛を伝えるなどしてグリーフワークを支援します。

 

② カードや花束をおくる

(弔問の際に直接手渡すこともありますが)故人を偲ぶ内容やご遺族へのねぎらいの言葉などをしたためて送ります。

 

③ 遺族会の開催

病院やセルフヘルプグループなどが開催しています。ピアカウンセリングの場となり、悲しみの表出や心の整理を助けてくれます。

 

このほか、病的悲嘆に陥っている場合には専門的なカウンセリングや必要に応じて投薬治療などが行われます。

なお、グリーフケアというと死別のケアだけだと思われがちですが、終末期のように死が近いことを予見できる場合、生前からの関わりも大切なグリーフケアになります。
その場合、生前からご家族の心理的な状態や死生観などを把握し、ニーズを把握しながら看取りの支援を行います。

例えば、離れて暮らしていた場合には簡単な介護や身の回りのお世話をしてもらったり、時には家族内で話し合う機会を設けコミュニケーションを促すこともあります。

死にゆく方とそうして生前からしっかりと向き合う時間を持つことで、死別後の悲嘆を和らげる効果があるともいわれます。

グリーフケアにおける課題

ニーズも認知も年々高まり、医療関係者の間でも強い関心が寄せられるグリーフケア。しかしケアする側の体制はまだ十分とは言い難い現状があります。

ご遺族に対するケアは、多くがボランティアとして無報酬で行われ、医療機関として正面からグリーフケアに取り組んでいるのは聖路加国際病院精神腫瘍科、城西病院内科「悲嘆ケア外来」、淀川キリスト教病院「グリーフケア外来」、神戸赤十字病院心療内科など数えるほどです。

今後グリーフケアに関する教育の充実はもとより、医療機関でもケアの必要性が高い方の評価(リスク評価)を行い、専門家や地域と連携して組織としてグリーフケアを行う体制が整備されるよう求められています。

まとめ

日本ではいつしか「死」が遠ざけられる風潮ができ、グリーフケアに関する研究も欧米のようには進められず課題は多く残されています。
グリーフケアはご遺族の単なる心のケアではなく、ご遺族にとってはその後の人生、そしてQOLをも左右するものです。

そして誰もが一度はそのケアを必要とする時が来るはず。グリーフケアの充実を図るべく、早急な対応が望まれます。

 

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

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