【ニュース振り返り】介護給付費・要介護者、過去最多に&高所得者の介護サービスが3割負担に変更!2018年8月のニュース5選

2018年8月に医療介護業界で起きたニュースをココメディカマガジン編集部が振り返り、特に気になった5大ニュースをご紹介します。

8月は、介護給付費、職員の労働実態など、介護に関する興味深い調査結果が多く公表されました。また、介護保険と高額療養費の新制度についても、ついに運用が開始されました。そんな8月のニュースを振り返ってみましょう。

介護給付費、過去最多。そして地域密着型サービスの利用者数大幅増加!―平成28年度介護保険事業状況報告が公表される(8/24)

厚生労働省は、平成28年度介護保険事業状況報告で、2016年度の介護給付費(利用者負担分は除く)が9兆2290億円になったことを発表しました。利用者の自己負担額を加えた介護費用の総額については9兆9903億円となり、いずれも前年度より増加し、調査開始以降最多となっています。

要介護(要支援)認定者数については、632万人で前年度より12万人増加し、こちらについても過去最多となっています。人口の高齢化が進んでおり、今後も高齢者が増え続ける見込みであることから、介護費用、要介護認定者数については、これからも増加が続くと予想されます。

また、介護サービスの受給者数(1か月平均)は560万人で、内訳は居宅介護サービスが391万人(69.8%)、地域密着型サービスが77万人(13.7%)、施設サービスが92万人(16.5%)となっています。ここで注目すべきポイントは「地域密着型サービス」の伸び率。前年度の利用者数は41万人で、なんと88%増という結果になっています。2015年度の介護保険制度改正によって、特別養護老人ホームの新規入居者が要介護3以上に制限され、要介護1、2の利用者が地域密着型サービスに移行した結果と考えられますが、施設から住み慣れた自宅でのサポートに移行が進みつつあることがうかがえます。

 

厚生労働省:平成28年度 介護保険事業状況報告(年報)

https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/16/index.html

 

介護の自己負担、高所得世帯は3割負担へ-介護保険の負担割合&高額療養費制度が見直される(8/1)

8月1日から、介護保険の負担割合が見直され、現役並みの所得がある層は3割負担へと変更となりました。また、自己負担の上限額となる「高額介護サービス費」については44,400円に設定されています。

新たに3割負担の対象となるのは、65 歳以上の方のうち、合計所得金額が220万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額が340万円以上の単身世帯、または463万円以上の2人以上の世帯です。新制度以前に2割負担していた45万人のうち、約16万人が3割負担となり、そのうち自己負担額が増えるのは約12万人(全体の約3%)となります。

そして今回は、介護制度に加えて、医療費の自己負担額についても改正が行われています。医療費の自己負担額に上限を設け、負担をカバーする「高額療養費制度」についても変更されており、70歳以上の現役並み所得がある利用者と、一般の利用者(年収156万~約370万円)については、負担が増えることとなります。

所得が多い世帯にとって、とても大きな変更となった今回の改正。しかし、新制度が非常に複雑で、利用者や患者が混乱してしまうおそれもあります。介護や医療の現場で、新制度への理解を促進するよう、働きかけることが大切です。

 

厚生労働省:介護保険制度の概要

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html

厚生労働省:介護サービス利用者向けリーフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

 

介護事業者、人手不足が深刻・・・その背景には「採用の難しさ」が-介護労働実態調査の結果が公表される(8/3)

公益財団法人介護労働安定センターは、平成29年度の介護労働実態調査の結果を公表しました。人手不足と回答した介護事業者は66.6%にものぼり、事態の深刻さがうかがえます。

今回行われたのは、全国8782の介護事業所と、これらの事業所から、1事業所あたり3人を上限に選出した52,914人の介護労働者に対する調査です。

まず、介護事業書全体のうち、人手不足と回答した事業者は66.6%で、2010年以降増加し続けています。人手不足の理由については「採用が困難である」が88.5%と最多であり、採用が困難である理由については、「同業他社との人材獲得競争が激しい(56.9%)」、「他産業に比べて労働条件等が良くない(55.9%)」の2点を挙げた事業者が多いことがわかりました。

