認知症の新大綱に、処遇改善加算!2019年の医療・介護ニュースを振り返ります!

師走もいよいよ後半令和最初の1年も間もなく終了です。というわけで、今回のテーマは「2019年のニュース振り返り」。今年は新オレンジプランに代わる新大綱「認知症施策推進大綱」が閣議決定されたほか、処遇改善加算が10月から開始されるなど介護の話題が豊富な1年となりました。それでは、1年間の医療・介護に関するニュースを振り返りましょう!

認知症施策推進大綱(6月)

2015年に策定された新オレンジプランの後継として、6月に閣議決定した「認知症施策推進大綱」。
新大綱では、新オレンジプランで重点的に取り組んできた、認知症の人との「共生」に加え、「予防」の二点が重点課題と位置付けられました。

内容について、改めてご紹介しましょう。

具体的な施策については、次の5つの柱に沿って実現するとしています。

  1. 普及啓発・本人発信支援
  2. 予防
  3. 医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
  4. 認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
  5. 研究開発・産業促進・国際展開

 

注目すべきポイントは、「2予防」です。

新大綱では、予防を「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味合いで用いており、具体的には、認知症予防に関するエビデンスの収集・普及や、予防につながる「通いの場」における活動の推進など、認知症への「備え」となる取組みに重点を置いています。

特に「通いの場」については、参加率を8%程度に高めることが目標(KPI)として盛り込まれたほか、拡充のためにインセンティブ交付金を活用することについて言及されており、重要な施策と位置付けられています。

なお、素案の段階で設定が検討されていた、「70代の認知症の割合を2025年までの6年間で6%、向こう10年間で1割減らす」という数値目標については、参考値に格下げされました。

厚生労働省:認知症施策推進大綱について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00002.html

注目の新大綱を解説!認知症施策推進大綱まとめ(前編)|在宅医療の基礎知識

2019年7月15日

注目の新大綱を解説!認知症施策推進大綱まとめ(後半)

2019年8月27日

 

介護職員等特定処遇改善加算(10月)

人手不足や、他産業との賃金格差が問題視される介護業界で、人材確保のために実施されている現行の「処遇改善加算」に加えて、経験・技能のある介護職員を評価する「介護職員等特定処遇改善加算」が、消費税増税に合わせて10月に導入されました。

具体的には、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準(平均年収440万円)を目指するため、勤続10年以上の介護福祉士について月額8万円、または賃金が全産業平均賃金(年収440万円)以上となるよう処遇改善を行うとしています。
なお、「月額
8万円」という数値ですが、加算率の算定根拠となった数値であり、加算額と一致するわけではありません。

加算条件についておさらいです。詳細は次の通りとなります。

①対象となる職員

基本的には「経験・技能のある介護職員」が対象で、勤続10年以上の介護福祉士がこれに該当するとされています。
介護福祉士であることは必須ですが、勤続年数については事業所の判断で
10年以下でも認めることができます。
また、一定のルールを守る形で「その他の介護職員」や「その他の職種」に適用することも可能です。

処遇改善する際のルールは、(A)「経験・技能のある介護職員」については、月額8万円の処遇改善を受ける職員、または処遇改善後の賃金が年収440万円以上となる職員のいずれかを、事業所に最低一人確保する、(B)平均の処遇改善額がその他の介護職員の2倍以上となることが必要になります。

C)「その他の職種」については、平均の処遇改善額が「その他の介護職員」の2分の1を上回らないことが求められます。

②加算要件

以下の3点を満たせば、加算することが可能になります。

  • 現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得していること
  • 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
  • 介護職員処遇改善加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等を通じた⾒える化を行っていること

③加算率

現行の処遇改善加算に上乗せされる形で加算されます。加算()、(Ⅱ)の2段階で設定されており、サービス提供体制強化加算、特定事業所加算、日常生活継続支援加算、入居継続支援加算の取得状況から、2段階のいずれかに設定されます。具体的には、加算()は、訪問介護が6.3%、通所介護が1.2%、加算(Ⅱ)は訪問介護が4.2%、通所介護が1.0%に設定されています。

また、福祉医療機構(WAM)が10月に公表した、特定処遇改善加算の実施状況についての調査によると、回答のあった1,016法人のうち、76.5 %の法人が10月から、5.5%が204月から加算予定とのことです。
一方、
7.2%は算定する予定はないとのことで、その多くを収益が少ない法人が占めていることが明らかになりました。

一人当たりの平均賃金改善額は、(A)経験・技能のある介護職員:21,700円、(B)その他の介護職員:9,339円、(C)その他の職員:4,585円となる見込みで、全体の7割が(A)から(C)の全てのグループに配分予定と回答しています。

厚生労働省:第169回社会保障審議会介護給付費分科会(ペーパーレス)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202420_00015.html

大阪府:令和元年度 介護職員等特定処遇改善加算(介護保険)について

http://www.pref.osaka.lg.jp/jigyoshido/kaigo/tokuteisyoguu.html

独立行政法人福祉医療機構:2019 年度介護報酬改定介護職員等特定処遇改善加算アンケート結果について
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/191009_No007.pdf

 

2020年度診療報酬改定

来年度に実施予定の診療報酬改定について、現在議論が進められています。

診療報酬の改定率が1217日に確定し、本体は0.55%の引き上げとなりました。
一方、薬価は
0.99%引き下げとなったため、全体としてはマイナス改定に落ち着きました。

基本方針については以下の4点となり、医師の働き方改革を重点課題と位置付けることが決定しました。
基本指針③が、在宅医療・訪問看護に関連するポイントとなります。

<基本方針>

①医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進【重点課題】

②患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

③医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進

④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

 

年内に議論された事項のうち、基本指針③に関する内容を一部ご紹介します。
具体的な基準や評価については、今後検討される予定となっています。

  • 紹介状なしで大病院を受診した場合に定額負担が必要となる病院について、対象範囲を「特定機能病院及び許可病床400床以上の地域医療支援病院」から、「特定機能病院と⼀般病床200床以上の地域医療⽀援病院」に拡大。
  • 「地域包括ケア病棟入院料」で、自院から一般病棟に転棟した場合について、算定に制限を設ける。
  • 訪問看護ステーションの「機能強化型訪問看護管理療養費」の加算要件に、看護職員の割合を追加。
  • 理学療法士等のリハビリ職員が実施する、週4日目以降の訪問看護について、評価見直し。

厚生労働省:中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

 

まとめ

今回は年末ということで、1年間のニュースを振り返りました。介護の話題が豊富な1年となりましたが、来年は診療報酬改定をはじめ、医療の話題が増えそうです。診療報酬改定については、来年解説ブログを掲載予定ですので、どうぞお楽しみに!今後も医療・介護の気になるニュースをご紹介していきますので、みなさま来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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