特定看護師とは。ナースプラクティショナー(NP)との違い|在宅医療の基礎知識

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病院中心の医療から在宅中心の医療へと転換されようとする中、治療と生活両面を支える看護師に対し寄せられる期待もより一層高まってきています。

そんな中、近年登場した在宅医療推進の切り札ー通称「特定看護師」です。今回はその話題の「特定看護師」についてご紹介します。

「特定看護師」誕生の背景

日本はいまや立派な超高齢社会
医療・介護に関わる様々な問題が一気に表面化するターニングポイント「2025年」も近づくなか、多様化するニーズと高度化を続ける医療の現場では医師不足が深刻化し、医師にかかる負担は増すばかり

そこで2009年より「チーム医療推進に関する検討会」が開かれ、医師・看護師・薬剤師・法律家・ジャーナリスト等を集めて日本の実情に即した医師・看護師等との協働連携の在り方や看護師等の専門性の向上等について検討されることになりました。

そして数年にわたる検討の末、2014年「保健師助産師看護師法」を改正し、特定行為を診療の補助業務として認めるとともに「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設されました。これにより、研修を受けた看護師に特定行為の実施が認められることになったのです。

※なお、この制度によって「特定看護師」という資格が創設されたわけではありません。「特定看護師」とはあくまで「特定行為研修を修了した看護師」を指す通称です。

「ナースプラクティショナー( NP)」との違い

この特定看護師のモデルとなったのは医療先進国アメリカの「ナースプラクティショナー(以下NP)」という資格です。

以前からアメリカをはじめとする諸外国では、医師の指示がなくてもこのNPが特定の診断や薬剤の処方など一部の診療行為を行うことが認められていました。

その高い専門性とチームに対する貢献度、また医療費の抑制効果は日本の医療機関でも高く評価されており、日本でも2008年から一部の大学でNP(日本では診療看護師と訳されています。NP看護師と呼ぶことも)の教育が開始されましたが、医師法という法律の壁に阻まれ、現在も海外のように診察や処方などを行うことは認められていません。

先の検討会でもNPを正式に認定してはどうかと議題に登ったようですが、日本では責任の所在や法整備等の問題から賛同は得られず、医師の指示を必須とした上でのみ看護師にも特定行為を認める形で「特定看護師」案が採択されました。

「特定看護師」の特徴

特定行為に係る研修を受けると、21ある区分のうち研修を受けた区分の特定行為に関して、医師の指示した病状の範囲で手順書に従って実施できるようになります。

この特定行為とは「診療の補助であって、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるもの(保助看法第37条の2)」で、日本では議論の末に38項目に絞られました。

例えば人工呼吸器の挿管・抜管や設定の変更、脱水症状への輸液補正、褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去、ドレーンの抜去、直接動脈穿刺法による採血などが含まれています。

【特定行為に係る看護師の研修制度21区分38行為】

参考:厚生労働省HP「特定行為区分とは」

特定看護師を取り巻く現状と課題

特定行為研修が始まって2実際の活動を見ると、医療機関では外来を活用したり老健施設へ出向いて在宅患者の創傷管理を行う例も報告されています。
また訪問看護の現場でも呼吸器管理患者の気管カニュレの交換を行うなど、医師や地域の他職種と連携をより密に取りながら慎重に活動の場を広げているようです。

一方、特定看護師の育成と業務には課題が多く指摘されています。

まず育成について。
研修期間は約半年〜1、その間に実習も要します。
そのうえ研修施設は全国に39施設(20172月現在)と限られており、期間中の業務の調整や給与面の補償など、派遣する側からのバックアップが不可欠です。

また受講にかかる費用も高額ですが、かといって特定行為が診療報酬で評価されることは現状なく、業務と責任の増大に見合う給与が得られる保証もないため、受講したいというニーズはあっても実際の受講には結びつきにくい実態もあるようです。

さらに指定研修機関によって研修内容や受講資格も異なり、特定看護師の質も均一ではありません。そうしたなか日本看護協会では2017年から2019年までは認定看護師に限定して研修を行い、モデルとなるカリキュラムを作成するとしています。

業務についても、医師や他職種との連携のあり方や事故発生時の責任の所在、施設内での配置(病棟・外来・看護部など)なども明確な指針がなく、まだまだ手探りの段階といえます。

まとめ

厚生労働省は2025年までに10万人の特定看護師を育成する方針を掲げていますが、「特定看護師=安上がりの医療」と批判的にいう声もあり課題も多い現状です。それでも実際には医師だけでなく患者さんからの喜びの声も確かに聞こえてきています。

不安と期待が入り混じる「特定看護師」の登場。果たして日本の医療の未来を救う救世主となるのでしょうか?

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

チーム医療推進の中の看護師の役割とは|在宅医療の基礎知識

2015.12.25

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