なお、「離職率が高い」と回答した事業者は2割程度にとどまっており、職員の定着率についても「定着率は低くない」と答えた事業者が7割程度を占めています。そして、労働者についても、仕事に関する希望として、「今の仕事を続けたい」との回答が53.8%と最多となっています。その一方で職員の賃金の平均(管理職は除く)は22.7万円で、全産業の賃金の平均(30.4万円)から9万円ほど下回る結果となっており、処遇については依然低いままといえます。

 

公益財団法人介護労働安定センター:平成29年度 介護労働実態調査結果について

http://www.kaigo-center.or.jp/report/h29_chousa_01.html

厚生労働省:平成29年賃金構造基本統計調査 結果の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2017/index.html

 

健康寿命は延伸、メタボについては改善が必要-「健康日本21(第二次)」中間報告書案、公表される(8/2)

厚生労働省は、「健康日本21(第二次)」の中間報告書案を公表しました。健康寿命など複数の項目で改善がみられましたが、メタボリックシンドロームの該当者・予備軍数や、介護サービス利用者の増加の抑制などの項目では改善が不十分だとまとめられています。

今回公表されたのは、2000年に策定された「健康日本21」を改正したもので、2013年から運用されている「健康日本21(第二次)」の中間結果です。健康寿命の延伸と健康格差の縮小を実現するために定められた53項目の目標について、達成状況がまとめられ、全体の6割にあたる32項目で改善が見られました。

改善がみられた項目をいくつかご紹介しましょう。まずは健康寿命ですが、2010年のに男性70.42年、女性73.62年だったのが、男性72.14年、女性74.79年(2016年)とどちらも延びています。また、健康寿命の都道府県格差についても、男女とも縮小しています。

一方で改善が不十分な項目として挙げられているのが、メタボリックシンドローム該当者・予備群の数で、2008年に約1400万人に対し、2015年には約1412万人とわずかに増加しています。また、介護サービス利用者の増加の抑制についても、増加率の改善があまりみられていません。

厚労省は、残りの5年間で目標達成するべく、国、地方自治体、企業などと連携し、社会全体としての健康づくりの取り組みを引き続き推進していくとのことです。

 

厚生労働省:第12回 健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00792.html

 

iPS細胞でパーキンソン病を治療―京都大学で臨床試験が開始される(7/30)

京都大学医学部附属病院は、京都大学iPS細胞研究所と連携し、iPS細胞を使ったパーキンソン病治療の治験を開始したことを発表しました。

パーキンソン病は、手足の震え(振戦)などが主な症状の進行性の病気で、神経伝達物質ドーパミンを作り出す、中脳の「ドパミン神経細胞」が減少することによって発症します。発症の原因は現時点ではわかっておらず、治療法についても病気の進行を止める治療法は確立していません。薬や、脳に電極を埋め込む定位脳手術による対症療法が主な治療法となっています。

また、2012年時点では約108,800人が罹患しており、その多くが高齢者であることがわかっています。50~65歳で発症することが多く、高齢になるほど発病率が増すため、人口の高齢化に伴い患者数が増加すると見込まれています。

今回の治験では安全性と有効性の確認のために、①50歳以上70歳未満の患者であること、②罹患して5年以上が経過している、③薬物治療で症状のコントロールができなかった、といった複数の条件を満たす7名の患者に実施されます。iPS細胞から作られた神経細胞を、注射針のような器具を用いて、患者の脳の線条体に約500万個移植し、安全性と効果について2年間観察が行われます。

iPS細胞を使った再生医療については、このほかに心臓病や網膜の治療についての研究が進められていますが、8月に大阪大学が角膜の臨床治療開始に向けて準備が進めていることを公表しています。

 

京都大学医学部附属病院 プレスリリース:「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」開始について

https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20180730.html

難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)

http://www.nanbyou.or.jp/entry/314

 

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