【ニュース振り返り】高齢者の虐待、過去最多の1.7万件に―2019年3月後半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が、気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。2019年3月前半は、高齢者への虐待が過去最多の1.7万件であることが明らかになったほか、大規模停電時の在宅人工呼吸器利用者への支援策の検討が開始されました。早速振り返りましょう!

高齢者への虐待、過去最多の1.7万件に(3/26)

厚生労働省は26日、2017年度の高齢者虐待の実態についての全国調査の結果を公表しました。

虐待と認められた件数は1.7万件を超え、2006年の調査開始以降、過去最多となっています。

この調査は、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき毎年実施されており、高齢者への虐待の実態や地方での対応状況が調査されています。

高齢者への虐待と認められた件数は、介護従事者によるものが510件(前年度比12.8%増)、家族や親族などによるものが17,078件(前年度比4.2%増)となりました。

また、市町村への相談・通報件数については、介護従事者による虐待については1,898 件(前年度比10.2%増)、家族や親族などによる虐待については30,040件(前年度比7.5%)で、判断件数、相談・通報件数とも過去最多であったことが明らかになりました。

介護従事者が加害者となったケースについての特徴をご説明します。

まず、要因は「教育・知識・介護技術等に関する問題」が303件(60.1%)で最も多く、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が133件(26.4%)でそれに続きます。

性別では、男性職員による虐待が54.9%とほぼ半数となっていますが、介護職員全体に占める男性の割合が2割程度であることを考えると、男性職員による虐待が相対的に多いことがわかります。

つづいて、家族、親族、同居人などが加害者となったケースについてご説明します。

要因については、「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」が1,285件(24.2%)で最も多く、次いで「虐待者の障害・疾病」が1,160件(21.8%)となっています。

加害者と被害者の続柄については、「息子」が7,530人(40.3%)で最も多く、次いで「夫」が3,943人(21.1%)、「娘」が3,251人(17.4%)となっています。介護従事者と同様に男性が加害者となるケースが多いようです。

そして、介護保険サービスを利用していない場合の方が虐待の程度が深刻になるケースが多いことから、周囲の支援がなく、社会から孤立した状況が虐待につながりやすいと推測されます。

厚生労働省:平成29年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000196989_00001.html

在宅人工呼吸器の利用者向け、大規模停電に備えた対策の検討開始―利用者情報のリスト化、非常用電源確保など(3/18)

厚生労働省は、18日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」の会議で、大規模災害時など長期停電が起きた場合の在宅人工呼吸療法患者への支援について、議論を行いました。

昨年9月に発生した北海道胆振東部地震では、道内全域に及ぶ大規模停電(ブラックアウト)が発生し、ほぼ全域の電源復旧に約45時間要しました。
在宅人工呼吸器については、機器による違いがみられるものの、内部・外部バッテリーの稼働時間は約30分から11時間といわれており、災害時の電源確保が重要な課題の一つとして挙げられています。

また、在宅人工呼吸療法を受療している患者の情報は一元管理されておらず、医療機器メーカーや医療機関、保守業者などがそれぞれ保有している状態であることから、災害時の被害状況や患者の安否についての確認が困難であるという点についても指摘されています。

そこで、災害などで長期停電が発生した場合においても、在宅人工呼吸器や在宅酸素を使用している患者が安心して療養を続けられるよう、環境を整備する必要があるとして、対応策について検討が開始されることとなりました。

具体的には、在宅人工呼吸器や在宅酸素を使用している患者情報(氏名、住所、使用している機器に関する情報など)をリスト化し、災害時に活用できるよう備えるほか、非常用電源の確保や、緊急時に入院できるよう医療機関との連携(バッグベッド確保)などの整備を行うとのことです。 

厚生労働省:第8回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03973.html

医師の時間外労働、検討会報告書が公表される(3/28)

厚生労働省は、28日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」で、検討会の最終報告書を公表しました。
2017年8月から22回に渡って検討が重ねられてきた「医師の働き方改革」について、新制度がついにまとまった形となります。

2024年4月から適用される医師の時間外労働時間の上限については、以下の規定が適用されます。簡単にご説明します。

  • A水準:2024 年4月において全ての勤務医がA水準の適用となることを目指します。

労働基準法の36条(いわゆる36協定)で定められた水準である、月45時間・年360時間が上限。ただし、患者数が多い、緊急手術が重なったなど、業務量が一時的に大幅に増加し、上限を超えて労働しなければならない場合は、上限を年960時間/月100時間未満(例外あり、いずれも休日労働含む)とします。

追加的健康確保措置①については努力義務、②については対応が義務づけられています。 

  • B水準(地域医療確保暫定特例水準):2035年度末に終了することを目標。地域医療提供体制の確保の観点から、経過措置として暫定的に設けられています。

地域医療の観点から必須とされる機能を果たすために、やむなく長時間労働となる医療機関で、対象となる医療機関を都道府県が特定したうえで適用します。
業務量が一時的に大幅に増加した場合の上限は、年1,860時間/月100時間未満(例外あり、いずれも休日労働含む)となります。

管理者のマネジメント研修やタスク・シフティング等が計画的に推進されていることが必要であるほか、追加的健康確保措置①・②の設定が義務付けられています。

  • C水準(集中的技能向上水準)

C-1水準(研修医):

初期・後期研修医が、研修プログラムに沿って基礎的な技能や能力を修得する際に適用。研修プログラムは本人が選択します。
研修プログラムにおいて想定される最大時間外労働について、直近の実績を明示した上で、都道府県が医療機関を特定することで適用が認められます。

C-2水準(高度特定技能):

医籍登録後、臨床に従事した期間が6年目以降の医師が対象。先進的な手術方法など、高度な技能を有する医師を育成することが必要とされる分野において、一定期間集中的に技能育成に関連する診療業務を行う場合に適用されます。
分野の特定は審査組織が行い、実施する医療機関を都道府県が特定します。

C水準のいずれにおいても、適用にあたって、追加的健康確保措置①・②の設定が義務付けられています。上限は年1,860時間/月100時間未満(例外あり、いずれも休日労働含む)となります。

※追加的健康確保措置①

連続勤務時間制限:連続勤務時間を最大28時間に制限。ただし、C水準―1(研修医)については、15時間に制限。

勤務間インターバル:当直・当直明けの日を除き、24 時間の中で、通常の日勤(9時間程度を超える連続勤務)後、次の勤務までに9時間のインターバル(休息)を確保します。

代償休息:連続勤務時間制限、勤務間インターバルによる対応が実施できない場合の例外的な措置。これらの措置に代わり、休息を取ることで疲労回復を図ります。

※追加的健康確保措置②

面接を行い、睡眠や疲労の状況(睡眠負債、うつ、ストレスの状況など)について確認し、必要に応じ就業上の措置(就業制限、配慮、禁止)を行います。

厚生労働省:医師の働き方改革に関する検討会 報告書https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04273.html


【無料公開中】人気記事を資料にまとめました!

資料ダウンロード「感染予防」