在宅ケアにおける感染性胃腸炎<ノロウイルス>|在宅医療と感染予防 第7回

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毎年集団発生が報じられるノロウイルスによる感染性胃腸炎ですが、子供や高齢者では重症化し致死的となりうる病気の一つです。在宅療養者はほとんど外出しないから大丈夫、ということではなく、療養者に関わる家族やスタッフ含めて全員で予防策を講じる必要があります。

1.ノロウイルスの基本情報

感染経路:接触感染、汚染・感染した食品を摂取
潜伏期間:1〜2日
症状:嘔気・嘔吐、下痢、発熱、全身倦怠感など
予防法:マスク、手袋、手洗い・うがい、汚染した感染性廃棄物を処分または消毒
治療法:対症療法

ノロウイルスは11月から3月までの冬場にかけて全国的に発生しますが、春から夏場にかけても発生しています。

発生源は主に、汚染された生カキなどの二枚貝を摂取する、あるいは、感染者からのヒトーヒト感染が原因となります。少ないウイルスで感染が成立するため、家族が感染するケースが非常に多いのが特徴です。

通常、数週間で症状が治まりますが、子供や高齢者で死亡例が出ているのは、嘔吐や下痢による脱水症状によるものがほとんどです。また、嘔吐で窒息するケースもあります。在宅療養者の症状に気を配るのはもちろん、ケアに関わる人に嘔気嘔吐下痢症状がみられる場合は、療養者との接触を避け、調理に携わらないことが大事です。早期に医療機関に相談しましょう。

2.ノロウイルスの感染予防

在宅療養者およびケアにあたるスタッフは、感染流行が叫ばれている時期には生ものや加熱されていない食品の摂取を控えたほうがよいでしょう。また、ヒトーヒト感染が非常に多いため、日ごろから手指は汚染されていると考え、手から直接ものを食べたり、目や鼻口周囲を触らないように注意しましょう。無意識に顔を触ってしまうことが多いため、マスクは有効です。

療養者自身が感染してしまった場合、感染者が触れるドアノブやサイドテーブルなどは消毒することが大切です。吐物や便で汚染された衣服などは処分するのが望ましいですが、困難な場合は、85度以上のお湯に1分以上つけ、次亜塩素酸ナトリウム液に十分浸して消毒を行いましょう。

吐物や便を片付けるときは、マスク、手袋の着用を家族にも徹底してもらい、感染性廃棄物は消毒液で浸したタオルなどで拭き取り、ビニール袋にいれて密閉し、早期に処分しましょう。

3.最後に 日頃の感染予防策でノロ感染症を防ぐ!

ノロウイルスは感染力が強く、感染経路も多様であることから全ての感染経路を予防することは困難です。しかし、スタンダードプリコーションをしっかり行い、医療従事者からのウイルスの持ち込みは絶対に避けなければなりません。また、ケアに携わる家族にノロウイルスの知識や予防の大切さを日ごろから伝えておくことも大切です。

<参考>
大村市在宅ケアセミナー【在宅ケアーで遭遇する感染症の基礎知識と感染予防】(PDF)
http://www.nagasaki.med.or.jp/oomura/caresemi/img/080313oosumi.pdf
[保険診療のてびき] 在宅ケアにおける感染対策
http://www.hhk.jp/gakujyutsu-kenkyu/ika/130215-070000.php
Ys Homecare-在宅ケアにおける感染予防と消毒のポイント-
http://www.yoshida-homecare.com/point/

【訪問看護の感染予防(全10回)】
1.標準予防策
■ 訪問看護の感染予防 第1回|<はじめに>在宅ケアにおける感染予防の大切さ
■ 訪問看護の感染予防 第2回|在宅ケアにおける標準予防策 手洗い・個人用保護具編
■ 訪問看護の感染予防 第3回|在宅ケアにおける標準予防策 ケアに用いる器材と消毒編
■ 訪問看護の感染予防 第4回|在宅ケアにおける標準予防策 感染性廃棄物・環境の整備編
2.呼吸器感染症
■ 訪問看護の感染予防 第5回|呼吸器感染症に関わる病原性微生物・インフルエンザなどの風邪症候群編
■ 訪問看護の感染予防 第6回|呼吸器感染症に関わる病原性微生物 麻疹・マイコプラズマ・風疹など編
3.感染症胃腸炎
■ 訪問看護の感染予防 第7回|在宅ケアにおける感染性胃腸炎 ノロウイルス
4.皮膚感染症
■ 訪問看護の感染予防 第8回|在宅ケアにおける皮膚感染症 疥癬・白癬
5.薬剤耐性菌
■ 訪問看護の感染予防 第9回|在宅ケアにおける薬剤耐性菌
6.新興・再興感染症
■ 訪問看護の感染予防 第10回|在宅ケアで問題となる新興感染症と再興感染症

writer
めぐみ

日本で医師として働いていたものの、夫の仕事の関係で一時的にイギリスに滞在中。元医師の視点で医療事情、体験談をお伝えしていきます。

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