【看護師必見】在宅看取りに向き合うために知っておくべき知識と心構え|訪問看護の基礎知識

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最近は在宅医療がどんどん推進され、これまでは病院で最期を迎える方がほとんどでしたが、”自宅で最期を迎える”在宅看取りも選択しやすくなりました。
しかし、「在宅看取り」の経験が少ない看護師は、戸惑いや不安・悲しみなどの大きさに押しつぶされ、人の最期に関わることがトラウマになることもあります。

今回は、そうならないよう、看護師として「在宅看取り」に向き合うために知ってほしい知識と心構えをお伝えしたいと思います。

1.自分自身の死生観をみつめる

「人は死んだらどうなるんだろう?」
誰もが一度、考えたことがある問いではないでしょうか。

”余命わずか”という方と接する際、利用者さん本人、あるいは家族から
「私(あるいは父、母、子ども…)はこれからどうなっていくの?それは辛いの?どれくらい苦しいの?」
といったことをきかれることがよくあります。

もちろん医学的なことや一般的なことはお答えできますし、ほとんどの身体的苦痛は薬で緩和できます。
しかし、彼らが求めているのはそれだけではありません。

こんなとき、実は頼りになるのが自身の「死生観」なのです。
漠然としたままではなんと答えてよいか迷ったり、何も答えられず無力感を感じてしまうかもしれません。

答えられないこと自体は決して悪いことではありませんが、答えられないことで「利用者さん、家族に何もしてあげられない」と、自分自身が辛い気持ちになってしまったり、無意識に利用者さんたちと距離をとってしまうことが現場では度々起こります。
しかしそれでは、良い看護ができるはずはありません。

たとえ看護師自身が「死」に対してネガティブなイメージを持っていたとしても、利用者さん、家族と率直に「死」や「死後の世界」について語ることは、その方たちの「生」そして「今」と向き合うのを助けることになります。

「死んだら魂だけになって、先にあの世に行ってみんなを待ってるよ。痛みからも解放されて、向こうで好きなだけ酒を飲むんだ!」という方。

「死んだら私は消えてなくなる。無念だけど、私の思いはあなたたちに受け継がれていく。だから、お別れは寂しいけれど、悔いはない。誇らしい人生だった。」という方。

「死んだら生まれ変わって、また違う人生を楽しむよ。だから、もう少しの時間しかないけど良い行いして点数かせがなきゃ!」という方。

それぞれの方が、それぞれの死生観をもっています。
漠然としたままでは不安でも、立ち止まって、向き合って考えてみることで不安や恐怖に打ち勝つ、むしろ「よりよく生きる」ための活力にさえなるのです。

まずは自分自身の死生観をみつめることから始めてください。

2.寄り添う姿勢〜看護師だって”揺れ”たっていい〜

『患者さんの前で泣いてはいけない」』
誰もが一度は耳にしたことがあるという、この謎のルール…。
自分の一時的な感情にとらわれず、常に冷静沈着に考え行動せよ、との教えでしょうか。

しかし、実際は看護師も人です。そして対する相手も「人」。

人は感情の生き物です。日常のなかでさえ人の感情は揺れ動くのに、ましてや「死」が迫る危機的な状況では、その感情の揺れは私たちの想像もつかないほど大きなものでしょう。

若くして余命を宣告された無念さ、やりきれなさ。
「あの時自分が◯◯したせいだ」といった罪悪感や自責の念。
「あれを試せば良くなるんじゃないか?」といった藁にもすがるような希望。
「もうどうでもいい。今すぐ楽にしてほしい…」といった一見投げやりに見えるような絶望。
死を免れない状況とわかってはいても、それでも何かに救いを求めたり、病気になった意味を見出そうとしたり、正負問わずあらゆる感情の波がその人を襲います。

実際にそれを目の当たりにした時、きっと誰もが看護師として何ができるか考えるでしょう。
何かしてあげたいと思うでしょう。
しかし、実際にできることはほとんどありません。
そんななか最も大切なのがその人に「寄り添うこと」。

何か解決策をひねり出すことも、いいことを言おうとする必要もありません。
ただそばにいて、その方の揺れと一緒にあなたも揺れる。

「揺れる」ことは「ブレる」こととは違います。
看護師としてブレることなく、ただ「どうにもできないこともある。どうしようもないことが、この世の中にはあるんだ。」ということを受け入れ、利用者自身がそのことと向き合える時がくるのを信じて寄り添い、根気強く待ちましょう。

3.病院での看取りも選択肢として考えましょう

「在宅看取り」を希望される場合、そのほとんどはもちろん自宅で看取ります。

しかし、実際に自宅で最期を迎えることを希望されていても、それがその方や家族にとって最良ではないと判断される場合には、病院の医療連携室や緩和ケア病棟などと連携を取り、一時的にでも病院で過ごすことをすすめることも必要です。

たとえば…
(1)一人ぐらしで、家族も遠方にいる
何か急変があった場合にも、自分で訪問看護を要請できず、緊急の際に誰も駆けつけられません。
もし近隣の方が見つけて救急車を呼んでしまった場合には、蘇生(挿管や心臓マッサージ等)されてしまいます。
(救急車を呼ぶということは「救命措置をしてほしい」という意として対応されるため)

(2)往診できるかかりつけ医がいない
もし誰もいない間に自宅で亡くなっていた場合、他殺の疑いがないか警察の捜査が入ります。
すると、死因解明のため検死解剖されることになるため、ご遺体には傷が残り、家族の悲しみもより大きなものに・・・。

こうした状況が重なり、利用者ご本人にかえって不要な苦痛や不便を生じさせる場合や、家族に深い後悔や悲しみを残すような状況が考えられる場合には、よく話しあった上で入院を勧めることも看護師として必要なことです。

在宅看取りには多様な考え方があることを理解して向き合っていこう

「在宅看取り」に対する看護教育はまだまだ研究段階というのが実情で、病院から在宅へ来られた方はとくに戸惑うことが多いと思います。
しかし、実際「在宅看取り」に必要な知識というのはその時々、利用者さん・家族によって違います。
まずは今回ご紹介したように、死に逝く方とその家族、そして自分自身と真摯に向き合う”姿勢”を持って、目の前にいる方の人生を支えるために何が必要かを考えていただければと思います。

writer
chocola

現在看護師8年目。大学病院の内科病棟に配属され、うち2年間は夜勤専従看護師として勤務。結婚と同時に退職し、現在は訪問看護師として勤務。

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