<はじめに>在宅ケアにおける感染予防の大切さ|在宅医療と感染予防 第1回

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在宅療養者および在宅ケアに関わるスタッフや家族を感染から守ることは、非常に重要です。このシリーズでは、在宅ケアに関わるスタッフが感染予防策に関して正しい知識を得られるよう、感染予防の基礎となるスタンダードプリコーション(標準予防策)について、また在宅ケアでよく遭遇する感染症ごとに対策をまとめています。

1.在宅ケア 高まるニーズ

高齢化が進むなか、在宅で長期療養や社会的援護を必要とする人は増加しています。医療費削減のため病院に長く入院できなくなったことも、在宅ケアのニーズを高めています。
在宅ケアは、そのような人たちに医療や福祉サービスを提供するという重要な役割を担っており、患者およびその家族と正しい知識を共有し、協力して患者をサポートする必要があります。

2.なぜ感染予防策が重要なのか

在宅ケアを必要とする人の多くが高齢者であり、基礎疾患があり免疫力が低下している人が多いため、細菌やウイルスに感染しやすい状態といえます。
また、点滴や喀痰吸引の医療処置が在宅で行われている場合、適切に器具が扱われていないと感染の原因となってしまいます。感染症の種類や患者の状態によっては、時に重症化することもあるため、十分な注意が必要です。

感染が成立するためには、大きな3要素として「感染源、感染経路、感受性宿主」があげられます。つまり、「感染源となる微生物、その微生物が侵入する経路、および感染しやすい療養者」の連鎖により、感染症が成立するのです。
在宅ケアにおける感染予防策は、主に感染経路を断つことを目的としています。

3.感染予防に重点をおいたスタンダートプリコーション

感染が成立するための、大きな3要素として、「感染源、感染経路、感受性宿主」について前述しましたが、スタンダードプリコーション(標準予防策)とは、「全ての患者は感染源の可能性があると考え、患者と接する際に、患者の体液(血液、唾液、腹水)および排泄物、創傷などを全て感染源とみなし、予防策をとること」です。

さらに、在宅ケアにあたるスタッフや家族自身も、感染源と考え、感受性宿主つまり在宅療養者に外から持ち込んだ病原体を侵入させない予防策をとることも含まれています。

このスタンダードプリコーションの概念は、ケアに関わる全ての人が感染症から身を守るために非常に重要な考え方となります。

4.感染予防に関する正しい知識を共有する

在宅療養者の家族は療養者と一番身近に接している存在です。そのため、どれだけ医療従事者が感染予防策を講じても、療養者本人や家族が正しい予防策を行っていなければ感染は成立してしまいます。

感染予防に対する正しい知識を在宅ケアに関わるスタッフと療養者およびその家族で共有することがとても重要なのです。

5.最後に 在宅ケアにおける感染予防の大切さ

このシリーズでは、以上のような観点から、在宅ケアの感染予防について、主に福祉・医療に関わるスタッフを対象としてお伝えしていきます。在宅療養者およびその家族との間で感染予防に関する正しい知識を共有できるよう役立てていただければと思います。

【訪問看護の感染予防(全10回)】
1.標準予防策
■ 訪問看護の感染予防 第1回|<はじめに>在宅ケアにおける感染予防の大切さ
■ 訪問看護の感染予防 第2回|在宅ケアにおける標準予防策 手洗い・個人用保護具編
■ 訪問看護の感染予防 第3回|在宅ケアにおける標準予防策 ケアに用いる器材と消毒編
■ 訪問看護の感染予防 第4回|在宅ケアにおける標準予防策 感染性廃棄物・環境の整備編
2.呼吸器感染症
■ 訪問看護の感染予防 第5回|呼吸器感染症に関わる病原性微生物・インフルエンザなどの風邪症候群編
■ 訪問看護の感染予防 第6回|呼吸器感染症に関わる病原性微生物 麻疹・マイコプラズマ・風疹など編
3.感染症胃腸炎
■ 訪問看護の感染予防 第7回|在宅ケアにおける感染性胃腸炎 ノロウイルス
4.皮膚感染症
■ 訪問看護の感染予防 第8回|在宅ケアにおける皮膚感染症 疥癬・白癬
5.薬剤耐性菌
■ 訪問看護の感染予防 第9回|在宅ケアにおける薬剤耐性菌
6.新興・再興感染症
■ 訪問看護の感染予防 第10回|在宅ケアで問題となる新興感染症と再興感染症

writer
めぐみ

日本で医師として働いていたものの、夫の仕事の関係で一時的にイギリスに滞在中。元医師の視点で医療事情、体験談をお伝えしていきます。

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