機能強化型訪問看護ステーションとは。算定要件と現在の課題|訪問看護の基礎知識

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近年は年齢や疾患・障害の種別や重症度を問わず、在宅での看護を必要とする対象者が急増し、やがては100万人にも届くと言われるほどに…。そうした中、訪問看護ステーションも対象者の変化に合わせてその形を変化させてきました。

今回は、まさにそんな社会のニーズを受けて生まれた「機能強化型訪問看護ステーション」を紹介します。

「機能強化型訪問看護ステーション」とは?

「機能強化型訪問看護ステーション」は平成26年度の診療報酬改定時に創設された訪問看護ステーションの形態です。
看護師5人未満の小規模ステーションが約半数を占め、24時間対応や、夜間・早朝・休祝日の訪問が難しかったり、経営の不安定さが長年問題となっているなか、「機能強化型」の誕生によりステーションの大規模化、機能強化へ向けた動きに注目が高まりました。

というのもこの「機能強化型訪問看護ステーション」は従来型の訪問看護ステーションと比べると、たとえ同じケアをし、同じ時間訪問したとしても、機能強化型ではひとりあたりの報酬に大きな差があるのです。

たとえば、「訪問看護管理療養費」

従来型のステーションが7400円であるのに対し、機能強化型1”のステーションでは12400円、常勤看護師数や看取り件数など算定要件が緩めの機能強化型2でも9400円となっています。
これだけでも大きな収益増となることがわかりますね。

その経営の安定化は同時にケアの提供体制の安定化、さらにはより良質な看護の提供へとつながるーそれがこの機能強化型が推奨される大きな理由の一つです。

「機能強化型」になるには?ー算定に必要な要件

では、その算定要件を見てみましょう。

【機能強化型訪問看護管理療養費1】

① 常勤看護職員77人以上

② 24時間対応体制加算の届出を行っていること

③ 次のいずれかを満たすこと
 (1)ターミナルケア件数※を合計した数が年に 20 以上
 (2)ターミナルケア件数を合計した数が年に 15 以上
    かつ、超・準超重症児の利用者数を合計した数が常時 4人以上
 (3)超・準超重症児の利用者数を合計した数が常時 6人以上

特掲診療料の施設基準等の別表第7に該当する利用者(※1)が月に 10人以上

居宅介護支援事業所を同一敷地内に設置すること
 なおにおいて(2)又は(3)に該当する場合は、障害者総合支援法に基づく
 指定特定相談支援事業者又は児童福祉法に基づく指定障害児相談支援事業者と
 連携することが望ましい

休日、祝日等も含め計画的な指定訪問看護を行うこと

地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい

 

【機能強化型訪問看護管理療養費2】

常勤看護職員5人以上

② 24時間対応体制加算の届出を行っていること

次のいずれかを満たすこと
 (1)ターミナルケア件数(※2)を合計した数が年に 15 以上
 (2)ターミナルケア件数を合計した数が年に10以上
    かつ、超・準超重症児の利用者数を合計した数が常時 3 人以上
 (3)超・準超重症児の利用者数を合計した数が常時 5 人以上

特掲診療料の施設基準等の別表第7に該当する利用者が月に 7 人以上

機能強化型訪問看護管理療養費1のを満たすものであること

 

このように看護師数を確保しニーズの高い24時間対応体制をとりつつ、これまで手薄になっていた「在宅看取り」や「小児」を対象とした訪問に力を入れることで加算を受けられる仕組みになっています。

 

※1 末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、 筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態

※2 訪問看護ターミナルケア療養費の算定件数、ターミナルケア加算の算定件数又は在宅で死亡した利用者のうち当該訪問看護ステーションと共同で訪問看護を行った保険医療機関において、在宅がん医療総合診療料を算定していた利用者数を合計した数

 

「機能強化型訪問看護ステーション」の現状と課題

機能強化型訪問看護ステーションの数は平成27年には機能強化型1137、機能強化型2171と、少しずつながら増加してきています。
しかし、まだ多くの事業所が看護師や看取り件数の不足を理由に届出ができない、もしくは目指してすらいない状況にあります。

看護師不足(訪問看護師は全看護師のわずか2%!)と、看取り件数…どちらも容易には確保できない現状に、算定要件が厳しすぎるのではないかとの声も上がっています。
また、機能強化型にして収益がプラスになるところばかりでもなく、大規模化してもカバーする範囲が増え非効率だという意見も聞かれます。

いずれにせよ、看護師のワークライフバランスと充実した看護の提供には事業規模の拡大や病院・診療所が行う訪問看護の拡大が必要であることに変わりはなく、「卵が先か?ニワトリが先か?」のように人材不足に起因する課題が堂々巡りしている現状です。

まとめ

在宅療養を支える柱として期待されつつも、課題の多い機能強化型訪問看護ステーション。
単に収益に関する問題だけではなく、在宅看護教育や現場での教育体制の充足から在宅看取り・小児への訪問の強化など、訪問看護全体の抱える課題をどのようにしてクリアしていくかが問われています。

 

 

 

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

 

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