【ニュース振り返り】在宅医療実現のために都道府県が取り組むべき事項とは。 2018年11月前半のニュース3選

医療・介護業界で起きた最新ニュースを、ココメディカマガジン編集部が振り返ります。
11月前半は、第7次医療計画の実施状況を踏まえて、在宅医療について都道府県が取り組むべき事項が提示されたほか、医師の睡眠時間と健康についての興味深いエビデンスが明らかになりました。早速ニュースを振り返ってみましょう!

入退院ルール策定に、アドバンス・ケア・プランニング。在宅医療の充実に向けて都道府県が取り組むべき事項とは(11/12)

厚生労働省は、11月12日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」で、在宅医療の充実に向けて都道府県が取り組んでいくべき事項を提示しました。「在宅医療の充実に向けた議論の整理(案)」に全内容が盛り込まれています。

 

今回提示された「在宅医療の充実に向けた議論の整理(案)」は、4月から始まった「第7次医療計画」の実施状況を踏まえてまとめられました。

 

提示された事項について簡単にご紹介します。

まず、4月から運用されている第7次医療計画について、原則設定することとされている「訪問診療を実施する診療所・病院数に関する数値目標」と、在宅医療の整備目標及び介護のサービス量の見込みについて、複数の自治体が未設定であることがわかっています。これらの自治体については、中間見直しのタイミングで目標を設定するよう、改めて求めています。

 

また、特に実施すべき方策として、次の3点が挙げられました。

 

一つ目は、「入退院支援ルールの策定支援」で、病院や診療所などの医療機関やケアマネージャーが協議を行い、在宅医療圏ごとに必要な入退院ルールを策定できるよう、都道府県が支援を行うべきであることが明言されています。

二つ目は、「後方支援病院等との連携ルールの策定」で、在宅医療の実現のために病院と診療所の連携が必要であると言及されています。

三つ目は「急変時の患者情報共有ルールの策定」で、在宅患者の病状が急変した時に受け入れ病院の確保などに、スムーズに対応できるように診療情報を共有するといった連携ルールを、あらかじめ作成することが求められています。

 

これらに加えて、今回の論点の中には、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の啓発活動についても触れられています。

ACPは、人生の最終段階での医療・療養など、本人の意思決定が困難になった場合に備えて、患者・家族などと医療従事者が今後の治療や療養などについてあらかじめ話し合う自発的なプロセスのことで、政府が普及を進めています。

しかしACPの認知度は依然低く、昨年12月の厚労省の調査では、一般国民については約75%が、医師についても約40%が知らないと回答しており、実施状況についても7割程度の医師が未実施であることが明らかになっています。医療機関へのアプローチだけでなく、市民公開講座などを通した地域住民への啓蒙が必要とまとめられています。

 

厚生労働省:第7回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02243.html

厚生労働省:人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200784.pdf

 

医師の健康には「労働時間短縮」よりも「睡眠時間の確保」が大切! 「医師の働き方改革に関する検討会」が開催(11/9)

厚生労働省は、9日に「医師の働き方改革に関する検討会」を開催しました。順天堂大学医学部公衆衛生学講座 谷川武教授へのヒアリングが行われ、医師の健康確保にあたっては、「労働時間の短縮」よりも「睡眠時間の確保」のほうが重要であるとのエビデンスが提示されました。

 

今回のヒアリングで紹介されたのは、睡眠時間・労働時間と高ストレス者・抑うつの関連についての研究で、医師に対して行われたタイムスタディ調査の結果がまとめられています。調査結果によると、一週間の労働時間が「80時間以上」と「80時間未満」の場合と、 「60時間以上」と「60時間未満」の場合のいずれについても、高ストレス者・抑うつにおいて有意差はみられませんでした。一方、睡眠時間については、「6時間以上」と「6時間未満」とで、調査結果に有意差がみられました。

 

別の研究では、長期間にわたる睡眠不足が、脳や心臓疾患の有病率や死亡率を上昇させるという結果が報告されたほか、慢性睡眠不足と覚醒度の関連についても紹介されています。

慢性睡眠不足の場合、本人が眠気を自覚していなくても、覚醒度が低くなるとの結果が出ており、寝不足によって無自覚のまま注意力が落ちるなど、仕事に悪影響をもたらす可能性があると考えられます。

 

谷川教授は、労働時間短縮と睡眠時間の確保のために、連続勤務時間制限や、インターバル規制といった措置が必要であると提案しています。ただ労働時間を短縮するのでなく、睡眠時間確保に向けた取り組みについても、一緒に検討する必要があるといえるでしょう。

 

平成30年版の過労死等防止対策白書によると、医師の3割程度は、1か月の時間外労働時間が80時間以上であるといわれています。しかし、医師の労働時間については、2019年4月1日から、他職種と同様に「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」までの上限が設けられる予定です。現在、労働時間短縮に向けて、国民の医療機関へのかかり方や、タスク・シフティング、医師の応召義務など様々な観点から検討が進められており、18年度末を目途に本件について取りまとめが行われる予定です。

 

厚生労働省:第11回医師の働き方改革に関する検討会 資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02200.html

厚生労働省:過労死等防止対策白書

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html

 

薬局、機能ごとに3分類に!在宅医療もカテゴリのひとつへ。「第8回医薬品医療機器制度部会」で提示(11/8)

厚労省は、8日に開催されたで、薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方についての議論が行われました。次回の薬機法改正の際に、薬局を機能で3種に分類する案が提示されており、在宅医療に対応する薬局、抗がん剤など高度薬学管理機能を持った薬局などが、法令上設けられる可能性があります。

 

薬局の分類については、10月の第7回会議で、薬局が持つ機能について法令上明確に分類することが提案されており、(1)基本的な機能を持つ薬局、(2)在宅医療への対応や他の医療機関、薬局等との服薬情報の一元的・継続的な情報連携において主体的な役割を担う薬局、(3)がん等の薬物療法を受けている患者に対し、高い専門性に基づき、より丁寧な薬学的管理や特殊な調剤に対応できる薬局の3種が分類案として提示されました。

 

今回の会議では、それぞれに設ける要件案などが、より具体的に示されました。

「在宅医療への対応が可能な薬局」については、プライバシーに配慮した相談スペースの設置や、地域における休日夜間対応、在宅訪問の実施など必要とされ、「高度薬学管理機能を持った薬局」については、プライバシーが確保された個室、地域需要に応じた特殊な薬剤等の確保、専門性の高い薬剤師の配置といった要件が提示されています。

 

今回の会議では、薬局の分類以外にも、薬剤師が医薬品の服用期間を通じて、服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行うことを法令上義務づけるほか、患者の服薬状況などの情報を、医師、歯科医師、薬剤師等へ必要に応じて提供することを努力義務とすることなどが検討されています。

 

在宅医療については、全ての団塊世代が75歳を迎える2025年に向けて、政府が重点的に推進している事項になりますが、これにあわせて薬局も変化しつつあることがわかります。薬局の分類については、患者が薬局を選択しやすくなるという目的のほか、地域の薬局の連携を推進し、それぞれが機能を分担しながら効率的なサービスを提供できるような体制を整えるという目的が背景にあります。「地域包括システム」の実現に向けて、薬局が果たす役割も今後大きくなりそうですね。

 

厚生労働省:厚生科学審議会 平成30年度第8回医薬品医療機器制度部会 資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02158.html

 

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